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理学療法士になるには?学校の入学から資格の取得までの流れを解説

理学療法士になるには?学校の入学から資格の取得までの流れを解説

更新日:2023年01月16日

公開日:2023年01月05日

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車いすの女性とスタッフ

少子高齢化社会の今、医療の需要が高まっているとともに理学療法士を目指す人も増えました。しかし理学療法士になるには、どのような手順を踏むのかイマイチわからない人もいると思います。この記事では、理学療法士になるための一連の流れについてご紹介します。

理学療法士になるには?

車いすの男性とスタッフ

理学療法士を目指す前に、そもそもどのような職業であるのかを理解する必要があります。ここでは理学療法士になるための方法と、その概要について説明します。

そもそも理学療法士とは?

理学療法士とはケガや病気で身体の機能が低下した人にリハビリテーションを実施し、回復を目指す職業です。理学療法士は「PT(Physical Therapist)」と呼ばれることもあります。

リハビリにはさまざまな種類があり、筋トレやストレッチなどを行う運動療法、電気や温熱を利用した物理療法などが代表的です。これらはあらかじめ患者さんの評価を行ったうえで、その人に適切なリハビリプログラムを作成します。それぞれの希望や悩み、改善すべき機能を理解したうえで、一人ひとりにあわせてアプローチを行います。

作業療法士・言語聴覚士とのちがい

理学療法士に似た仕事に「作業療法士」と「言語聴覚士」があります。理学療法士がおもに運動機能の改善を行うのに対して、作業療法士は日常生活に関係する動作の練習が中心です。日常生活に関係する動作の例として、以下のようなものがあげられます。

・キッチン周りの作業
・裁縫や工作
・デスクワーク
・園芸

など

このように、作業療法士は手に対するリハビリを中心に行うとイメージすればわかりやすいです。

言語聴覚士は、言葉や飲み込み、頭の機能に関するリハビリを中心に行います。脳卒中では言葉を話す・聞くなどの機能や飲み込みが障害されることが多いです。身体の内部に関わる機能を改善するために、発生の練習をしたり、食形態を変えて食べ物を飲み込みやすいように工夫したりします。

理学療法士になるには資格の取得が必要

理学療法士として仕事を行うためには、国家資格の取得が必要です。国家資格を取得するためには国家試験の受験で合格する必要があり、養成校に3年以上通って知識・技術を学ばないといけません。すぐには理学療法士として仕事ができない点を理解しておきましょう。

理学療法士になるまでの流れ

談笑するスタッフ

理学療法士の資格を取得するまでには、どのような手順を踏めばいいのでしょうか。ここでは理学療法士になるまでの流れについて説明します。

学校に入学する

まずは高校卒業後に養成校に入学する必要があり、そこで3〜4年間理学療法士についての知識と技術を学びます。ここでは専門学校と大学のちがいや実際の授業内容、学費について詳しく解説します。

専門学校と大学のちがい

専門学校はその名前のとおり、理学療法士を目指すことに特化した学校です。理学療法士になるためのカリキュラムで勉強を進めるため、授業内容にムダがありません。生徒もすべて理学療法士を目指しているので、団結力が高まりやすいのが特徴です。また3年制の学校もあり、4年制より授業スピードは早いですが、1年早く理学療法士として仕事を行えます。

一方大学は専門学校と比べると、さまざまな分野を幅広く学べる環境があります。理学療法士に特化しているわけではなく、途中で他の分野に進むことも可能です。もちろん理学療法士を目指すとなると、専門学校と同じようなカリキュラムになります。理学療法士以外の職業を目指す学生もたくさんいるので、さまざまな感性に触れやすいのも特徴です。

授業の内容

学校では年次によってなにを学ぶのかをみていきましょう。最初の1年次では解剖学や生理学、リハビリテーション医学など、理学療法士に必要な基礎科目を学びます。これらは国家試験でも出題されるだけでなく、理学療法士になった後でもおさえておくべき重要な科目です。

2年次では理学療法評価学や運動療法学など、少しずつ専門性の高い科目が増えます。座学だけでなく実技の授業も増え、理学療法士として実際に仕事で行う内容が明確になります。

3年次では専門的な授業が多くを占め、4年次の前半では実際に職場で理学療法士の仕事に触れる「臨床実習」が開始。そして後半では国家試験に向けて学校独自の対策が行われます。

養成校にかかる学費はそれぞれ異なる

養成校にかかる学費は、学校によって大きく異なります。参考として、学費の目安は以下のとおりです。

・私立大学:600万円前後
・国立大学:250万円前後
・3年制の専門学校:400万円前後
・4年制の専門学校:500万円前後

このように学費をおさえながら理学療法士を目指すとなると、国立大学がおすすめといえるでしょう。しかし上記は目安なので、学校によって金額は変動します。入学を希望する学校がいくらかかるのかは、事前に把握しておきましょう。

国家試験を受験して合格する

学校に入学して臨床実習や試験対策を行ったら、実際に国家試験を受験します。試験の問題は大きく「一般問題」と「実地問題」の2種類に分かれています。一般問題は1問1点、実地問題は1問3点という配分になっており、それぞれ一定以上の点数をとらなければいけません。

厚生労働省によると、2022年の国家試験の合格基準は以下のとおりです。

・総得点 164点以上/272点
・実地問題 40点以上/114点

また受験者は12,685人に対して、合格者は10,096人。合格率でいうと79,6%です。2017年の国家試験では合格率が90%であったことから、年々合格率が低下していることがわかります。国家試験は毎年2月に行われ、受験に合格したら理学療法士の資格を取得できます。

出典:第57回理学療法士国家試験及び第57回作業療法士国家試験の合格発表について – 厚生労働省
統計情報|協会の取り組み

社会人でも理学療法士にはなれる

ストレッチをする利用者さんとスタッフ

理学療法士は社会人になった後でも目指すことは可能です。社会人として過ごしてきた経験は、理学療法士として仕事をするうえでもメリットになりやすいです。国家試験の受験資格にも年齢制限はないため、何歳になっても理学療法士にはなれます。

社会人が効率よく理学療法士になるには、夜間部の学校の入学がおすすめです。夜間部がある学校なら、仕事が終わった後に通学ができるのに加え、昼間部と比べると学費が安い傾向にあります。とはいえ仕事と並行して勉強することは大変ですし、家族との時間もとりにくくなるので、その点をよく考えながら決めましょう。

理学療法士の勤務先

高齢の女性とスタッフ

理学療法士の資格を取得したら、実際にどのような勤務先があるのでしょうか。ここでは理学療法士が活躍できる勤務先についてご紹介します。

医療施設

理学療法士の勤務先として一番割合が多い場所は医療施設です。医療施設といっても、その種類は多岐にわたります。病気を発症した直後の時期に入院する「急性期病院」や、症状が落ち着いた患者さんが入院する「回復期病院」など、種類はさまざまです。

その他にも精神病院や小児を中心とした病院もあるため、幅広い分野から自身が興味のある就職先を選択することが大切です。

介護・福祉施設

介護・福祉施設は、医療施設の次に理学療法士が多いとされています。介護・福祉施設には以下のような種類があります。

・介護老人保健施設
・特別養護老人ホーム
・通所リハビリテーション
・訪問リハビリテーション

介護・福祉施設は、病院を退院した人が利用しているケースがほとんどです。そのため自宅の復帰、あるいは安全に自宅で過ごすことを目的にリハビリを実施することが多いです。

教育・研究施設

これまでの理学療法士としての経験を活かして、教育施設(養成校)で教師として活躍されている人もいます。教師としてはたらく場合、5年以上の実務経験が必要なので、すぐに教育施設で仕事をすることはできません。そのため、理学療法士として仕事をした後のキャリアの1つとしてとらえておきましょう。

今後のリハビリ業界の発展のために、研究施設ではたらく理学療法士もいます。臨床での仕事が好きな人は、医療施設で仕事をしながら大学院で研究を行っているケースもあります。

スポーツ分野

医療や介護施設の他にも、スポーツ分野で仕事をする理学療法士もいます。フィットネスクラブやスポーツクラブなどで、10〜20代の若い世代の人たちに指導を行います。

またプロスポーツ選手を相手に、ケガのリハビリや身体機能を高めるためのトレーニングを行うこともあるでしょう。高齢者よりも若い人たちに対してトレーニングを実施する機会が多いので、医療施設の患者さんとはちがい、リハビリの内容がまったく異なります。

理学療法士の実際の仕事内容

手を握るスタッフ

理学療法士のおもな仕事は、身体に障害を抱えた人にリハビリを行い、その人の目標に向けて支援をすることです。その具体的な方法として、身体を動かす運動療法や、電気や温熱を利用する物理療法などがあげられます。その他にも、自宅の生活で注意すべき運動を指導したり、運動習慣をつけるために自主トレーニングメニューを作成したりなども行います。

患者さんとのコミュニケーションだけではなく、家族や他職種とのやりとりも欠かせません。患者さんに対して適切な治療を行うためには、他職種と連携して情報を頻繁に共有する必要があります。また家族に患者さんの身体状況の説明や動作指導を行うことで、退院後の支援に理解を得られやすくなるでしょう。理学療法士がなにをしているのかは勤務先によって異なりますが、基本的に臨床の場では以上の仕事を中心に行っています。

理学療法士に向いている人

リハビリする患者さんとスタッフ

どんな理学療法士になりたいか、なぜ理学療法士になりたいのかは人によってさまざまです。ここではどんな人が理学療法士に向いているのかを説明します。

心身を健康に保てる人

体調管理を忘れずに、心身を常に健康に保てる人は理学療法士に向いています。理学療法士は病気やリハビリに関する知識が求められますが、同じように体力面も重要です。リハビリでは患者さんの手足を動かしたり、身体を支えたりする場面が多いからです。とくに介助量が多い人にリハビリを行う際は、かなりの力が必要となるでしょう。

理学療法士の心身が健康でないと、患者さんを思うように支えられず、不安にさせてしまいます。常にコンディションを良好に保つためにも、日々の体調管理を忘れずに行いましょう。

向上心を常に持っている人

理学療法士は国家試験に合格したら、そこで勉強が終わりではありません。リハビリは時代とともに進化し続けているので、就職後も常に知識や技術をアップデートしなくてはいけません。そのため向上心を持っている人は、理学療法士に向いているといえます。

向上心が高い人はリハビリに対する思いが強い傾向にあるので、患者さんだけでなく職場のスタッフからの信頼も高まりやすいです。効果的なリハビリを行うためにも、向上心を高く持ち、自己研鑽を忘れないようにしましょう。

思いやりの心を持っている人

思いやりの心を持っている人は、患者さんの精神的なサポートを行いやすいです。ケガや病気になってしまった人は、身体的な障害だけでなく精神的にも大きな傷を負いやすいです。精神面が不安定になると悲しみやいら立ちが積み重なり、リハビリに対しても消極的になってしまいます。

このとき理学療法士は患者さんの気持ちに寄り添い、思いやりの心を持ちながら行動する必要があります。もし患者さんに対して思いやりのない行動をとると、その理学療法士との信頼関係が崩れてリハビリを拒否することもあるでしょう。信頼関係が崩れると修復は困難となるので、患者さんに対する思いやりを必ず持つようにしましょう。

学校の入学前に準備しておきたいこと

高齢者を支えるスタッフ

理学療法士を目指そうと学校を選んだものの、勉強がうまくいくか不安な人も多いと思います。ここではその不安を解消するために、学校に入学する前に準備しておきたいことについてご紹介します。

身体の構造について勉強しておく

1年次の段階で勉強する「解剖学」と「生理学」の知識は、国家試験だけでなく就職後も求められます。入学前から身体の構造について予習をしておくと、勉強がスムーズとなりやすいです。

予習するときは、簡単な参考書を読むだけでもかまいません。高校生の場合、休み時間や通学中などのスキマ時間を利用して読むのもおすすめです。また入学予定の学校から参考書が送られたり、事前学習の内容を教えてくれたりするケースもあります。

勉強習慣を作っておく

事前に勉強習慣を作っておくと、学校生活だけでなく就職後の自己研鑽の際にも役立ちます。理学療法士の学校で学ぶ科目は専門分野が多く、座学と実技どちらも勉強しなければいけません。最終学年では国家試験のためにひたすら勉強する必要もあるでしょう。

また就職後の勤務先によっては、勉強会や研修会に参加する機会が増えます。このように理学療法士は生涯勉強が必要な職業であるため、勉強を習慣化しておくことをおすすめします。

コミュニケーションスキルを磨いておく

理学療法士は患者さんと関わる仕事のため、知識や技術だけでなくコミュニケーションスキルも必要です。コミュニケーションスキルを磨いておくと、患者さんとの信頼関係が築きやすくなるだけでなく、上司や他職種とのやりとりもスムーズとなります。

学生のうちに友人との交流を大切にしたり、アルバイトで接客業を行ったりすることをおすすめします。コミュニケーションスキルは理学療法士に関係なく、すべての仕事や生活に役立つものなので、若いうちにさまざまな人との交流をしておきましょう。

国家資格の理学療法士を目指して勉強しよう

笑顔のスタッフ

理学療法士になるためには学校に3年以上入学して、国家試験に合格する必要があります。資格の取得に年齢制限はないため、社会人でも理学療法士は十分に目指せます。また理学療法士になるために必要なものは、知識・技術だけではありません。健康な心身や患者さんに対する共感性、勉強に対しての高い意識も重要です。これらの点を踏まえたうえで、さまざまな場面で活躍できるような理学療法士を目指しましょう。
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