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回復期リハビリテーション病棟とは?リハビリ内容と病院の役割について理解しよう

回復期リハビリテーション病棟とは?リハビリ内容と病院の役割について理解しよう

更新日:2023年01月19日

公開日:2023年01月17日

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リハビリをする理学療法士

家族が病気やケガで入院したあと、症状が安定してきたら回復期の病院に転院することがほとんどです。入院した最初は不安になりますが、回復のきざしが徐々に見えてくると安心しますよね。そこで気になるのは転院後のリハビリ内容について。回復期の病院では、退院に向けた集中的なリハビリが行われます。ここでは詳しいリハビリ内容や、回復期リハビリテーション病棟の特徴についてご紹介します。

リハビリテーションとは?

患者さんに寄り添って話すスタッフ

まずリハビリテーションとは、病気やケガなどで障害を抱えた人を治療し、在宅・社会の復帰を目指すことを指す言葉です。リハビリは身体的なアプローチだけでなく、精神的なサポートや社会復帰のための応用的な動作指導など、その種類は豊富です。リハビリは「理学療法士」「作業療法士」「言語聴覚士」が中心に行い、患者さんが在宅・社会復帰するために必要なプログラムを組み立てます。ここではそれぞれのリハビリ職の役割について説明します。

理学療法士は基本的な動作のリハビリを行う

理学療法士(PT)は「歩く・立つ・座る」など、日常生活のなかでも基本的な動作の獲得を目指してリハビリを行います。筋力トレーニングや歩行練習などの運動療法、電気・熱を利用した物理療法を行い、障害を抱えた人の身体機能の改善を図ります。

作業療法士と言語聴覚士にも共通しますが、患者さん一人ひとりの症状は異なるため、それぞれにあわせた独自のリハビリを行うのが特徴です。あらかじめ身体機能を評価し、本人の希望・悩みを聴取したうえで、その人の目標を達成するためにリハビリプログラムを組み立てます。

作業療法士は応用動作のリハビリを行う

作業療法士は基本的な動作だけでなく、その人の社会復帰のために必要な応用動作の獲得を目指してリハビリを行います。日常生活だけでなく、その人らしく生きるためのサポートを行うのが作業療法士の特徴です。応用動作には以下のようなものがあげられます。

料理や洗濯などの家事
散髪
パソコンのタイピング
筆を使用した描画
テニスやゴルフなどのスポーツ など


このように、応用動作はダイナミックなものから細かいものまでさまざまです。その他にも精神的な障害を抱えた人に、リハビリを通じてサポートを行う役割も担っています。

言語聴覚士は話す・食べるなどのリハビリを行う

言語聴覚士は、コミュニケーションや食事の改善を中心にリハビリを行います。とくに脳卒中になると、話す・理解する・食べ物を飲み込むといった機能が障害されるケースが多いです。それらの症状に対して、以下のようなリハビリを実施します。


発声練習で声を出しやすくする
文章を読んで考える力を養う
その人が食べやすい食形態を提案する など

上記の内容から、理学療法士と作業療法士は動作を中心としたリハビリなのに対して、言語聴覚士はおもに身体の内面をアプローチしているのがわかります。


このように、3つの職種はそれぞれの特性を活かしつつ、連携しながらリハビリを進めていきます。

回復期のリハビリテーションとは?

リハビリをする患者さんとスタッフ

病気やケガで障害を抱えた患者さんがリハビリを行うことで、少しずつ症状の改善に近づきます。ここでは患者さんが回復期にどのようなリハビリを実施するのか、その特徴を説明します。

症状が安定してきた時期に行うリハビリ

まず病気やケガをしたら、3段階の時期に大きく分けられます。


急性期:病気やケガをした直後の時期
回復期:症状が安定して回復に向かっている時期
維持期:機能が安定して自宅・社会生活を維持している時期


回復期とは、急性期から時間が経過して症状が落ち着いた後のタイミングです。急性期では病気やケガの直後のため、積極的なリハビリはあまり行えません。しかし回復期に移行して症状が安定することで、さまざまなリハビリの実施が可能となります。

回復期のリハビリの重要性は高い

回復期では患者さんの症状が落ち着き、身体機能や動作の改善を目指せる時期です。在宅・社会復帰を目指すためには、回復期の段階でいかに集中的にリハビリを行えるかが重要となるでしょう。この時期のリハビリ内容によって、身体の回復度合いが大きく左右されます。回復期リハビリテーション病棟に転院する際は、最適なリハビリを行える環境が整っていることが大切です。

回復期リハビリテーション病棟とは?

リハビリする患者さんたちとスタッフ

急性期病院の入院が経過したら、回復期リハビリテーション病棟へ転院します。ここでは回復期リハビリテーション病棟とはどのような特徴があるのかを説明します。

自宅や社会に復帰するためのリハビリを行う病院

回復期リハビリテーション病棟とは、急性期が過ぎて症状が安定した時期に、より集中的なリハビリを行う病院です。入院後はリハビリによって、身体機能を少しでも以前の状態に近づけて在宅・社会の復帰を目指します。

リハビリは1日あたり最大で3時間あり、そこで集中的な練習を行います。病院によっては365日休まずリハビリを行っているため、より身体機能の改善が期待できるでしょう。その他にもスタッフとの付き添いで患者さんが自宅に戻り、実際の動作を確認したり、家屋回収を検討したりする「家屋調査」も行われます。

チーム医療で患者さんのサポートを行う

回復期リハビリテーション病棟では、ただリハビリを行うだけではありません。医師や看護師、ソーシャルワーカーなどの各職種が1つのチームとなって、患者さんを24時間365日サポートします。リハビリを実施するだけでなく、入院生活を快適に送れるように環境を調整したり、退院後も家庭や社会に復帰できるような手続きを行ったりしています。それぞれの医療職が連携をすることで、患者さんに対して満足のいくサービスを提供できるのが回復期リハビリテーション病棟の強みです。

入院の基準と期限

回復期リハビリテーション病棟に入院する対象者の基準は、厚生労働省によって定められており、さらに医師の診断が必要です。
 
おもな対象疾患は以下のとおりです。


●  脳血管障害
●  脊髄損傷
●  大腿骨骨折
●  肺炎後の廃用症候群
●  股・膝関節の置換術後 など

入院期間も疾患によって異なり、最短で60日間、最長で180日間と決められています。基本的に、靭帯損傷や骨折、廃用症候群などで入院した場合は60〜90日間で、脳卒中や脊髄損傷などでは150〜180日間です。 

引用:令和 4年度診療報酬改定の概要 - 厚生労働省

回復期リハビリテーション病棟を選ぶポイント

話をするスタッフ

回復期リハビリテーション病棟の特徴について理解したうえで、急性期病院から転院するときはどのような病院を選べばいいのでしょうか。ここでは回復期リハビリテーション病棟を選ぶときのポイントを説明します。

1日のリハビリは長く行えるか

1日のリハビリ時間をなるべく長く行ってくれる病院を選びましょう。回復期リハビリテーション病棟では、リハビリの時間は最大で3時間実施できます。これはあくまでも制度の話であり、病院すべてが3時間のリハビリを行っているわけではありません。リハビリは身体機能の改善にも大きく関係してくるので、なるべく3時間行ってくれる病院を選ぶのがおすすめです。

365日リハビリを行っているか

リハビリを行う時間も重要ですが、365日稼働している病院かどうかも確認するべきです。土日・祝日にリハビリが休みだと、動かない時間が増えて身体機能が低下する危険性があります。 

しかし最近では、365日休みなく毎日リハビリを行える回復期リハビリテーション病棟が当たり前になりつつあります。そのため、そこまで過度に心配をする必要はありません。リハビリの稼働状況は病院のホームページでも確認できるため、あらかじめ確認しておくといいでしょう。

退院後の在宅復帰率が高いか

退院後の在宅復帰率がどの程度かを確認することも大切です。家族としては「病気を治して以前のように自宅で生活してほしい」という思いがあります。そのため、在宅復帰率が高い病院であるほど信頼性は高いといえるでしょう。また、この数値はリハビリの質が高いかどうかの判断となる基準にもなります。転院を考えている病院がある場合、まずは在宅復帰率がどのくらいかを確認してみましょう。

リハビリ以外の余暇時間をどうしているか

リハビリ時間以外の病院生活では、どのような取り組みが行われているのかも重要です。リハビリを最大3時間行ったとしても、それ以外の時間をベッドで寝ながら過ごしていては意味がありません。余暇時間は起きるように促したり、レクリエーションを行ったりする環境があると、身体機能の低下を防げるでしょう。入院生活のすべてがリハビリの一環となるように、さまざまな工夫がされている病院を選んでみましょう。

病院内の雰囲気はいいか

病院内の雰囲気がいいと、安心して入院生活を送れます。リハビリは身体機能の改善には欠かせないものですが、その分大変なときもあるでしょう。それでもリハビリスタッフが明るく励ましてくれたり、看護師や医師が親身に体調に気をつかってくれたりすると、患者さんも元気が出るはずです。 反対に、スタッフの対応が悪いとリハビリに対して後ろ向きになりやすく、身体機能の改善が遅れる危険性があります。身体面だけでなく、精神面もサポートしてくれるような雰囲気のいい病院を選びましょう。

病院へのアクセスは良好か

病院へのアクセスが良好かどうかも確認しておきましょう。回復期リハビリテーション病棟は最長で180日間も入院する可能性があるので、訪れやすい立地であれば家族もラクです。定期的な面談を行ったり衣服を届けたりなど、自宅から離れている病院に頻繁に訪れるとなると家族の負担も大きくなります。 立地に関しては他のポイントより優先度は落ちますが、なるべくアクセスが良好な病院であることが望ましいです。転院先の候補のリハビリ時間や在宅復帰率、雰囲気などが同じようであれば、立地で検討するのもいいでしょう。

回復期病棟の入院中に家族ができるサポートとは?

リハビリをする父と娘

身内が集中的なリハビリのために回復期病棟へ入院した場合、家族にもなにかサポートを行えることはあるのでしょうか?ここでは入院中に家族ができるサポートについてご紹介します。

一緒にリハビリに参加する

リハビリを見学、あるいは一緒に参加すれば、患者さんのモチベーションも高まりやすくなります。病気やケガをすると身体的な障害だけでなく、精神面にも大きなダメージを負ってしまいます。病院のスタッフもチーム一丸となって患者さんをサポートしていますが、さらに家族が協力してくれるのは非常にありがたいです。

 家族も参加して励ましの声をかけたり、一緒に運動をしたりすれば、患者さんも「治りたい」というポジティブな気持ちが強くなります。コミュニケーションをとるだけでも心の支えになるので、可能なら定期的に病院に訪れるようにしましょう。

自宅の環境を整備しておく

退院後に在宅復帰が可能であれば、身体状況にあわせて自宅の環境を整備しておきましょう。事前に介護保険の申請を行いケアマネージャーに相談すれば、福祉用具のレンタルや自宅の改修がよりスムーズとなります。

 さらに退院後もリハビリが必要であれば、訪問看護サービスやデイサービスなどの利用も検討しておきましょう。患者さんが安全に自宅で生活できるように、あらかじめ環境を整えておくと退院前後にバタバタする必要がなくなります。

退院後の生活支援についてアドバイスを受ける

退院後も安全に過ごせるように、スタッフから生活支援のアドバイスを聞きましょう。自宅生活での不安点として、以下のようなものがあげられます。


● どんな介助をすればいいのか
●  食事形態はどうすればいいのか
●  どんな点に気をつければいいのか
●  服薬はどのタイミングで行えばいいのか など

もちろんこれらは退院前にスタッフから説明が行われますが、念のためこちらでも聞いておきたいことは考えておきましょう。自宅に帰ったあとは家族のサポートが重要となるため、不安点を少しでも解消して安全に生活できるような準備をしましょう。

回復期に行うリハビリテーションの目的を理解しておこう

笑顔で話す患者さんとスタッフ

回復期では病気やケガの症状が落ち着き、少しずつ身体が回復に向かっています。そのため身体機能の改善や、動作の獲得が期待できる時期といえます。在宅・社会復帰を目指すには、回復期で集中的なリハビリを行うことが非常に重要です。回復期リハビリテーション病棟に転院する際は、リハビリ時間や在宅復帰率、スタッフのサポート環境などが整っている場所を選びましょう。またリハビリだけでなく、精神的なサポートを行うためにも家族の協力が必要です。まずは自分のできる範囲で、心の支えとなれるように寄り添っていきましょう。
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