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半月板損傷で行うべきリハビリは?自宅で行えるメニューや日常生活の注意点をご紹介

半月板損傷で行うべきリハビリは?自宅で行えるメニューや日常生活の注意点をご紹介

更新日:2023年06月05日

公開日:2023年06月05日

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膝に添えた手

膝の痛みや動かしにくさが現れる「半月板損傷」に対して、自宅でどのようなリハビリを行うべきかわからない方もいるのではないでしょうか。半月板損傷のリハビリでは膝の動きをスムーズにするストレッチやを安定させるための筋力トレーニングなどがすすめられています。この記事では、半月板損傷の方が自宅で行えるリハビリメニューや日常生活での注意点などについてご紹介します。半月板の仕組みをおさえつつ適切なリハビリを行えば、症状の改善・悪化防止につながるでしょう。

半月板損傷とは

階段を上る女性

ここで半月板の役割や半月板損傷の原因、症状などについて解説します。

半月板の役割

すねの骨である「脛骨」の関節面についているC字型の軟骨を半月板といいます。半月板は「外側半月板」と「内側半月板」の2つに分かれています。半月板のおもな役割は以下の通りです。

● 関節面の安定性の向上
● 膝関節にかかる衝撃の吸収 

膝関節を作っている脛骨と大腿骨(太ももの骨)は、それぞれ関節面の形が異なります。しかし、半月板によって異なる関節面同士での適合性が高まり、スムーズな膝の曲げ伸ばしが可能となります。さらに脛骨と大腿骨の接触面積を広げつつ、半月板がクッションの役割となって膝にかかる衝撃を分散させるのです。この半月板がなんらかの原因によって損傷した状態が「半月板損傷」です。

加齢や膝への大きな負担が原因

半月板損傷のおもな原因には2種類あり、それが「加齢」と「運動」です。 年齢を経るにつれて半月板は次第に硬くなり、膝にかかる衝撃を十分に吸収できなくなります。そのため、普段日常で行う動きでも膝に負担がかかりやすくなり、やがて半月板の損傷を起こしてしまうのです。

運動による半月板損傷は、おもにスポーツ中で生じるケースが多いでしょう。急な方向転換をしたり、頻繁にジャンプをしたりする機会が多いスポーツは、膝に負担がかかって半月板損傷を起こしやすくなります。

半月板損傷で引き起こされる症状

半月板損傷で引き起こされる症状は以下の通りです。

● 膝の引っかかり(キャッチング)
● 膝の痛み、腫れ
● 膝のロッキング 

膝の曲げ伸ばしの際に損傷した部位が関節に引っかかるため、動かしにくさと痛みが現れるのが特徴です。この症状が進行すると痛みが強くなり、まともに歩けなくなる恐れもあります。半月板の損傷具合が激しいと、一定の範囲で膝の曲げ伸ばしができなくなる「ロッキング」という症状も現れます。

その他の症状としては、関節の引っかかりによるクリック音(パキパキとした音)や、膝崩れなどが現れることもあるでしょう。

半月板損傷と関係性のある疾患

膝に触れる手

ここでは半月板損傷と関係性の高い整形疾患についてご紹介します。

変形性膝関節症

変形性膝関節症とは、膝についている軟骨がすり減ることで引き起こされる疾患で、半月板損傷後の後遺症として発症することがあります。 軟骨がすり減ると膝に体重をかけるときに痛みが現れたり、膝折れ・ふらつきが生じたりします。症状が末期になると変形が強くなり、膝がまっすぐに伸びず歩くのが困難となるのです。また変形性膝関節症が進行すると、膝がO字型の「O脚」やX字型の「X脚」などに変形します。

膝の靭帯損傷

膝には以下のような靭帯がついています。

● 前十字(ぜんじゅうじ)靭帯
● 後十字(こうじゅうじ)靭帯
● 外側側副(がいそくそくふく)靭帯
● 内側側副(ないそくそくふく)靱帯

これらの靭帯は膝の固定性を高めて、正常な方向に関節を動かすための役割を持っています。膝の靭帯はスポーツや交通事故などで損傷を起こすことがあり、関節の痛みや可動域の制限、安定性の低下などの症状が現れます。靭帯損傷は半月板損傷と併発、あるいは靭帯損傷をきっかけに半月板損傷につながるケースもあるでしょう。 

半月板損傷で行われる治療法

トレーニングルームで笑い合う男性たち

半月板損傷を発症したとき、どのような治療を行うのでしょうか。ここで半月板損傷で行われる治療法についてご紹介します。

保存療法

保存療法とは、手術以外の手段で症状の維持・改善を目指す治療法です。保存療法は半月板損傷の程度が軽度、あるいは手術を希望しない方に行われます。半月板損傷の保存療法は、おもに以下の内容で進めていきます。

● 運動療法(リハビリ)
● 装具療法
● 薬物療法

運動療法では半月板損傷の影響で弱った膝の筋力トレーニングや、硬くなった筋肉のストレッチなどを行う方法です。装具療法では装具を活用して膝の保護をすることで、関節を固定させて痛みの軽減につなげます。半月板損傷で使用される装具はおもに「膝サポーター」であり、症状にあわせて適切な種類を装着することが大切です。薬物療法は、鎮痛剤やヒアルロン酸注射によって痛みを軽減させたり、関節の動きをスムーズにしたりする方法です。
 
保存療法は症状の悪化をおさえるのが目的であり、根本的な解決方法ではありません。そのため、保存療法による効果がみられないようであれば、手術療法が推奨されます。

手術療法

外科的手術によって根本的な原因を取り除く方法が手術療法です。半月板損傷の手術方法には、大きく分けて「縫合術」と「切除術」の2種類があり、それぞれの特徴は以下の通りです。

● 縫合術:損傷した半月板を縫いあわせて関節を修復する方法
● 切除術:損傷した半月板を取り除く方法 

切除術では半月板を切除することで、損傷した部位が膝を動かしたときに引っかからないようにします。切除術は縫合術と比較すると症状の改善はスムーズですが、長期的な目線でみると別の部分の損傷を引き起こすリスクが高くなります。今後の関節の変形を考慮すると、切除術よりも縫合術を選択する割合が多いといえるでしょう。

再生医療

近年では、保存療法や手術療法以外にも「再生医療」と呼ばれる治療法も活用されています。再生医療とは組織の修復を活性化させる働きのある細胞を関節に注射し、半月板の再生を促す治療法です。 損傷した半月板が修復すれば、痛みの緩和やADL(日常生活の動作)の改善が期待できるでしょう。

再生医療は、保存療法と手術療法の中間に位置している治療法といえます。そのため「保存療法では対応できないが、手術を受けたくない」という方におすすめです。

半月板損傷のリハビリ方法

ストレッチをする二人の女性

ここでは半月板損傷の方が行われるリハビリと、自宅でもできる内容についてご紹介します。

ストレッチ

ストレッチで筋肉を伸ばし、膝関節の可動域の改善を図ります。 半月板損傷によって膝の動きが悪くなると、筋肉が硬くなるだけでなく、組織が癒着して可動域が制限される可能性があります。可動域が制限されると膝の曲げ伸ばしが難しくなり、立ったり歩いたりなどの動きに支障が現れるでしょう。

膝まわりのストレッチ方法の例についてご紹介します。
 
【太ももと膝の裏の筋肉を伸ばすストレッチ】
1. イスに浅く腰掛ける
2. ストレッチしたい足を伸ばして、もう片方の足は曲げておく
3. 伸ばした足に向かって身体を前傾させる
4. 前傾した状態を20〜30秒キープする
5. ゆっくりと身体を戻して、反対の足に変える
6. 3〜5の手順を1セットとして、左右の足を2〜3セット繰り返す
 
「ハムストリングス」と呼ばれる筋肉を伸ばすストレッチ方法です。ハムストリングスが硬くなると膝がまっすぐ伸びにくくなり、生活に支障をきたす恐れがあります。ストレッチを行う際は、イスの手すりや座面の端をつかみ、転倒しないように注意してください。
 
【太ももの前面の筋肉を伸ばすストレッチ】
1. うつ伏せになる
2. ストレッチしたい足を持って、踵をお尻の位置まで引き寄せる
3. その状態を20〜30秒キープする
4. ゆっくりと膝を伸ばして、反対の足に変える
5. 2〜4の手順を1セットとして、左右の足を2〜3セット繰り返す
 
「大腿四頭筋」と呼ばれる太ももの筋肉を伸ばす方法です。膝を深く曲げられない方は、痛みの出ない範囲でキープしましょう。

筋力トレーニング

筋力トレーニングで膝まわりの筋肉を鍛えることで、関節の安定性の向上に加えて痛みの軽減にもつながります。また筋肉量が増えれば基礎代謝量も増えるため、肥満の予防にもなるでしょう。

筋力トレーニングメニューの例についてご紹介します。
 
【パテラセッティング】
1. あお向けになる
2. 片足の膝裏にクッションや丸めたタオルを置き、反対の膝は立てておく
3. クッション・タオルを床に押し付けるように太ももに力を入れる
4. 3〜5秒ほど力を入れたら休憩して、再び力を入れる
5. 4の手順を10回繰り返したら、片方の足で行う
6. 3〜5の手順を1セットとして、左右の足で2〜3セット繰り返す

大腿四頭筋を鍛えるトレーニングです。パテラセッティングは関節をあまり動かずに行えるので、膝の痛みが生じやすい方に向いています。
 
【スクワット】
1. 足を肩幅くらいに広げて立つ
2. 膝をゆっくりと曲げる
3. 膝がある程度曲がったらゆっくりと伸ばし、10〜20回繰り返す
4. 3〜4の手順を1セットとして、2〜3セット繰り返す
 
スクワットは下半身全体の筋肉を鍛えられるトレーニングです。関節に負担がかからないように、深く曲げずに膝がつま先よりも前に出ない程度に留めておきましょう。また運動中の転倒を防ぐために、手すりやイスの背もたれをつかんでおくのもおすすめです。

有酸素運動

半月板損傷の方のリハビリには、有酸素運動もおすすめです。有酸素運動では心肺機能の向上や脂肪燃焼の効果が期待できます。脂肪燃焼の効果で体重が減少すれば、膝関節にかかる負担が少なくなり、痛みの軽減につながるでしょう。半月板損傷の方でおすすめの有酸素運動は、膝に負担のかかりにくいウォーキングです。運動量は週に2回以上、1回30分程度が望ましいですが、膝の状態にあわせてムリのない範囲で進めることが大切です。  

バランストレーニング

半月板を損傷すると膝関節に体重をかけにくくなるので、バランス力の低下につながり、転倒や膝折れのリスクが高まります。バランストレーニングは2次的なケガを防ぐためにも、重要なリハビリの1つといえるでしょう。膝関節に体重を乗せる感覚を養うことで、バランス力の向上が期待できます。

医療機関でのリハビリでは、バランスディスクやクッションなどの不安定な土台に乗って行うケースが多いです。自宅で行う場合は、クッションや丸めたタオルの上に乗ってバランスをとってみましょう。ただし、バランストレーニングは不安定な状態で行うので、転倒防止として壁や手すりの近くの環境で行いましょう。

半月板損傷の手術後のリハビリ

膝にサポーターを巻く様子

半月板損傷の程度によっては手術を行う必要があります。ここでは半月板損傷の手術を行った後のリハビリについて説明します。

損傷具合や手術内容によってリハビリ期間は異なる

手術後のリハビリ期間は、半月板損傷の程度や症状によって異なります。縫合手術の場合、半月板の再断裂を防ぐために装具で2週間程度固定し、松葉杖を使って体重をかけないようにします。 切除術では膝を固定する必要がなく、術後のタイミングから荷重可能です。 そのため、早期から可動域訓練だけでなく体重をかけたリハビリを行えます。

手術前からリハビリを行うことが大切

手術後に膝の状態をスムーズに回復させるためには、手術前からリハビリを行うことが大切です。手術後は侵襲や安静の影響で、膝の筋力や可動域が低下しやすいです。あらかじめストレッチや筋トレを行い筋力や可動域を高めておけば、低下の幅が緩やかになるでしょう。また、術後に備えて松葉杖の使い方や身体の動きを覚えておくと、リハビリの負担を軽減できます。

膝の負担をかけないための日常生活の工夫

ストレッチをする夫婦

普段から膝に負担をかけやすい生活を送っていると、半月板の損傷が進行しやすくなります。ここでは膝に負担をかけないための、日常生活で工夫したいポイントについてご紹介します。

膝を曲げすぎない

普段の生活では膝を曲げすぎないように気をつけましょう。膝を曲げすぎると関節に負担がかかりやすくなり、半月板損傷の症状が進行する恐れがあります。とくに畳を中心とした和式スタイルだと膝を深く曲げる機会が多いので注意が必要です。可能であれば、ソファーやイスに座って生活する洋式のスタイルに切り替えるようにしましょう。

体重の増加に気をつける

体重が増えると膝にかかる負担が大きくなるので、半月板損傷が悪化する恐れがあります。体重が増えて肥満になると、脳卒中や心臓病などの生活習慣病を引き起こす危険性もあります。  体重増加を防ぐためには運動習慣をつけたり、食事の栄養バランスを整えたりすることが大切です。膝の状態だけでなく、病気の予防のためにも体重の増加には注意しましょう。

手すりや杖を使用する

半月板損傷の方は、手すりや杖の使用もおすすめです。階段や段差の上り下り、長時間の歩行は膝に負担がかかりやすく、半月板損傷を悪化させる可能性があります。部屋に手すりを設置しておけば、 腕の力で体重を支えやすくなり、その分膝にかかる負担が少なくなります。杖も同様に、膝にかかる負荷の軽減が期待できるので、歩くときの痛みに悩んでいる方はぜひ活用してみましょう。

半月板損傷のリハビリを行って悪化防止に努めよう(まとめ)

院内で笑顔を見せる女性

半月板損傷は加齢や運動などによって引き起こされるため、若い方から高齢者まで起こりうる疾患です。半月板の損傷部位が拡大して症状を悪化させないためにも、リハビリを行って膝にかかる負担を減らす必要があります。また手術を行うべきケースだとしても、リハビリは膝の機能を改善させるためには欠かせないものです。膝に負担をかけない生活を送りつつ、自宅でもムリのない範囲でリハビリを進めていきましょう。
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