
介護予防のためのリハビリがあることをご存知でしょうか。厚生労働省では、これからの高齢社会のために、健康や身体機能を維持する必要があることを出しています。リハビリ従事者として何ができるのかまとめてみました。
介護予防とは
介護予防とは、老化のサインを早い段階でチェックし、介護が必要になる前に予防策(リハビリ)に取り組み、健康や身体機能を維持するというものです。団塊の世代が75歳以上になる2025年は、今以上に介護が必要になる高齢者が増えることは予想できます。このため、厚生労働省では「高齢者の社会参加を通じた介護予防の推進」「リハビリ専門職スタッフ等を活かした介護予防の機能強化」「住民が運営する通いの場の充実」を介護予防の基本とし、高齢者が介護の必要がなく社会で暮らせていけるような環境が必要だとしています。
この考えに基づき、各自治体や企業では介護予防事業への参入が増えています。
また、介護予防の症状をチェックできるように、簡単な設問からチェック出来る「基本チェックリスト」も作成されています。このチェック結果から、介護予防が必要と出た場合は自治体で行っている介護予防サービスを受けることが出来るようになります。
介護予防のこれから
良い事尽くめに見える介護予防ですが、課題点も出てきています。一つは、介護予防が知られていない点です。
自分の状況が分かる「基本チェックリスト」は高齢者全員に配布すべきものですが、配布できているのは全体の半分程度。介護予防を実際に受けた方は全体の2%未満に留まっています。
もう一つは、受けられる患者さんの意識の問題です。介護予防という健常状態でのリハビリになりますので、何かが改善した、という実感が得られ辛い様です。
理学療法士、作業療法士としてできること
理学療法士や作業療法士、言語聴覚士が介護予防で発揮できる専門性は多岐にわたります。メタボリックシンドロームから腰痛、肩こりの解消、さらには認知症の予防にもリハビリ専門職として関わることが出来るでしょう。また、これまでの単なる機能訓練だけではなく、その訓練で得られた良好な状態を維持させる環境づくりも今後は必要です。高齢者がイキイキと活動、社会活動に参加できる地域の環境づくりが予防につながると言われており、ある調査では、そういった社会参加が活発な地域ほど、ケガや病気のリスクが下がる傾向が出ています。地域の自治体や企業とともに環境づくりに関わることも、リハビリ従事者として介護予防に対して出来ることの1つと言えるでしょう。
理学療法士や作業療法士、言語聴覚士と深く関わっている介護予防。新しい働き方として覚えておいてくださいね。
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