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日本作業療法士協会とは?具体的な活動内容や入会のメリットについてご紹介

日本作業療法士協会とは?具体的な活動内容や入会のメリットについてご紹介

更新日:2023年03月01日

公開日:2023年03月01日

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医療チーム

作業療法士の資格を取得した際に、多くの方は日本作業療法士協会の加入をすすめられると思います。しかし、どのような団体なのか、加入にはどのようなメリットがあるのかイマイチわからないですよね。この記事では、日本作業療法士協会の活動内容や、加入時のメリットなどをご紹介します。作業療法士として就職したばかりで、協会に加入しようか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。

日本作業療法士協会とは

ポーズをとるスタッフ

日本作業療法士協会とは、どのような団体なのでしょうか。ここでは協会の成り立ちや役割について解説します。

日本作業療法士協会の発足

日本作業療法士協会は、作業療法士の資格取得者によって1966年に結成された団体です。1972年に世界作業療法士連盟(WFOT)に加盟し、2012年には一般社団法人となりました。会員数は、平成28年の段階で54,054名となっています。国内の作業療法士でみると、約68%の割合で協会に参加している計算だといわれています。

日本作業療法士協会の役割

日本作業療法士協会の役割として、以下の事業を実施しています。

●     作業療法の知識の発展に関する事業
●     作業療法の技術の向上に関する事業
●     作業療法の活用の幅を広げるための事業
●     作業療法の普及と発展に関する事業
●     内部・外部の団体との交流に関する事業
●     事故や災害によって被害を受けた障害者を支援する事業
●     高齢者や子どもを支援する事業

このように、作業療法の発展や作業療法士の自己研鑽のために、協会はさまざま事業を行っているのです。

日本作業療法士協会の具体的な活動内容

パソコンに向かうスタッフ

日本作業療法士協会の活動内容はさまざまあり、以下の部署に分かれて行われています。

●     学術部
●     教育部
●     制度対策部
●     国際部
●     広報部

ここではそれぞれの部署の具体的な活動内容について解説します。

学術部の事業活動

学術部は以下の活動を行っています。

●     学会の開催
●     学術誌の発行
●     作業療法マニュアルの作成
●     事例報告登録制度の作成

学術部は作業療法によって得られた有効事例の蓄積、効果の実証などに関係した活動を推進しています。学会を開催したり、作業療法ジャーナルを発行したりすることは、作業療法士の研鑽につながります。これらはエビデンスにもとづいた質の高い作業療法を提供するためには欠かせない活動といえるでしょう。

教育部の事業活動

教育部は以下の活動が中心です。

●     卒前・卒後の教育
●     各種研修会の運営
●     生涯教育制度の運営

作業療法士は、資格を取得して学校を卒業したら勉強が終了するわけではありません。時代の流れとともに作業療法も変化するため、常に知識や技術をアップグレードする必要があります。

作業療法士が今後の時代でも対応できるように、教育部はその支援を行っているのです。また、生涯教育制度を進めていくことで「認定作業療法士」や「専門作業療法士」などの新しい資格を取得可能です。

制度対策部の事業活動

制度対策部は作業療法士と関連性が高い法律・制度に関する活動を行っており、以下の3つの委員会に分けられます。

●     保健対策委員会
●     障害保険福祉対策委員会
●     福祉用具対策委員会

これらの委員会は法律や制度を通して、作業療法士が仕事を行いやすい環境を整えつつ、社会的地位を高めることが目的です。たとえば、制度の改正を行政に促したり、作業療法士の活躍の幅を広げるために他職種へ働きかけたりしています。その他にも、教育や就労支援に対しての活動も行っています。

国際部の事業活動

国際部は、グローバルな視点から作業療法の発展を支援しつつ、海外で活動している作業療法士と交流ができる環境を作っています。おもに以下の活動を行っています。

●     国際的な学術交流や研修の支援
●     世界作業療法士連盟の加盟国としての活動
●     海外の作業療法士協会との交流

作業療法士は日本国内だけでなく、世界全体で活躍をしており、協会はその交流の架け橋となっているのです。海外でどのような作業療法を行っているのか、どのような活動をしているのかを共有し、作業療法士全体の飛躍につなげています。

広報部の事業活動

広報部では作業療法士の役割を広く明確に伝え、社会の中でもより身近な存在にするための活動を行っています。おもな活動内容は以下の通りです。

●     機関誌編集・発行
●     WebサイトやSNSの企画・運営
●     広報活動の企画、広報物の制作

作業療法士を理解してもらうには、その存在を積極的にアピールする必要があります。インターネットが普及している今、紙面だけでなくWebサイトやSNSを活用した広報活動も重要です。あらゆるアプローチを行い、作業療法士の認知度を高めているのです。

日本作業療法士協会の生涯教育制度とは

パソコンを使って勉強する生徒

日本作業療法士協会には、作業療法士が継続して自己研鑽を行える「生涯教育制度」が設けられています。生涯教育制度は、以下の3つの構造から成り立っています。

●     基礎研修制度
●     認定作業療法士取得研修
●     専門作業療法士取得研修

ここではそれぞれの仕組みについて解説します。

基礎研修制度

基礎研修は「現職者研修」と「自由研修」の2種類に分かれています。2種類の研修を受講し、一定の基礎研修ポイントを取得したら修了となり、認定作業療法士の取得研修に移行可能です。それぞれの研修制度についてご紹介します。

現職者研修

現職者研修は「共通研修」と「選択研修」の2種類があります。共通研修は協会の会員として必要な事項をおさえつつ、臨床における基礎的なスキルの向上を目的としています。選択研修では「生活行為向上マネジメント(MTDLP)」と呼ばれる必修項目に加え、以下の4つの領域から1つ以上の受講が必要です。

●     身体障害
●     精神障害
●     発達障害
●     老年期

現職者研修の修了に明確な期限はありませんが、協会に入会して5年以内が望ましいです。

自由研修

自由研修は、以下の学会や研修会の参加・発表によって基礎研修ポイントを取得するものです。

●     協会や各都道府県にある作業療法士会によって開催される学会・研修会
●     協会が認定した他団体によって開催される学会・研修会
●     臨床実習指導

取得できる基礎研修ポイントは、自由研修の内容によって異なります。現職者研修を受講し、自由研修で50ポイント取得した場合、5年の有効期限がある修了証が交付されます。この修了証は、認定作業療法士になるためには必須の条件です。

認定作業療法士取得研修

認定作業療法士とは、作業療法に求められる臨床経験や知識、管理力などの能力が一定の水準以上であることを認定するものです。ここでは取得条件や更新条件について詳しく解説します。

認定作業療法士の取得条件

認定作業療法士の取得には基礎研修の終了後、以下の条件が必要です。

1.「共通研修」と「選択研修」を受講し、講座ごとの修了試験に合格する
2.臨床実習指導者講習会を受講する
3.事例報告を3例行う
 
臨床実習指導者講習会には4年以上の実務経験が必要となるため、作業療法士としての経験年数も求められます。これらの条件を満たせば、協会に認定資格の取得申請が可能となり、認定作業療法士となれるのです。

認定作業療法士の更新条件

認定作業療法士の資格は永続ではなく、5年間の有効期限があります。再び更新するには、以下の条件を満たし、かつ研修や社会貢献などで100ポイント以上取得する必要があります。

1.基礎研修ポイントを25ポイント以上取得
2.実践報告で25ポイント以上取得(1回につき25ポイント)
3.臨床実習や研修会で講師として後輩の育成を実施(1回につき5ポイント)
4.他職種や行政からの依頼による啓発活動を含めた社会貢献を実施(1回につき5ポイント)
5.3と4を含めて25ポイント以上取得

専門作業療法士取得研修

専門作業療法士とは、認定作業療法士のなかでも高い能力を持っていることを協会が認定したものです。ここでは取得条件と更新条件について詳しく解説します。

専門作業療法士の取得条件

専門作業療法士になるには、以下の条件が必要です。

1.認定作業療法士である
2.取得に必要な4つの実践項目(研修実践、臨床実践、研究実践、教育・社会貢献の実践)を修了する
3.1と2を満たした後、資格認定試験に合格する[1] 
 
これらの条件を満たすと、資格の取得が可能となります。

専門作業療法士の更新条件

専門作業療法士も5年間の有効期限があり、必要に応じて更新申請をする必要があります。更新に必要な条件は以下の通りです。

1.生涯教育基礎ポイントを25ポイント以上取得
2.研究実践を4単位以上取得
3.教育・社会貢献の実践を4単位以上取得
4.2と3をあわせて15単位以上取得[1] 
 
専門作業療法士を更新すれば、認定作業療法士の更新を行う必要はありません。

出典:生涯教育制度 2020 制度の概要と解説 - 日本作業療法士協会

日本作業療法士協会の入会で加入できる保険

保険

日本作業療法士協会は作業療法士の発展だけでなく、保険の加入によって仕事面のリスクを軽減させる役割もあります。用意されている保険は、協会の会員全員が加入する「基本プラン」と、任意の「上乗せ補償プラン」の2種類です。ここではそれぞれの保険の内容についてご紹介します。

全員加入の基本プラン

会員の全員が加入する基本プランの補償内容と、それぞれ1事故あたりの上限額は以下の通りです。

●     対人賠償(200万円、期間中600万円)
●     対物賠償(10万円)
●     初期対応費用(50万円)
●     死亡・後遺障害(4万円)

これらの保険料は協会が負担してくれます。基本プランの手続きは不要で、協会の入会によって自動的に加入されます。

任意加入の上乗せ補償プラン

基本プランに加え、上乗せ補償プランを追加すると補償の範囲と上限額が広くなります。補償内容と1事故あたりの上限額は以下の通りです。

●     対人・対物の個人賠償責任(1億円)
●     人格権侵害(100万円、期間中500万円)
●     被害者対応費用(5万円)
●     対人賠償(1億円、期間中3億円)
●     対物賠償(100万円)
●     初期対応費用(300万円)
●     死亡・後遺障害(8万円)

年間保険料は1名あたり2,840円です。

このように、基本プランでは不安だった補償上限額が大幅に増えているため、業務を行う際の安心感は高いといえるでしょう。

引用:「作業療法士総合補償保険制度」の ご案内

日本作業療法士協会の入会方法

笑顔のスタッフ

ここでは日本作業療法士協会の入会や退会、休会の方法について解説します。

入会の手順

協会の入会手順は以下の流れで行います。

 

1.協会のホームページにアクセスして「入会案内→正会員入会」の流れで手続き
2.手続き後、自動配信メールが届く
3.配信メールのURLから入会申込フォームへ進む
4.「作業療法士免許証」または「登録済証明書」の画像を添付して送信
5.情報が問題ない場合、入金先情報が発送される
6.入金先情報にしたがって15,000円を入金
7.入金確認後、会員登録が完了
 

入会の年会費は12,000円で、毎年2月末より支払い手続きを行います。

退会・休会について

退会は当該年度の会費を支払ったうえで、教育事務局へ問い合わせることで申請が可能です。退会の他にも、出産や育児、病気を理由に休職・退職した会員の措置を目的とした休会制度も設けられています。

休会中は会費が免除され、期間は1年度単位で最大5回まで利用できます。連続的、断続的どちらでも問題なく、その方の都合にあった使い方ができるのが特徴です。休会中は学会・研修会の参加や賠償責任保険(基本プラン)への加入が停止される点には注意しましょう。

休会の申請は当該年度の会費を支払ったうえで、休会届とその理由となる証明書を協会の事務局に提出します。必要な証明書は休会理由によってことなるので、不明な点は事務局に連絡しましょう。

日本作業療法士協会に入会するメリット・デメリット

考えるスタッフ

日本作業療法士協会に入会すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここではメリットやデメリットについて解説します。

入会するメリット

入会のメリットには以下の点があげられます。

●     認定・専門の資格を取得できる
●     学会・研修の参加費が安くなる
●     手続きしなくても保険の加入ができる

認定や専門作業療法士の資格を取得しておくと、職場からの評価や信頼性が高くなる傾向にあります。職場によっては、資格手当として給料が上がるケースもあるでしょう。また協会主催の学会や研修会に割安で参加できます。

入会するデメリット

入会するデメリットは以下の点です。

●     年会費がかかる
●     他の作業療法士からの信頼性が下がる可能性もある

 協会の加入には年会費がかかります。金額も決して小さくないので、その費用に見合った活動をしていない場合、ムダと感じてしまうこともあるでしょう。

また、リハビリに力を入れている職場は「協会の加入は当たり前」という空気感があります。協会に加入していないと、他のスタッフから「やる気がないのでは」と思われ、信頼性が下がる恐れがあります。協会のメリット・デメリットを理解したうえで、入会しない明確な理由を説明できれば、その問題はある程度解消できるでしょう。

日本作業療法士協会の仕組みを理解しよう(まとめ)

スタッフと患者さん

日本作業療法士協会とは、作業療法士が働きやすい環境を整えたり、作業療法の認知度を高めたりなど、さまざまな活動を行っています。協会に加入すると、新たな資格の取得や保険の利用など、得られる特典も豊富です。しかし、協会は作業療法士の全員が加入を強制するものではなく、あくまでも任意です。協会に所属するメリット・デメリットを十分に把握したうえで、加入の有無を決めましょう。

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