言語聴覚士が活躍できる職場とは

言語聴覚士が活躍できる職場にはどのような種類、施設があるのでしょうか。就職先の選択肢として参考にしてみてください。

2020.10.15

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男女の言語聴覚士が言語聴覚士が活躍できる場所とはのタイトルを指差している

2020年度の診療報酬改定で言語聴覚士による呼吸器疾患の介入が認められるなど、言語聴覚士の活躍は著しく、その活躍の場はますます広がりをみせています。
そのため、「いろいろな職場を経験してできることを増やしたい」と考える方も少なくなく、言語聴覚士が活躍できる職場にはどのようなところがあるのか知りたいという方も多いのではないでしょうか。
こちらの記事では、言語聴覚士が活躍できる場所について詳しくご紹介しています。
それぞれの職場における働き方について知りたいという方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

言語聴覚士とは

言語聴覚士とは、話す・聞くということに対してなにかしらの障害を持つ人に対し、言語能力や聴覚能力の向上や回復を目指してリハビリテーションを行う専門職のことをいいます。
言語聴覚士は国家資格であり、資格取得には文部科学大臣が指定する学校、または都道府県知事が指定する言語聴覚士養成所を卒業し、受験資格を取得しなければいけません。
言語聴覚士がリハビリを行う対象は小児から高齢者までと幅広く、話す・聴くことに対するリハビリのほかに摂食・嚥下の問題にも専門的に対応しています。
なお、言語聴覚士は英語で「Speech Therapist」といい、これを略して「ST」と呼ばれてます。

言語聴覚士が行うリハビリとは

言語聴覚士が行うリハビリとは.jpg

話す・聞く・食べることに問題を抱えている人の症状はさまざまで、脳梗塞や事故の後遺症によるものから心理的なもの、また生まれつきの障害や発達の遅れからくるものまで原因も人それぞれです。
そのため、言語聴覚士には患者一人ひとりの症状に合わせた訓練やリハビリプログラムによるサポートが求められ、検査などを通して問題の本質を明らかにしながら対処法を見出し、訓練や指導、助言を行う必要があります。
具体的なリハビリの内容としては、
「言語障害に対するリハビリ」
「音声障害に対するリハビリ」
「聴覚障害に対するリハビリ」
「摂食嚥下障害に対するリハビリ」

などが主なリハビリとして挙げられます。
言語障害に対するリハビリでは、脳梗塞や脳卒中などの後遺症や事故などによる「失語症」でうまく話せない、話が理解できないといった患者に対し、コミュニケーションを取りながら自身の発語の確認や読み書きの訓練などを行います。
また、音声障害に対するリハビリでは、「構音障害(舌、唇、顔の筋肉など言葉を発する器官の問題から正しく発音ができなくなる障害)」や「音声障害(声帯などの病変や損傷により声質などに問題が生じる障害)」を抱える患者に対し、発語器官の運動訓練や呼吸筋の訓練などを行います。
「聴覚障害」に対するリハビリでは、生まれつきあるいは高齢や病気による難聴の患者に対し、聴覚検査や補聴器のフィッティング、人工内耳の調整などの支援を通して聞こえをよくするリハビリを行います。
「摂食嚥下障害」では、食べて飲み込むことに問題を抱える患者に対し、食事機能の維持や回復支援を行うとともに、摂食嚥下可能な範囲の評価や助言などを行います。
これらの障害に対するリハビリのほかにも、言語聴覚士は「子どもの言葉の遅れ」や「高齢者の認知障害」などに対してもサポートを行っています。

言語聴覚士が活躍できる場所と働き方

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言語聴覚士によるリハビリを必要とする施設は多く、その活躍の場は病院をはじめとした医療機関にとどまらず、福祉施設や介護施設など多岐にわたります。
また、診療報酬改定によってできる仕事も増えていることから、働く場所によって実施するリハビリ内容や求められる姿なども大きく異なります。
では、具体的にはどのようなところで言語聴覚士は活躍することができるのでしょうか。
詳しくみていきましょう。

最も多い就職先は医療機関

大半の言語聴覚士が就職先と選択しているのが、医療機関です。
実際に、日本言語聴覚士協会による令和2年3月現在における言語聴覚士の動向として勤務先の分布を確認すると、医療機関が74.4%と圧倒的に多いことが分かります。

言語聴覚士の勤務先と分布グラフ.jpg

(参照:日本言語聴覚士協会/会員動向

医療機関における就職先の例としては、以下が挙げられます。

【医療機関における言語聴覚士の就職先】

・一般病院
・総合病院
・専門病院
・大学病院
・リハビリテーションセンター
・地域病院
・診療所 など


医療機関にて行う言語聴覚療法は、診療科をはじめ急性期や回復期、維持期といったリハビリテーション医療の過程によって内容が大きく異なることから、就職先によって経験できることも変わってきます。
例えば、脳神経外科を専門とする病院では脳卒中による失語症のリハビリを中心に行うのに対し、認知症専門病院では認知症によるコミュニケーション障害に対するリハビリを中心に行う、などといった違いがみられます。
そのため、どの領域で働くかによって習得できる経験や知識も人それぞれといえます。
最近では、2020年度の診療報酬改定によって呼吸器リハビリの実施者に言語聴覚士が加わったり、難病患者リハビリの施設基準に言語聴覚士の配置が必須となったりするなど、活躍の場はさらなる広がりをみせています。
また、摂食嚥下リハビリでは言語聴覚士を含む多職種で構成された摂食嚥下リハビリチームによる効果的なリハビリの実施も追加され、言語聴覚士が担う役割はますます高まっているといえるでしょう。

需要増で訪問リハビリも人気!

高齢化が進む日本では、日常生活における自立を目的とした訪問リハビリのニーズが高まっています。
そのため、理学療法士や作業療法士だけでなく、言語聴覚士による訪問リハビリも需要が高く、入院や外来のみならず訪問サービスで活躍する人も増えている傾向にあります。
また、訪問リハビリの仕事は全体的に給与が高い傾向にあり、ある程度医療機関で経験を積んだ言語聴覚士の転職先としても人気があります。
訪問リハビリでは、主治医によるリハビリテーションの必要性が認められた人と65歳以上の要介護認定となっている人を対象に、医療機関と同様それぞれの症状に合わせて必要に応じた訓練を行います。
具体的には、言語訓練や構音訓練、嚥下訓練などがリハビリの内容として挙げられます。
訪問リハビリは医療機関と異なり訓練を行う場が利用者宅となるため、言語聴覚士によるリハビリは総合的な臨床経験がなによりも重要といえます。
加速する高齢化に伴い、今後は今以上に訪問リハビリの需要が高まることが予想されるため、将来的に訪問リハビリで活躍したいと考える方は、総合病院や大学病院など比較的規模の大きな病院で総合的に経験を積むことが、訪問リハビリで活躍する近道といえるのではないでしょうか。
なお、訪問リハビリでは言語聴覚士によるリハビリのみならず、介護士による身体介助や看護師によるサポートなどさまざまなサービスを実施しています。
さまざまな職種とチームを組み連携を行いながら訪問リハビリに当たるうえでは、コミュニケーション力も言語聴覚士に求められることのひとつといえるでしょう。

高齢化により福祉・保健施設でも活躍の場は広がる

訪問リハビリ同様、加速し続ける高齢化により福祉施設や保健施設を利用する高齢者は増加の一途をたどっています。
そのため、福祉・保健施設においても言語聴覚士の活躍は欠かせないものとなっています。
具体的な就職先の例として、以下の施設が挙げられます。

【福祉・保健施設における言語聴覚士の就職先】

・介護老人福祉施設
・心身障害者福祉センター
・聴覚言語障害厚生施設
・肢体不自由児施設
・重症心身障害者(児)施設
・知的障害児施設
・児童相談所
・地域包括支援センター 
・介護老人保健施設
・デイケアなどの通所施設
・訪問看護事業所
・訪問リハビリ事業所
・保健所 など


言語聴覚士の就職先として挙げられる福祉施設には、高齢者を対象とした施設と子どもを対象とした施設があり、それぞれの施設によって仕事内容や求められることは大きく異なります。
高齢者を対象とした福祉施設では、介護老人福祉施設やデイケアなどの通所施設などが挙げられ、入所または通所のサービスを利用する人に対し、失語症や認知症のリハビリに携わります。
また、子どもを対象とした肢体不自由児施設や重症心身障害者(児)施設などでは、発育の遅れや障害を持つ子どもの支援を行うことが一般的で、日常生活を基盤にしたリハビリを行いながら家族や教育機関と連携し、子どもの環境を整えることが求められます。
保健施設においては、先述した訪問リハビリ事業所をはじめ訪問看護事業所や介護老人保健施設などが挙げられます。
いずれにおいても、利用者一人ひとりの症状や障害に応じた機能回復訓練が主な仕事となりますが、自治体が運営する保健所などにおいては相談業務を担うことが一般的となります。

教師として教育機関で働く言語聴覚士も

言語聴覚士人口の割合でみると少数派ではありますが、教育機関で教師として活躍する言語聴覚士もいます。
主な働き方としては、言語聴覚士の養成所にて講師として働く場合と小・中学校の特別支援学級や特別支援学校で教師として働く場合の2種類に分けられます。
言語聴覚士の養成所で働く場合では、これから言語聴覚士を目指す学生の後進育成として、国家資格取得に向けた講義をはじめ、臨床実習や研究指導、学生指導のほか、学校に関する幅広い公務などが主な仕事内容になります。
また、児童を対象とした特別支援学校などで働く場合では、子どもの発達支援に対し医学的側面からの専門性をもって対応することが求められ、言語指導や聴覚活用の指導をはじめ、コミュニケーション訓練や音声・言語機能の維持向上を図ることが主な仕事内容となります。
なお、小・中学校における特別支援学級及び特別支援学校で言語聴覚士が働く場合、言語聴覚士資格のほかに教員免許を取得している必要があります

職場の選択肢が広がる言語聴覚士

職場の選択肢が広がる言語聴覚士のタイトルと笑顔の高齢者と言語聴覚士.jpg

活躍の場を広げる言語聴覚士は、とにかく豊富な選択肢にあふれており、それぞれの職場に応じて学べることには違いがみられます。
そのため、今後のキャリア形成を考えるうえでは、将来どのような言語聴覚士になりたいかという将来像を思い描くことで、自身が目指すべき職場が見えてくるのではないでしょうか。
また、いろいろな選択肢の中からさまざまな職場経験を通して総合的な知識と技術を身につけることも、キャリアアップという面では強みになるはずです。
新たなステップとして現在の職場から別の職場へ転職を検討する際は、ぜひ当コラムでご紹介した職場例を参考にしてみてはいかがでしょうか。


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