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変形性膝関節症のおすすめのリハビリは?運動の種類や実施中の注意点をご紹介

変形性膝関節症のおすすめのリハビリは?運動の種類や実施中の注意点をご紹介

更新日:2023年03月30日

公開日:2023年03月30日

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膝をさすっている人

「最近膝の痛みが気になってきた…」「どうすれば改善するのかわからない…」
そのような悩みを抱えている方はいるのではないでしょうか。変形性膝関節症はリハビリを行うことで、症状の改善や悪化防止が期待できます。この記事では、変形性膝関節症の方におすすめのリハビリ内容についてご紹介します。変形性膝関節症にどのような運動が効果的なのかを把握して実践すれば、膝の痛みの軽減につながるでしょう。

変形性膝関節症とは

膝をさする女性

変形性膝関節症とは、衝撃を吸収する役割がある膝関節の軟骨がすり減る疾患です。関節軟骨のすり減りによって炎症や痛みの出現に加えて、膝の安定性の低下が現れます。ここでは、変形性膝関節症にはどのような症状・原因があるのかについて解説します。

変形性膝関節症の症状

変形性膝関節症は50歳以上の中高年の女性に多いといわれており、発症時期によって症状が徐々に進行する疾患です。変形性膝関節症は進行するとO脚やX脚につながり、それぞれの種類によって痛みが現れる場所が異なります。

初期症状では長距離歩いた後や、立ったり座ったときに膝の痛みが現れます。症状が進むと膝を曲げ伸ばすのが難しくなり、歩くときの痛みがさらに強くなるのです。また、しゃがみ姿勢や正座をする際も膝の痛みが現れはじめるでしょう。

症状が末期になると夜間時だけでなく、じっとしているときでも膝の痛みが出てくるようになります。その他にも、変形が強くなって膝が完全に伸ばせなくなり、歩くときにバランスが崩れやすくなります。

変形性膝関節症の原因

変形性膝関節症の原因には、大きく分けて「一次性」「二次性」の2種類があります。はっきりとした原因がなく、加齢や筋力の衰えなどによって発症するのが一次性のものです。
一次性の要素はその他にも性別や体質、骨密度、体重なども影響しているといわれています。
怪我や事故などの外傷、または別の疾患が原因で発症するのが二次性のものです。

変形性膝関節症の治療方法

膝の診察の様子

変形性膝関節症の治療法には、大きく分けて「保存療法」と「手術療法」があります。
ここではそれぞれの治療法について詳しく解説します。

保存療法

保存療法とは、変形性膝関節症の根本的な治療以外の手段で症状をおさえる治療法です。保存療法には、おもに以下の方法があります。

● 運動療法
● 装具療法
● 物理療法
● 薬物療法


ここでは、それぞれの治療法について解説します。

運動療法(リハビリ)

運動療法とは、運動によって変形性膝関節症による痛みの軽減や安定性の向上を図る方法です。膝の痛みやふらつきなどが現れると、動く機会が減って活動性が低下します。活動性の低下にともなって膝の筋力や体力が落ちると痛みも強くなり、動く機会がさらに少なくなるという悪循環に陥ってしまうのです。

また、運動不足によって体重が増えて肥満になると、関節の負担も高まるでしょう。運動療法を行えば膝の痛みを軽減できるだけでなく、体重が減少して関節の負担軽減にもつながります。クリニックや病院では、リハビリ専門職の「理学療法士」と一緒に運動療法を行います。

装具療法

装具療法とは、サポーターをはじめとした装具を使用して、膝の痛みの軽減や安定性向上を図るための治療法です。変形性膝関節症のガイドラインによると、膝サポーターの使用は膝関節の痛みを軽減する可能性があるとされています。さらに、軽度から中等度のO 脚・ X 脚となっている方に対して、痛みの軽減だけでなく安定性の改善、転倒リスク減少の効果も期待されています。
膝サポーターにはさまざまな種類があるので、症状や目的にあわせたものを選択することが大切です。

出典:1 Ⅰ.推奨グレードの決定およびエビデンスレベルの分類

物理療法

物理療法は、機械を活用して膝の疼痛軽減を図る治療法です。物理療法にはさまざまな種類があり、変形性膝関節症に用いられるものは以下の通りです。

● 超音波療法
● 温熱療法
● 電気刺激療法


これらの物理療法を行うことで、膝の疼痛軽減や歩行能力の改善などが期待できます。超音波をはじめとした機械は、クリニックや病院で設置されています。自宅でリハビリを行う際は物理療法を行う機会は少ないと思いますが、外来で通うときに使用することがあるでしょう。

薬物療法

薬物療法は、薬の使用によって膝の痛みや炎症を抑える治療法です。変形性膝関節症の薬物療法で使用する薬は、おもに以下の通りです。

● 外用薬
● 内服薬
● 注射薬


軟膏や湿布などの外用薬は、膝の炎症や痛みをおさえる働きがあります。痛みが強く、外用薬でもおさえられない場合は、短時間で鎮痛効果が現れる内服薬を使用します。

注射薬では、膝関節のなかにヒアルロン酸を注射する方法です。ヒアルロン酸はもともと膝関節のなかにも含まれており、関節の動きをスムーズにしたり、衝撃を吸収したりする働きがあります。変形性膝関節症になるとヒアルロン酸の量が減ってしまうため、注射によって少なくなった分を補います。

手術療法

保存療法で思うような効果が得られず、痛みで生活に支障が出る場合は手術療法を行います。手術療法では、おもに以下の手術方法があります。

● 人工膝関節全置換術(TKA)
● 人工膝関節部分置換術(UKA)
● 膝周囲骨切り術


TKAは膝関節の全体を人工物に入れ替えて、関節の悪化を防ぐ手術法です。広い範囲の軟骨がすり減っていたり、膝の靭帯も痛んでいたりするケースで行われます。UKAは膝全体ではなく、関節の一部分を人工物に入れ替える手術法です。O脚・X脚によって膝の片方のみに軟骨のすり減りがある場合に行われます。

膝周囲骨切り術は、膝関節の下の部分を支えている「脛骨」の一部を切り取って関節面を整える手術法です。変形が強くない、または年齢が若いケースで行われます。

変形性膝関節症の具体的なリハビリメニュー

リハビリをする人たち

ガイドラインによると、変形性膝関節症の運動療法では以下の3種類が推奨されています。

● 筋力トレーニング
● 有酸素運動
● ストレッチ


ここでは、それぞれの運動療法の効果とリハビリメニューについて紹介します。

筋力トレーニング

筋力トレーニングによって膝まわりの筋力強化を図る方法です。とくに太ももの「大腿四頭筋」を含めた筋力トレーニングは、安静時・動作時の痛みを軽減させて、移動能力の向上につながるとされています。膝の筋力トレーニングメニューについてご紹介します。

【パテラセッティングのやり方】

1. 床に足を伸ばしながら座り、上半身は起こす
2. 片方の膝の裏にクッションや丸まったタオルを置き、反対の膝は曲げておく
3. クッション・タオルを潰すイメージで太ももに力を入れる
4. 3〜5秒ほどキープしたら力を抜いて、再び力を入れる
5. 4の動きを10回繰り返したら、片方の足で行う
6. 3〜5の手順を1セットとして、左右で3セットを目安に行う



パテラセッティングは大腿四頭筋を鍛えるトレーニングです。関節を大きく動かさないので、高齢者の方でも行いやすい運動です。

【スクワットのやり方】

1. 足を肩幅程度に広げて立つ
2. イスや手すりにつかまる
3. 膝をゆっくりと曲げる
4. 膝が90°程度曲がったらゆっくりと伸ばす
5. 3〜4の手順を10回1セットとして、3セットを目安に行う


スクワットは下半身全体の筋肉のトレーニングです。膝を深く曲げてしまうと痛みが強くなる恐れがあります。そのため、スクワットを行うときは膝が足より前に出ないように曲げ伸ばしをしましょう。

【ボール潰しのやり方】

1. イスに座る
2. 膝の間にボールや丸めたタオルを挟む
3. ボール・タオルを潰すように力をいれる
4. 3〜5秒間キープしたら力を抜いて、再び力を入れる
5. 3〜4の手順を5回1セットとして、5セットを目安に行う


ボール潰しの運動は、太ももの内側にある「内転筋」のトレーニングです。変形性膝関節症になると内転筋も筋力が落ちやすいので、大腿四頭筋と一緒にトレーニングしましょう。

出典:1 Ⅰ.推奨グレードの決定およびエビデンスレベルの分類

有酸素運動

有酸素運動も変形性膝関節症の治療として有効といわれています。有酸素運動は膝まわりの筋力維持や痛みの軽減だけでなく、体脂肪の燃焼効果が期待できます。そのため、肥満予防になるでしょう。

誰でも気軽に行える有酸素運動としては、ウォーキングがおすすめです。1週間に2〜3回、1回30〜40程度の運動量を目安に行ってみましょう。一方で、運動のやりすぎは関節の軟骨を余計にすり減らして、症状が悪化する原因にもなります。関節の負担が気になるようであれば、浮力によって膝の負担がかかりにくい水中ウォーキングの運動に切り替えてみましょ

ストレッチ

変形性膝関節症になると、膝まわりの筋肉や組織が硬くなりやすいです。膝の痛みや可動域制限によって動きが悪くなると、さらに筋肉が硬くなり悪循環となります。これらの問題を解決するには筋肉のストレッチが大切です。

ストレッチによって膝の可動域を広げて、筋肉をうまく使えるようにすれば筋力低下や痛みの軽減につながるでしょう。ストレッチ方法についてご紹介します。

【膝裏のストレッチ】

1. イスに浅く座って片足の膝を伸ばす
2. 手で膝をおさえながら身体を前に傾ける
3. 反動をつけないように膝裏の筋肉をゆっくりと伸ばす


この方法では膝裏の「ハムストリングス」という筋肉がストレッチされます。

【膝蓋骨のモビライゼーション】

1. 床に座って膝を伸ばす
2. 膝のお皿(膝蓋骨)を両手でゆっくりと上下・左右・斜めに動かす


これは膝のお皿の動きをよくする方法です。膝蓋骨の動きがよくなれば、膝の曲げ伸ばしがスムーズとなります。

変形性膝関節症のリハビリを行う際の注意点

膝を押さえている人

ここでは、変形性膝関節症の方がリハビリを行う際の注意点について解説します。

激しい運動はなるべく控える

激しい運動は膝の負担が高くなりやすいので、なるべく控えましょう。とくにテニスやサッカーなどの頻繁に動いたり急に止まったりする運動は、膝に負担がかかりやすいといえるでしょう。

変形性膝関節症に対しての運動療法を行う際は、なるべく上記で紹介した筋力トレーニングや有酸素運動、ストレッチなどがおすすめです。運動が激しいほど膝への負担が高まるので、適度な負荷量を意識しましょう。

膝を深く曲げる運動は控える

膝を深く曲げるような運動も、膝への負担が高まるので控えましょう。たとえば、スクワットや低い椅子からの立ち上がりは、膝を深く曲げる原因になるでしょう。運動を行う際は、なるべく膝を曲げすぎないようにする工夫が必要です。

痛みが強い場合は運動を中止する

運動中に膝の強い痛みが続くようであれば中止しましょう。運動中はなるべく痛みが出ない範囲で行うことが大事です。休憩したり、サポーターをつけたりしても痛みが強いままの場合は、変形性膝関節症の症状が進行しているかもしれません。その場合は医療機関に受診して、膝の状態を確認しましょう。

変形性膝関節症を進行させないための生活の工夫

杖をつく年配の女性

変形性膝関節症の方は、普段の日常ではどのような過ごし方をすべきなのでしょうか。ここでは、変形性膝関節症を進行させないための日常生活の工夫についてご紹介します。

床ではなくイスの生活に切り替える

床ではなくイスを中心とした生活に切り替えると、変形性膝関節症の悪化を防げます。床の生活だと、しゃがんだり立ち上がったりするときに膝の負担がかかりやすくなります。さらに、立ち座りの際に膝を深く曲げる機会も増えるでしょう。可能であれば、イスやソファーなどを使用した生活を送るようにしましょう。

杖を使用する

歩くときに杖を使用するのもおすすめです。杖を使うことで足にかかる体重を分散できるので、膝の負担の軽減につながります。安定性も高まるため、膝が不安定な方は転倒リスクの防止にもなるでしょう。

一方で、杖に依存しすぎると良い方の膝の負担が余計にかかったり、かえって不安定になったりする恐れもあります。杖を使用するときは、なるべく腕に体重をかけすぎないように注意しましょう。

自宅に手すりを設置する

自宅改修を行って、手すりを設置する方法も1つの手段です。段差が高い場所や不安定となりやすい場所に手すりを付けることで、膝への負担が軽減されるだけでなく、転倒予防にもなるでしょう。とくに玄関やお風呂、階段などの場所には手すりの設置がおすすめです。

また、手すりの設置によって移動するときの労力が下がるので、活動性が高まるきっかけにもなります。安全な生活を心掛けるためにも、可能であれば手すりを設置してみましょう。

体重の増加に気をつける

体重の増加に気をつけて、減量を目指しましょう。膝の関節は体重を支えているだけでなく、動くときにはその何倍もの負荷がかかるといわれています。体重の増加は膝の負担に直結するので、痛みが強くなる原因になります。症状を悪化させないためにも、運動習慣をつけつつ食生活に気をつけて体重の減少を防ぎましょう。

変形性膝関節症のリハビリで症状の進行を防ごう(まとめ)

ウォーキングをする男女

変形性膝関節症の治療には、保存療法と手術療法があります。保存療法の1つであるリハビリは根本的な原因を解決する治療法ではありませんが、症状の悪化を遅らせるためには欠かせないものです。またリハビリ以外にも、日常の工夫で変形性膝関節症の症状の悪化防止が期待できます。リハビリを継続しつつ、普段の生活で膝の負担がかからないような工夫を取り入れてみましょう。
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