
精神保健福祉士をご存知でしょうか。精神科ソーシャルワーカーの仕事をする際に必要となる国家資格で、精神障害者の方が日常生活を行える様にサポートをしています。作業療法士と連携を取る精神科ソーシャルワーカーの業務内容と、その資格である精神保健福祉士をまとめました。
精神保健福祉士とは
精神保健福祉法に基いて、精神障害者の方の保健(健康を保つこと)や医療を用いて、精神障害者の方の社会復帰への助言や指導、訓練などを行う名称独占資格の国家資格です。名称独占のため、精神保健福祉士を名乗れるのは精神保健福祉士の資格を取った方だけですが、業務上では関連している社会福祉士や作業療法士でも業務可能です。精神保健福祉士は業務独占資格(理学療法士や作業療法士、言語聴覚士は名称独占資格)ではなく名称独占資格ではありますが、保健所や精神障害福祉施設では必置資格(必ず居ないといけない資格)になっています。精神保健福祉士になるには
精神保健福祉士の資格を取得するには、理学療法士や作業療法士と同様に国家試験に合格する必要があります。試験の受験資格を得るには、・国認定校(大学、4年生専門学校)で指定科目履修及び修了。
・国認定校(短大や4年未満の専門学校)で指定科目履修及び修了+実務経験1~2年以上
・国認定校で基礎科目のみ履修して修了+養成施設で勉強
・社会福祉士資格を取得+養成施設で勉強
・実務経験4年以上+養成施設で勉強
などがあります。
国家試験は年1回、毎年1月下旬にあり3月に合格発表が行われています。 合格率は60%代前半、出題範囲は広く専門分野をキチンと理解しているかが問われます。
精神保健福祉士の業務と、社会福祉士との違い
精神保健福祉士と社会福祉士は、両方とも国家資格である点、保健や福祉のスペシャリストとして日常生活に支障がある人を支援する仕事である点において似ていると言えます。ただ違いとしては、精神保健福祉士は精神障害の方に特化した職業であり、社会福祉士は障碍を持った方以外に高齢者や子供など幅広く支援を行う点です。働いている場所も社会福祉士が福祉施設などがメインになりますが、精神保健福祉士は保健所や精神科を持つ病院など、より医療現場に近い場所で働くことが多いです。精神保健福祉士とPT・OT・ST
精神保健福祉士は先述した通り、精神科を持つ病院や精神病院などで働くことが多いです。精神保健福祉士は医療従事者ではなく、あくまでも支援者(ソーシャルワーカー)ですが、チーム医療の一員として各専門家と連携しています。理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の中では、作業療法士と連携して業務を行うことが多いです。患者さんの訓練内容を考え実際に行うのは作業療法士ですが、患者さんの家族のサポートは精神保健福祉士が行っています。患者さんや家族が医師にも告げていないことを聞いたりするのは、精神保健福祉士の本業が発揮されていると言えるでしょう。
精神保健福祉士は精神科や福祉で働いていることが多いのですが、近年では企業が社員の心身失調やうつ病などを回避するために、従業員支援プログラムを組みその業務に精神保健福祉士が担うことが増えています。活動の場が広がり、これまで以上の活躍が期待されている精神保健福祉士、理学療法士や作業療法士のダブルライセンスに選んでみてはいかがでしょうか。
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