離職経験者の本音!「作業療法士はやめとけ」という理由とは?
現役の作業療法士をはじめ、過去に作業療法士として活躍していた方が「作業療法士はやめとけ」と言う理由にはどのようなことが原因として挙げられるのでしょうか。
更新日:2023年04月27日
公開日:2021年10月22日

作業療法士として働いていると、楽しいことも辛いこともさまざまな出来事が待ち受けています。なかには、作業療法士を辞めたくなってしまうような辛い出来事に悩み、実際に辞めてしまった人もいるようです。作業療法士を志すにあたり、「作業療法士をやめとけ」といわれることはありませんか?その理由にはどのようなことが挙げられるのでしょうか。詳しくご紹介します。
目次
そして、そのような考えに至った方のなかには、これから作業療法士を目指そうと考えている方やつらい思いをしている方、また過去の自分に対し「作業療法士はやめとけ」とついつい助言してしまいそうになることも。
実際に、一度離職した方のなかには作業療法士とは異なる職種に就き、「二度と作業療法士には戻りたくない」と新たな道へ進む方もいるようで、SNSや知恵袋サイトなどでもそのような投稿を目にすることもあります。
周囲に「作業療法士はやめとけ」と言ってしまうには、それなりの大きな理由があるはずですが、そこには作業療法士ならではの共通して挙げられる理由が。
本コラムでは、作業療法士が人気の職種となる陰で仕事に対してマイナスな感情を抱いてしまう原因について詳しくご紹介しています。
現在「作業療法士の仕事を辞めたい」と悩んでいる方は、今後の参考になる『離職後の進路』についてもご紹介していますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
作業療法士はやめとけといわれる5大理由とは
現役の作業療法士をはじめ、過去に作業療法士として活躍していた方が「作業療法士はやめとけ」と言う理由にはどのようなことが原因として挙げられるのでしょうか。さっそく詳しくみていきましょう。
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理由その1:忙しすぎる
作業療法士の仕事の忙しさは職場によって左右されることが多く、のんびり働けるところもあれば、反対に地獄のような忙しさで心身をすり減らしながら働かなければならないところも。忙しすぎる職場では、
・食事評価で昼の休憩時間が潰れてしまうのは当たり前
・午前の外来が押しても午後からの外来対応やカンファレンスがあり休む暇がない
・一人あたりの担当患者数が多すぎるため事務作業などは時間外が基本
・土日休みは勉強会や研修などで潰れることが多い
・職員不足により介護士や看護師が担うべき仕事も手伝わないといけない
などといったことが常態化してることもあるようです。
与えられる仕事量が多いだけでなく、職場での拘束時間も長いことに加え時間外での勉強会などとにかく忙しい作業療法士は、多忙な日々に心身をすり減らした結果、作業療法士の仕事そのものが嫌いになってしまう人も少なくないようです。
理由その2:プレッシャーが大きい
作業療法士の仕事はリハビリを通して患者さんの心身機能の回復を促し社会復帰に向けたサポートを行うことですが、患者さんの社会復帰支援という重要な役割を担う反面、プレッシャーは大きくなりがちです。日常的に感じるプレッシャーは知らず知らずのうちにストレスとなって蓄積されていくため、うまくストレスを発散させることが作業療法士の仕事を長く続けるうえで大切といってもいいかもしれません。
しかし、なかには自身で消化できないような周囲からのプレッシャーに悩む人もいます。
先輩や上司から「利用者さんのため、患者さんのため」と口癖のように繰り返し言われプレッシャーをかけられたり、一日に決められた単位のノルマを課せられていたりする職場では精神的なストレスが大きくなりがちです。
日々のプレッシャーに耐え切れなくなってくると、次第に作業療法士の仕事にやりがいを感じなくなってしまったり、精神的に落ち込んで出勤するのがしんどくなってしまったりと、働く意欲が削がれていくことで「辞めたい」と思う気持ちが大きくなってしまうようです。
理由その3:人間関係がしんどい
作業療法士は患者さんに限らず理学療法士や言語聴覚士、看護師や医師などさまざまな職種の人をはじめ、患者さんのご家族などさまざまな人と密接に関わりをもっていることから、人間関係の悩みやそれに伴うトラブルがきっかけで「作業療法士なんてやめておけばよかった」と思う人も多いようです。どういった職種であれ、働くうえで『苦手な人』にカテゴライズされる人は大抵1人や2人はいるものですが、作業療法士は仕事の特性上どれだけ苦手な人や嫌いな人がいたとしても“できるだけ関わらない”といった行動がとりにくいため、人間関係の悩みが大きなストレスとなりがちです。
実際に、作業療法士を取り巻く環境のなかで生じやすい人間関係の悩みでは、以下のようなことが挙げられます。
・リハビリに対する意識や価値観、考え方を押し付けてくる先輩や同僚
・適切な指導を行わず仕事に対する意識が低い先輩や上司
・患者さんや利用者さんとうまくコミュニケーションがとれない
・人の悪口や陰口をいう人が職場にいる
人間関係がしんどいと思う理由は周囲の人に要因があるケースがほとんどですが、なかにはもともと人とコミュニケーションをとるのが得意ではなかったという人も。
コミュニケーションそのものが得意ではない人は特に、常に誰かとコミュニケーションをとらないといけない環境が苦痛に感じやすく、社会人になって早々に作業療法士を辞めてしまうこともあるようです。
理由その4:患者対応に病む
作業療法士として働いていると、性格も思考もさまざまな患者さんに出会います。なかには「ちょっと苦手だな…」と思ってしまう患者さんもいるかもしれません。
しかし、そこはプロとして接し方を工夫しながらリハビリを続けていく必要があります。
ですが、自分なりに最善を尽くそうと努力をしていてもうまく関係を作れないことは少なくなく、患者さんとの距離が近い職種がゆえに対応に悩むなかで次第に患者さんと接すること自体が嫌になってしまう人もいるようです。
患者さん対応で苦労するケースでは、感情の波が激しい人やカッとなって暴言を頻繁に繰り返す人、訓練だけでなく作業療法士を拒絶する人などさまざまですが、気持ちの切り替えがうまくできない、言われたことを全部受け止めてしまいやすい人はストレスを蓄積しやすい傾向にあります。
一筋縄ではいかない患者さんの対応に精神的に落ち込んで、「ストレスのない仕事に就きたい」と考えることもまた「作業療法士はやめとけ」といわれる理由のひとつのようです。
理由その5:給料が安い
「作業療法士はやめとけ」と助言する現役作業療法士あるいは元作業療法士のなかには、給料の安さに対して不満を抱えている(いた)ケースも多いようです。その理由について深掘りしていくと、作業療法士は昔に比べて有資格者は各段に増え、活躍の場があちこちに広がり需要は増えているものの、看護師や臨床検査技師などのその他医療職と比べて給料が劣るということが不満の原因のひとつとなっていることが分かりました。
実際に調べてみたところ、厚生労働省の令和2年賃金構造基本統計調査(※)によると、作業療法士の平均給料は約28.1万円であるのに対し、看護師の平均給料は約30.9万円、また臨床検査技師の平均給料は約30.1万円と2万円の差がありました。
また、平均給料に賞与を足した平均年収で比較するとその差はさらに大きく、作業療法士の平均年収が約408.5万円であるのに対し、看護師の平均年収は約456.6万円、臨床検査技師の平均年収は約461.6万円となっており、給料の差が顕著に表れていました。
作業療法士は患者さんの日常生活に必要な機能回復のため、手先のリハビリや心のリハビリといった細やかなケアが求められるため、決して楽な仕事とはいえません。
そのため、医療に携わる責任と仕事の大変さに対して給料が見合わないと感じてしまう人は、「これだけ仕事を頑張っているのに?」とがっかりしてしまうことも少なくないようです。
(※)参考:令和2年賃金構造基本統計調査/厚生労働省
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実際に作業療法士を辞めた人のその後とは?
作業療法士を辞める理由は人それぞれですが、医療や介護業界の転職はさほど珍しいものではなく、職場を変えたり業種を変えたりして別の道に進む人は意外と多くいます。作業療法士の場合、離職後の進路として挙げられるのが以下の3つのケースです。
1・作業療法士として働ける別の職場への転職
2・作業療法士とは異なる異業種への転職
3・大学や専門学校などに通い学業に励む
それぞれ詳しくいきましょう。
まず、作業療法士として働ける別の職場への転職についてですが、これは作業療法士の仕事を続けていく場合の転職です。
多くは、職場環境の改善や給与などの待遇面アップ、仕事に対するやりがい、長期キャリアの形成などの目的から転職をしており、給与アップが目的なら訪問リハビリへの転職、残業が少なく決まった休みで働きやすい職場への転職が目的なら入院設備のないクリニックといった具合に、それぞれの転職目的に合わせて就職先を変える傾向が高めです。
次に、作業療法士とは異なる異業種への転職ですが、こちらは作業療法士としての経験を活かした転職と作業療法士とはかけ離れた職種への転職の2種類が挙げられます。
作業療法士としての経験を活かした転職では、ジムやフィットネスにおけるスポーツインストラクターや、スポーツメーカーや介護メーカーでの営業職など、作業療法士の専門性を活かしながら働ける職種への転職が中心です。
一方で作業療法士とはかけ離れた職種への転職では、企業の一般事務職や服飾や日用品などの販売職など、これまでの作業療法士の仕事とは全く異なる職種への転職が中心で、心機一転新たな道を進むケースが挙げられます。
最後に、上記で挙げた転職以外の離職後の進歩として大学や専門学校などに通い学業に励む場合では、離職後に勉学の道を選択する人の多くは看護師や社会福祉士、精神保健福祉士などの別の資格取得を目指すケースが多い傾向にあり、なかには医師を目指すためという人もいるようです。
作業療法士は看護師やその他医療専門職などと関わる機会が多いため、作業療法士よりも別の資格を取得して働きたいと考える人は実は意外と多いのです。
仕事のストレスを感じたら…
どんな仕事でも少なからずストレスはついてまわるもの。それは作業療法士にも同様にいえることです。
リハビリの専門職とはいえ作業療法士だって一人の人間なのですから、ストレスを全く感じないということはないのです。
とはいえ、仕事をするうえで全くストレスなく働くということはほぼ不可能でしょう。
そのため、今後も作業療法士の仕事を続けていこうと考えている方は、仕事や職場でのストレスをうまくコントロールし、普段から予測できるストレスに対処できるスキルを身につけておくことが大切です。
しかし、仕事でストレスを感じる原因が自身にない場合や回避したくても回避できないストレスが多い場合は、どうしても知らず知らずのうちにストレスが蓄積しがちです。
蓄積したストレスは心身に不調をきたしてしまうことも少なくなく、最悪の場合働くことさえ困難な状況に陥ってしまうこともあるということを理解しておく必要があります。
このような外的要因によるストレスで悩み、どうしても今の職場で働くことが苦痛、しんどい、辛いと感じる場合は、思いきってストレスの元凶となる職場自体を変えることを考えてみるのもよいかもしれません。
作業療法士の需要は高齢化により今後も高くなると予想されており、病院やクリニックなどの医療機関をはじめ、介護施設や福祉施設、職業支援施設、教育機関などさまざまな場所で働くことができます。
働く場所がたくさんあるということは、それぞれの施設によっていろいろな働き方があるということですから、転職によって【ストレスの少ない自分に合った職場】はきっと見つかるはずです。
手先の細かい作業を用いたリハビリを通して患者さんのQOL向上のための支援を行う作業療法士のやりがいは唯一無二ですから、せっかく取得した国家資格とこれまでの経験を捨ててしまうよりも、『転職』という選択肢で視野を広げてみることをおすすめします。
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