20代の理学療法士の給料額は?年齢の推移や収入アップの方法を解説
20代の理学療法士の給料額は?年齢の推移や収入アップの方法を解説
更新日:2023年08月31日
公開日:2023年08月24日

理学療法士として働きはじめていると、現在の給料は他の職場と比べて良いか悪いか気になる方もいるのではないでしょうか。現在の給料の良し悪しを判断するには、理学療法士の平均収入を知っておくことが大切です。
この記事では、20代の理学療法士の給料とその推移、職場による収入の違いなどについて解説します。20代の給料の目安を知ることで、自分にあった収入アップの方法がわかるでしょう。
目次
20代の理学療法士の給料はどのくらい?
まずは20代の理学療法士の給料についてみていきましょう。令和3年度の厚生労働省の調査によると、20代の理学療法士の平均年間給与額は、約329〜380万円という結果でした。 これを月額換算すると、月の給与額は約27万〜32万円ほどになります。これは諸手当を含めた給与の額なので、それらを除いた「基本給」を指す給料となると、さらに低くなると考えられるでしょう。
一方で国税庁の調査では、20代の給与所得者の平均給与は269〜371万円とされています。 それぞれを比較すると、20代の理学療法士の給与は全体の平均よりも高い額であることがわかります。
出典:賃金構造基本統計調査/令和3年賃金構造基本統計調査一般労働者職種(職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額)
民間給与実態統計調査
20代以降の理学療法士の給料の推移
20代以降の理学療法士の給料はどのように変化していくのでしょうか。ここでは、理学療法士の給料の推移とその特徴について解説します。年齢ごとに給料は高くなっていく
理学療法士の給料は、年齢ごとに高くなる傾向にあります。年齢ごとの給与の推移については、以下の表の通りです。年齢 | 年間の平均給与額 | 月額に換算した給与額 |
20〜24歳 | 約329万円 | 約27万円 |
25〜29歳 | 約380万円 | 約32万円 |
30〜34歳 | 約414万円 | 約35万円 |
35〜39歳 | 約437万円 | 約36万円 |
40〜44歳 | 約487万円 | 約41万円 |
45〜49歳 | 約516万円 | 約43万円 |
50〜54歳 | 約539万円 | 約45万円 |
55〜59歳 | 約575万円 | 約48万円 |
60〜64歳 | 約479万円 | 約40万円 |
65〜69歳 | 約357万円 | 約30万円 |
出典:賃金構造基本統計調査/令和3年賃金構造基本統計調査一般労働者職種(職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額)
職場の規模が大きいと給料が高い傾向にある
職場の規模も関係があり、職員の人数が多いほど給料が高い傾向にあります。企業規模に応じた年間の平均給与額は以下の表の通りです。企業規模 | 年間の平均給与 |
10〜99人 | 約414万円 |
100〜999人 | 約419万円 |
1,000人以上 | 約463万円 |
出典:賃金構造基本統計調査/令和3年賃金構造基本統計調査一般労働者職種(職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)
理学療法士と他の医療職との比較
ここでは理学療法士以外の医療職が20代でもらえる給与についてみていきましょう。他の医療職との比較は、以下の表の通りです。職種名 | 20〜24歳の平均年間給与 | 25〜29歳の平均年間給与 |
理学療法士 | 約329万円 | 約380万円 |
医師 | 約583万円 | 約654万円 |
薬剤師 | 約378万円 | 約473万円 |
看護師 | 約388万円 | 約460万円 |
准看護師 | 約312万円 | 約349万円 |
放射線技師 | 約334万円 | 約437万円 |
臨床検査技師 | 約337万円 | 約420万円 |
出典:賃金構造基本統計調査/令和3年賃金構造基本統計調査一般労働者職種(職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額)
理学療法士の給料は上がりにくい?
先ほど解説したように、20代の理学療法士の年間給与は他の医療職と比較すると低い傾向にあります。ここでは、理学療法士の給料が上がりにくい理由について解説します。理学療法士の人数が年々増加している
理学療法士の給料が上がりにくい理由の1つとして、有資格者が年々増加していることがあげられます。日本理学療法士協会が発表している、国家試験に合格した人数の推移は以下のとおりです。年 | 国家試験合格者 |
1990年度 | 10,024人 |
2006年度 | 52,088人 |
2012年度 | 100,560人 |
2022年度 | 202,423人 |
出典:統計情報|協会の取り組み
制度の問題で経験やスキルが給料に影響されにくい
もう1つの理由としては、制度の関係によって給料が上がりにくいことがあげられます。理学療法士は時間単位で診療報酬が決められており、さらに1日および1週間あたりにできるリハビリには上限があります。単位数の関係上、リハビリで稼げる額には限界があるため、どんなに仕事を頑張っても給料が伸びにくくなっているのです。また、この制度の問題によって、経験やスキルも反映されにくい傾向にあります。役職についていないベテラン理学療法士と新人の給料がほとんど変わらない、という職場もあるでしょう。
職場ごとの理学療法士の給料の目安
働いている職場によっても理学療法士の給料は変動します。ここでは職場ごとの特徴と給料の目安について解説します。病院・クリニック
病院やクリニックでは、ケガや病気を抱えた患者さんに対してリハビリを提供します。病院といってもその範囲は広く、急性期や回復期、維持期などを専門とした職場も多数あります。また、病院では医師や看護師などと連携する機会が多く、チーム医療として患者さんにアプローチすることが大切です。病院やクリニックの年収は350〜400万円ほどが目安です。総合病院などの規模の大きい職場の場合、それよりも高い年収となることもあるでしょう。また病院やクリニックは給料が安定しており、福利厚生なども充実している傾向にあります。
介護福祉施設
介護福祉施設では、老人ホームや通所リハビリなどでの仕事があげられます。退院して自宅で過ごすようになった方や、身体機能の低下によって介助が必要になった方がおもなリハビリ対象です。自宅で安全に過ごせるように、身体機能の維持・向上や動作の獲得などを目的にリハビリを行います。介護福祉施設の年収は、300〜400万円ほどを目安にしておきましょう。施設によってはシフト制だったり、福利厚生が異なったりすることもあるので、就職・転職の際は求人情報について詳しく確認しておきましょう。
訪問リハビリ
訪問リハビリは、利用者の自宅に訪問してリハビリを提供する仕事です。自宅で過ごしている利用者が安全な生活を送れるように、身体機能の維持・向上や動作の獲得などを目標にリハビリを行います。訪問リハビリで働く理学療法士の年収は、400〜450万円ほどが目安です。訪問リハビリは訪問件数によるインセンティブを得られることがあるため、他の職場よりも給料が高くなる傾向にあります。また残業が少ない、日勤のみなど、ワークライフバランスが整いやすいのも特徴です。
教員
臨床ではなく、専門学校や大学などで教員として仕事をします。教員として働くためには臨床経験が必要で、さらに大学の場合は学士や修士などの学位の取得が求められます。そのため、理学療法士になってからすぐに教員になれるわけではない点に注意しましょう。教員になるのは条件が求められる分、給料は他の職場よりも高い傾向にあります。年収500〜600万円が目安で、場所によってはそれ以上の給料をもらえる職場もあるでしょう。大学では、教員にも講師や助教授といった複数の立場に分かれており、段階によってさらに給料アップが狙えます。
スポーツトレーナー
スポーツトレーナーとして活躍している理学療法士もいます。スポーツトレーナーは企業のチームに所属したり、スポーツジムでトレーナーとして働いたりする方法があります。ケガをしたアスリートをサポートする「メディカルトレーナー」や、ケガの回復を目指す「アスレチックトレーナー」など、その種類もさまざまです。スポーツトレーナーの年収は働く場所にもよりますが、400万円前後が目安です。トレーナーとしての実力が高ければ、プロチームやプロ選手との契約によってそれ以上の収入を得られる可能性もあります。
理学療法士が給料・収入を上げるための方法
理学療法士が給料・収入を上げるためには、どのような方法があるのでしょうか。ここでは具体的な方法について解説します。新しい資格を取得する
新しい資格を取得すれば、給料が上がる可能性があります。理学療法士として取得したい代表的な資格には、「認定理学療法士」と「専門理学療法士」があげられます。これらは理学療法士の上位資格といえるもので、特定分野のプロであることを証明するものです。職場によっては認定・専門理学療法士を取得すると、資格手当がついて給料が上がるケースもあります。特定分野の専門家になることで転職先でも有利に働きやすいメリットもあります。認定・専門理学療法士の取得は簡単ではありませんが、理学療法士としての立場を高められるので、ぜひ検討してみましょう。
現在の職場で役職を目指す
現在働いている職場で役職を目指してみましょう。役職につけば基本給だけでなく役職手当によって給料アップが期待できます。比較的若いスタッフの割合が多い職場では、20代でも役職につけるケースもあります。しかし、役職につくのは簡単ではなく、ただ仕事をしていればなれるわけではありません。周囲をまとめる立場なので、高いコミュニケーションスキルやマネジメントスキルなど、普段行っているリハビリ以外の能力も求められます。役職を目指したい方は、リハビリはもちろん周囲のスタッフに対しての気配りにも目を向けていきましょう。
新しい職場に転職する
現在の職場の給料が低い場合、転職するのも1つの手段です。今よりも条件の良い職場に転職すれば、短期間で給料アップが可能です。求人で職場を探す際は、給料だけでなく賞与や手当についてもチェックしましょう。基本給が良くても賞与でもらえる金額が少なかったり、手当がつかなかったりする場合もあります。現在の職場と金額を詳細に比較して、トータルでどのくらい給料アップが見込めるのかを計算することが大切です。転職を検討する際は、基本給以外の項目にも注意しましょう。
独立して開業する
自分の力で稼ぎたいという気持ちがある方は、独立して開業する方法もあります。ただし、理学療法士には開業権が認められていないため、リハビリ以外のサービスを検討する必要があります。開業に成功すれば、他の職場よりも高い収入を得られることも十分に可能です。その反面、経営が難航したら赤字になるリスクもついてくるので、開業するときは念入りに準備を進めることが重要です。経営に必要なスキルはもちろん、提供するサービスに役に立つ資格があれば取得しておくことをおすすめします。
副業をはじめる
副業をはじめることで、本業とは別の収入源を得られます。副業にはさまざまな種類があり、理学療法士との親和性が高いのは訪問リハビリやスポーツトレーナーです。どちらも理学療法士としてのスキルを活かせるので、副業として挑戦しやすいメリットがあります。自宅で副業をはじめたい方は、ブログやせどり、Webライターなどがおすすめです。こちらは理学療法士とは別のスキルが必要なので、最初は収入を得るのに時間がかかるかもしれません。しかし、スキルを着実に身につけておくと、その分収入も上がりやすくなります。
自分にあった副業にチャレンジして、収入アップを目指しましょう。
理学療法士が給料を上げるときに注意したいポイント
給料を上げるときに注意したいポイントとして、明確な目標と計画を立てておくことです。とくに開業や副業をはじめる方は、このポイントは非常に重要です。具体的な目標や計画を立てずに開業や副業をすると、思うような収入を得られないどころか、心身の負担が大きくなる恐れもあります。家庭を持っている方も注意が必要です。給料を優先してしまうあまり、パートナーや子どもとのコミュニケーションをおろそかにしてしまうことは避けましょう。まずは現状を整理し、どのような手順で進めていくのかを計画的に考えることが大切です。
理学療法士の20代の給料が心配な方は収入アップを目指そう
理学療法士の20代の給料は、同年代の給与所得者の平均と比べるとやや高い結果となりました。しかし、他の医療職と比較すると給料はやや低めとなっています。理学療法士の収入を上げるには転職や資格の取得など、さまざまな方法が考えられます。どれがおすすめなのかは人によって変わってくるので、現在の状況を整理したうえで検討することが大切です。現在給料が心配な方は、ぜひ今回の記事を参考にして収入アップを目指しましょう。関連ジャンル
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