イベントレポート公開【オンラインセミナー】専門職としてのさまざまな働き方。今話題の「ローカルキャリア」とは?
イベントレポート公開【オンラインセミナー】「災害」×「ローカルキャリア」3カ月連続企画の第1弾は、石巻市で障害福祉業を営む理学療法士の横山翼さんによる「地域と学ぶ専門職」 。
更新日:2023年04月13日
公開日:2021年02月03日

病院やクリニック、介護施設など、さまざまな場所で活躍しているリハビリ職。
専門職としての活躍の場が多い一方、これからのキャリアや専門性の活かし方について悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
PTOTSTワーカーを運営するトライトグループでは、令和3年2月10日に 「地域と学ぶ専門職」をテーマにオンラインセミナーを開催することになりました。※イベントは終了しました。
今回は、リハビリ職の皆様を中心とした「専門職のキャリア」がテーマ。
理学療法士であり、障害福祉事業の一般社団法人Hito Reha 代表を務める横山翼さんをお呼びして、専門職としての働き方について、お話ししていただきます。
横山さんは、東日本大震災を機に大学卒業後に理学療法士として石巻市に移住され、 現在も石巻市で災害復興や地域と向き合い、寄り添いながら、ローカルキャリアを築かれていらっしゃいます。
目次
今話題の「ローカルキャリア」とは?
いま、若い世代を中心に「ローカルキャリア」に注目が集まっています。「ローカルキャリア」とは、地域と関わりながら働くことです。
多様な働き方により、自分らしい働き方やライフスタイルの実現を求めて、地方への移住や首都圏から地方へ往来し地域おこしに参加する人が増えています。
その発端となった復興庁・日本財団が平成25年に協働事業としてスタートした「Work for 東北」(※1)では、都市部の人を東北被災地に派遣する取り組みが行われ、双方に大きな成果をもたらしました。
その取り組みが全国に広がったことから、「ローカルキャリア」=「被災地復興や地域活性化など地域と関わる働き方」について注目が集まったといわれています。
また、日本が地方創生を推進している中で、各地で地方ならではのキャリア形成やキャリアアップについても様々な提案や活動が行われており、医療従事職による地域活動も以前より盛んに行われています。
国家資格として、専門性を持って働くリハビリ職。
働く“場所”は多岐に渡りますが、その専門性を活かして“どう働いていくのか”に悩む方は多いと聞きます。
「地域と関わる」働き方の中に、専門職としての新しいキャリアの道筋がみえるかもしれません。
(※1)参考: 財団法人日本船舶振興会(日本財団) 「WORK FOR 東北」復興庁協働事業における派遣実績について
「地域」×「専門職」・・・?
リハビリテーションの目的は、機能回復だけではありません。その人が日常の生活や社会生活を送れるように寄り添い、その人らしく生きる支援をすることも、リハビリテーションの目的です。
例えば、近所の人が気にかけて家まで声をかけに行ってくれる、買い物にいって困っていたら誰かが手を貸してくれるなど、 その人が地域で生活できる環境やコミュニティ作りができたら、それもリハビリテーションのひとつになるのではないでしょうか。
【イベントレポート】
震災を機に石巻に移住。地域に関わる中でリハビリ職として学んだことは?
今回のオンラインセミナーでは、2011年の東日本大震災を機に理学療法士の資格を取得後、2014年に宮城県石巻市へ移住された横山さんのキャリアのお話から始まりました。23歳で石巻市に移住した横山さんは、まちづくりや復興に携わっていきますが、その道は簡単ではなく、イベントや対話を行っても想いが共有・共感できずに何も伝わらないといった経験をされました。
「暮らしとは何か?まちづくりではなく、暮らしに寄り添ってリハビリ職としてなにができるのかを考え実行しました。」
町との関わりの難しさを痛感した横山さんは、そこで生きる人の暮らしに注目します。
農家の方の予防体操などを行うことで、少しずつ町や暮らしに入っていった横山さんは、リハビリ職として健康の部分に関わるだけではなく、より深くその人の暮らし全体やライフステージを見ていく必要があると感じ、地域課題、社会課題、に目を向けるようになりました。
「リハビリ職が関わることで「暮らしを変える」ってどういうことなんだろう?」
その後、ユニバーサルビーチでの経験から今の事業に興味を持ち、グロービスに行き経営を学ぶことで、今までどう解決したらよいのかわからなかった課題が、経営の力で解決できることを学びました。
そして、「その人が“個性を豊かにして、自分らしく生きる”ことに専門職として関わるには?」を考え、リハビリ職4名で立ち上げた一般社団法人Hitoreha。
掲げるVisionは“障がいを抱える方とその家族の想いを形にし、それぞれの“個性”や“らしさ”を豊かにする。そして、障がいを抱える方のチャレンジが人と地域を繋ぐ社会を創造する。”
横山さんの「地域を良くしたい」「想いで人を動かし、地域で人を繋ぎたい」そんな想いが伝わってきました。
横山さんが考える「専門職のキャリア」とは
横山さんは、専門職として働くことよりも前に、なぜ働くのかを考えるべきだといいます。「自分自身が変わり、そして職場、組織を一緒に変えること。それも今後のキャリアの一つの選択肢になり得るかもしれない。転職は選択肢でありキャリアの可能性が広がるかもしれないけれど、本質は自分は“なぜ働くか”であり、何をするかではない。そう思うんです。」
自身の事業のほかに、訪問リハビリの仕事も行っている横山さん。
働く人たちがありたい姿(理想の姿)を実現するために、ITの導入や訪問稼働率の向上、職場の組織文化の再構築など、「組織をどうよくするか?」も仕事の一部として考え実行しています。
ー向き合う地域に生きる人々の暮らしや生き方を考え寄り添うー
患者さんや利用者の方だけではなく、一緒に働く人たちや自分自身が「どう働いていきたい(生きていきたい)のか」を考えることが、専門職としての軸になるのかもしれませんね。
参加された方からのご感想

「やりたい」を「やれるな」と思えるようになりました。横山さんの想い、働き方、とてもかっこよかったです。

地域に根付き、地域のために尽力している姿にとても感動しました!

いい刺激を受けました。やりたいことがあるけれど、先に進む勇気と決断ができまずにいましたが、まずは一歩踏み出そうと思いました。また参加したいと思います。
次回開催について
今回のセミナーは、事前にお申込みいただいた方にURLを共有しWEB上で開催、合計48名の方に全国からお申込みいただきました。来月3月16日(火)19時30分には、今回の「災害」×「ローカルキャリア」企画の第2弾として、「“もしも”のときの移動を支える」をテーマにしたオンラインセミナーを開催いたします。
次回は日本ファンドレイジング協会との共同開催!
准認定ファンドレイザーの資格を持ち、一般社団法人日本カーシェアリング協会の事業部長である石渡賢大さんをお呼びします。
宮城県石巻市の地域おこし協力隊として、日本カーシェアリング協会に参画された石渡さん。
災害復興や地域復興について、お話ししていただきます。
ご興味のある方は、是非以下のURLよりお申込みください。
・参加方法:https://peatix.com/event/1797968
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