言語聴覚士(ST)の数は、2023年12月現在全国に39,896人*います。理学療法士(PT)や作業療法士(OT)と比べると、人数が少ないのは事実です。人数が少ないため、将来性があるか不安になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
*参照:日本言語聴覚士協会
言語聴覚士は、今後も需要がある仕事です。そのため、迷っている方は資格取得を目指しましょう。本記事では、言語聴覚士が少ない本当の理由、現状、向いている人について解説しました。言語聴覚士を目指すべき理由がわかるので、ぜひ最後までご覧ください
目次
言語聴覚士が少ない理由とは?PT/OTとの比較で解説
日本の少子高齢化により、需要が増えたのが言語聴覚士です。需要が増えたのに、言語聴覚士の数は少ないと言われている理由が気になりますよね。言語聴覚士が少ないと言われる本当の理由は3つあります。本章では、以下の3つの理由について解説していきます。
●PT・OTと比べると新しい国家資格のため
●合格率が低い
●PT・OTと比べて養成施設校が少ない
PT・OTと比べると新しい国家資格のため
言語聴覚士はPT・OTと比べると、新しい国家資格のため人数が少ないと言えます。言語聴覚士が国家資格として法制化されたのは、1997年です。
理学療法士と作業療法士が1965年に法制化されたことを考えると、まだ新しい国家資格と言えます。そのため、他の資格と比べるとどうしても言語聴覚士の数は少ないのが現状です。
合格率が低い
言語聴覚士は、理学療法士や作業療法士と比べると国家試験の合格率は低くなっています。言語聴覚士は国家試験に合格すると、資格を取得できます。合格率は100%ではないため、言語聴覚士の試験に落ちている人もいるのが現状です。ただし、合格率が低いと言っても合格率は60%を超えています
以下は、過去3年のPT・OT・STの合格率の比較です。
2023年 | 2022年 | 2021年 | |
---|---|---|---|
理学療法士 | 87.4% | 79.6% | 79.0% |
作業療法士 | 83.8% | 80.5% | 81.3% |
言語聴覚士 | 67.4% | 75.0% | 69.4% |
PT・OTと比べて養成施設校が少ない
PTやOTと比べると、STの養成施設校が少ないことも原因のひとつです。言語聴覚士は新しくできた資格のため、養成校が少なくなっています。そのため、必然的に言語聴覚士の数は少なくなってしまいます。以下は、2023年12月現在の養成校の数です。
PT(理学療法士)学校総数273校(うち、募集停止10校)
OT(作業療法士)学校総数204校
ST(言語聴覚士)学校総数75校
理学療法士や作業療法士と比べると養成校が少ないため、受験資格を満たした人が少ないと言えます。
言語聴覚士は不足している?将来性と現状について解説
言語聴覚士の数が少ないと、就職先の数が心配になるかと思います。しかし、言語聴覚士の就職先は多く、就職先には困りません。そのため、今後も言語聴覚士の将来性は明るいと言えます。本章では、言語聴覚士の3つの現状と将来性について解説します。
●就職先は幅広い
●人手不足の業界がある
●言語聴覚士の年収の推移
就職先は幅広い
言語聴覚士は、就職先の幅広さが特徴です。言語聴覚士の対象となる疾患は、言語障害、音声障害、嚥下(えんげ)障害などがあります。また、対象者は高齢者から小児まで幅広く支援します。対象疾患、対象者が幅広いため就職先は多くあります。以下は、日本言語聴覚士協会に所属している言語聴覚士の勤務先とその詳細です。
●医療:一般病院、特定機能病院、診療所など
●介護:介護保険施設、居宅サービス事業所など
●福祉:障害者福祉施設、児童福祉施設、保健所など
●学校教育:特別支援学校、小中学校、高等学校など
●養成校:言語聴覚士指定養成所
●研究・教育機関:研究施設、養成校以外の一般の大学・専門学校など
●その他の法人:補聴器メーカー、ST教材販売、一般の会社など
引用:日本言語聴覚士協会サイト「めざせ ST(言語聴覚士)」
このように、各業界の勤務先の種類は幅広くなっています。そのため、今後も就職先には困らないと言えるでしょう。
人手不足の業界がある
言語聴覚士は就職先が多いからこそ、人手不足になっています。言語聴覚士は、医療、福祉、教育などさまざまな業界での仕事があります。しかし、言語聴覚士の資格を持っている人が少ないため、人手不足な業界も存在します。また、日本では高齢化が進んでいます。高齢化が進むため、高齢者の治療をするリハビリ職の数が足りなくなると予想されています。高齢者の言語障害、高次機能障害、嚥下(えんげ)障害のリハビリ職はさらに必要とされるでしょう。
参照:日本言語聴覚士協会サイト「めざせ ST(言語聴覚士)」
言語聴覚士の年収の推移
言語聴覚士の年収は、初年度から右肩上がりで上がっていきます。初年度の言語聴覚士の平均年収(収入)は、430.5万円となっています。(ただし、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、視能訓練士を含む)以下は、言語聴覚士の年収の推移です。20〜24歳:3,286,000円
25〜29歳:3,795,600円
30~34歳:4,144,900円
35〜39歳:4,374,900円
40〜44歳:4,872,400円
45〜49歳:5,157,800円
50〜54歳:5,394,900円
55〜59歳:5,749,800円
60〜64歳:4,793,300円
65〜69歳:3,574,000円
70歳〜:3,296,900円
参照:令和3年賃金構造基本統計調査
ポイントは3つ!言語聴覚士に向いている人は?
言語聴覚士は、言語に課題がある患者さんとかかわる仕事です。そのため、人とかかわることに魅力がある方であれば、未経験でも仕事を続けられます。患者さんから感謝されることも多いため、魅力的な仕事です。本章では、言語聴覚士に向いている人の特徴3つを解説します。
●優しい人
●人と関わるのが好きな人
●相手の様子を感じ取れる人
優しい人
言語障害や音声障害を支援する言語聴覚士は、優しい人が向いています。言語聴覚士は、患者さんの課題に対してアプローチをしていくリハビリ職です。患者さんの課題を解決をする職種のため、「助けたい」「不自由ない生活をしてほしい」気持ちが必要です。そのため、患者さんに対して優しい気持ちが持てる人は、言語聴覚士に向いていると言えるでしょう。
また、患者さんは後遺症や障害によって苦しい生活を送っている場合もあります。その際に、相手の心情に寄り添えるかどうかで、支援の質も変わってきます。優しい人は、言語聴覚士に向いていると言えるでしょう。
人とかかわるのが好きな人
人とかかわるのが好きな人も、言語聴覚士に向いているポイントと言えます。言語聴覚士は、人の話す、聞く、食べる障害についてアプローチしていく仕事です。困っている患者さんと向き合う仕事のため、人とかかわる機会が多くあります。また、患者さんだけでなく他の職種とも多くかかわる仕事です。患者さんの治療を進めていくには、多くのスタッフと連携する必要があります。病院だと医者や看護師、福祉施設では介護福祉士、教育施設ではカウンセラーなど、働く業種によって関わるスタッフも変わります。
人とかかわることが苦手でない人は、コミュニケーションを取りながら気持ちよく仕事を進めていけるでしょう。
相手の様子を感じ取れる人
相手の様子を感じ取れる人も、言語聴覚士には大切です。言語聴覚士は、言語障害、音声障害、嚥下(えんげ)障害に対して支援をしていきます。話すことや声を出すことが難しい人も多いため、相手の表情や様子を読み取ってコミュニケーションをしないといけません。そのため、相手の様子を感じ取れると、相手の状態に合わせた支援を進めていけます。
また、年齢層も高齢者から乳幼児までさまざまです。かかわる年齢層も幅広いため、各年齢に合わせたコミュニケーションが必要です。相手がどの点に困っているか、課題を感じているかを読み取ることで、患者さんに寄り添った支援が提供できます。
相手の様子を感じ取れることは、大切なポイントと言えるでしょう。
言語聴覚士が少ない理由は3つある!将来性は明るい職業
言語聴覚士が少ない理由について解説しました。本記事で解説したポイントについてまとめます。●言語聴覚士が少ない理由は3つある。
●言語聴覚士の就職先は幅広い
●言語聴覚士に向いている人は、「優しい」「人と関わるのが好きな人」「相手の様子を感じ取れる人」
言語聴覚士は将来性がある仕事です。言語聴覚士の数が少なくても、今後の需要がある仕事のため安心してください。ぜひ、養成校に通い資格取得をめざしてみてください。
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