『福祉住環境コーディネーター(3級・2級・1級)』ってどんな資格?

理学療法士や作業療法士のスキルアップ資格として注目の「福祉住環境コーディネーター(3級・2級・1級)」についてまとめています。

2021.03.01

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福祉住環境コーディネーターの資格について

近年、理学療法士や作業療法士に人気のある資格が「福祉住環境コーディネーター」です。
福祉住環境コーディネーターは、毎年約3万人の方が受験しています。
今回は、福祉住環境コーディネーターが「どんな資格なのか分からない」という方のために、仕事内容や資格取得の方法などをご紹介していきます。

『福祉住環境コーディネーター(3級・2級・1級)』とは?

福祉住環境コーディネーターとは?

福祉住環境コーディネーターとは、高齢者や障がい者が自宅で安全かつ快適に暮らせるように、より住みやすい環境を提案するアドバイザーです。 
介護支援専門員や建築士などの各専門職と連携をとりながら、最適な住宅改修プランの提案や車いすや介護ベッドなど福祉用具・用品の使用についてアドバイスをします。 
福祉住環境コーディネーターは、1999年に始まった東京商工会議所が認定する民間の検定資格で階級は3級~1級まで設定されており、まだ歴史が新しい資格となります。 

様々な業界で活躍できる資格

福祉住環境コーディネーターは、高齢化に伴いこれからますます需要が増えると予想されている資格です。 
現状としては福祉住環境コーディネーターとして求人募集をしている企業はさほど多くないですが、介護福祉業界・建築業界・不動産業界・医療業界など高齢者や障がい者の自立支援に関わる専門職の方が、福祉住環境コーディネーター資格を取得し仕事で活用しています。 
今後、資格の認知度やニーズがさらに高まれば、「福祉住環境コーディネーターとして」活躍できる場は広がっていくはずです。 

どんな資格を持っている人が受験している?

福祉住環境コーディネーターの資格は、何かしらの資格を持っている専門職の方が多く受験しています。 
東京商工会議所では、福祉住環境コーディネーター2級と3級を受験した方の保有資格が以下のように発表されています。 

■福祉住環境コーディネーター2級・3級受験者の保有資格(※複数回答) 
福祉住環境コーディネーター2級・3級受験者の保有資格.jpg

(※)出典:東京商工会議所/受験者の保有資格(2・3級アンケート集計結果) 

 東京商工会議所のデータによると、受験者の保有資格で最も多いのは介護業界の資格でした。 
保有資格として回答が多かった順からみていくと、1位が福祉用具専門相談員で2位が介護福祉士、3位が介護職員初任者研修となっています。 
医療業界においては理学療法士が最も多く、次に作業療法士という結果でした。 
このように、福祉住環境コーディネーターの検定試験を受ける方は、さまざまな業界において専門資格を保有したうえでさらなるスキルアップを目指していることが分かります。

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福祉住環境コーディネーターの仕事内容について

福祉住環境コーディネーターが出来ること

福祉住環境コーディネーターの資格を取得することによりできる仕事にはどのようなことが挙げられるのか詳しくみていきましょう。 
福祉住環境コーディネーターの主な仕事内容は、高齢者や障がい者が生活する自宅や生活用品をより使いやすくするためのアドバイスです。
たとえば
・段差の解消を提案
・手すりの設置を提案
・車いすの使用方法を教える
・介護ベッドの使用法を教える 

など、住まいのコーディネートを行うことがメインの役割となります。
福祉住環境コーディネーターは、資格を活かして「より質の高いサービスを提供する」という働き方が一般的です。
なぜなら、この資格だけではアドバイスをすることは可能でも、状況に合った行動や専門的な対応ができないからです。
今後、さらに福祉住環境コーディネーターとして求められる仕事が増えれば、住環境コーディネートを専門とする各専門職の求人も出てくるかもしれません。

福祉住環境コーディネーターを取得するメリットとは?

福祉住環境コーディネーターを取得するメリットとは? .png

結論からいうと、理学療法士や作業療法士が福祉住環境コーディネーター資格を取得することで直接的な給与アップやキャリアアップはありません。 
福祉住環境コーディネーターは、今持っている理学療法士、作業療法士の資格にプラスして知識を広げるための資格となるため、資格手当などの優遇は残念ながらありません。 
自分を高める目的で福祉住環境コーディネーターを取得するためキャリアアップとはなりませんが、知識を身につけることでスキルアップに繋げることは可能です。 
なお、この資格をリハビリ職の仕事で活かすのであれば、できれば2級もしくは1級の取得を目指しましょう。 
福祉住環境コーディネーターの3級は知識の導入として取得されることが多いため、より仕事で実践的につかえる資格は2級以上といわれています。 
福祉住環境コーディネーターを取得するメリットは、身体機能や能力の改善だけでなく高齢者や障がい者とその家族が安心して暮らせる住宅環境をコーディネートできる人材になれることです。 
また、取得者がまだ少ないためアドバイスを求められることも多くなり、職場で頼られる存在となるでしょう。 


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福祉住環境コーディネーター(3級・2級・1級)の資格試験まとめ

誰でも受験できる‼

福祉住環境コーディネーターになるには、東京商工会議所が実施している試験に合格しなければなりません。 
また、資格取得にはそれぞれ「福祉住環境コーディネーター3級」「福祉住環境コーディネーター2級」「福祉住環境コーディネーター1級」と3~1級の階級に分かれており、それぞれ受験が必要となります。 
受験資格については、学歴・年齢・性別・国籍による制限や条件はとくにないため、誰でも挑戦することが可能です。 
受験へのハードルが低いためチャレンジしやすく、理学療法士や作業療法士の専門学生などの取得も増えてきています。 
実際に、福祉住環境コーディネーターの資格を取得するのはどのような業種の方が多いのか調べてみました。 東京商工会議所の「2019年度 受験者の業種」によると以下となります。 

■2019年度 福祉住環境コーディネーター2級 受験者の業種  
2019年度福祉住環境コーディネーター2級受験者の業種データ.jpg

■2019年度 福祉住環境コーディネーター3級 受験者の業種 
2019年度福祉住環境コーディネーター3級受験者の業種データ.jpg

 最近は、専門学校だけでなく高校や短期大学、そして大学でも福祉住環境コーディネーターの検定試験が受けられるコースが多くあり、学びの過程として3級の取得を目指す方が増えていることから学生の受験が多い傾向にあります。 
しかし、2級になると学生は減り、建設業、社会保険・社会福祉、医療業など働いている方の受験が増えています。 
福祉住環境コーディネーター3級は、初級編ということもあり比較的学生のうちから受験がしやすいですが、2級以上となると一気に試験の難易度が上がるため、働き始めてから必要性に応じて試験に挑む方が多いようです。 
福祉住環境コーディネーターの資格を仕事で活用するのであれば、せめて2級の資格取得を考えたほうがよいでしょう。 

福祉住環境コーディネーター資格試験の「流れ」と「概要」

福祉住環境コーディネーター試験を受験する流れと概要についてご紹介します。
福祉住環境コーディネーターの資格は、3級から1級までありその階級に応じて試験内容・時間・受験料が異なります。
3級から順番に受けなくても2・3級の併願受験や、3級を飛ばして2級から受験することも可能です。
しかし、1級だけは2級を合格した人だけが受験可能で、申込登録時に2級の証書番号が必要となります。

【受験の流れ】

[申込登録をする]
まずは、インターネットもしくは電話で受験の申込登録をします。

[申込書(払込取扱票)が届く]
申込書(払込取扱票)は、登録日から通常営業日5日以内に普通郵便で発送されます。

[受験料を支払う]
指定された払込期間までに、郵便局またはコンビニエンスストアで受験料を支払います(払込締切日までの受領印有効)。

[受験票が届く]
受験票発送日に受験票(ハガキサイズ)が普通郵便で発送されます。

《試験を受ける》

[合格発表]
WEB成績票照会期間に、インターネットで自身の成績を確認します。

[合格証が届く]
合格者には、合格証発送日に合格証(カード)が普通郵便で発送されます。

【福祉住環境コーディネーター検定試験の概要】

福祉住環境コーディネーター資格試験の概要は以下です。
<各階級・試験時間・受験料>
1級前半:マークシート方式 2時間
後半:記述式 2時間
11,000円(税込)
2級マークシート方式2時間6,600円(税込)
3級マークシート方式2時間4,400円(税込)
試験はそれぞれ100点中70点以上正解すれば合格となります。
1級は年に一度の開催ですが、2級・3級に関しては例年、年に二回の資格試験が開催されています。

試験範囲はどこからどこまで?

福祉住環境コーディネーター検定試験ではどのような問題が出題されるのでしょうか。 
3級~1級までの階級別における試験範囲について、詳しくご紹介します。 

【福祉住環境コーディネーター3級の試験範囲】

福祉住環境コーディネーター3級の検定試験では、公式テキストに該当する知識とそれを理解したうえでの応用力が問われます。 
出題は、マークシート方式で制限時間は2時間です。

◆少子高齢社会と共生社会への道
◆福祉住環境整備の重要性・必要性
◆在宅生活の維持とケアサービス
◆高齢者の健康と自立
◆障害者が生活の不自由を克服する道
◆バリアフリーとユニバーサルデザインを考える
◆生活を支えるさまざまな用具
◆住まいの整備のための基本技術
◆生活行為別に見る安全・安心・快適な住まい
◆ライフスタイルの多様化と住まい
◆安心できる住生活
◆安心して暮らせるまちづくり

【福祉住環境コーディネーター2級の試験範囲】

福祉住環境コーディネーター2級の検定試験では、住環境コーディネーター3級の試験範囲および2級の公式テキストに該当する知識と、それを理解したうえでの応用力が問われます。 
出題は、マークシート方式で制限時間は2時間です。 

 ◆高齢者・障害者を取り巻く社会状況と住環境
◆福祉住環境コーディネーターの役割と機能
◆障害のとらえ方
◆リハビリテーションと自立支援
◆高齢者・障害者の心身の特性
◆在宅介護での自立支援のあり方
◆高齢者に多い疾患別にみた福祉住環境整備
◆障害別にみた福祉住環境整備
◆福祉住環境整備とケアマネジメント
◆福祉住環境整備の進め方
◆福祉住環境整備関連職への理解と連携
◆相談援助の実践的な進め方
◆福祉住環境整備の共通基本技術
◆生活行為別福祉住環境整備の手法
◆福祉住環境整備の実践に必要な基礎知識
◆福祉用具の意味と適用
◆生活行為別にみた福祉用具の活用

【福祉住環境コーディネーター1級の試験範囲】

福祉住環境コーディネーター1級の検定試験を受けるには、2級に合格していることが条件となります。 
出題は、マークシート方式(前半)・記述式(後半)でそれぞれ2時間です。 

<前半>マークシート式試験
2級・3級の範囲および1級公式テキストに該当する知識と、それを理解したうえでの応用力が問われます。

◆これからの社会に求められる福祉住環境整備
◆福祉住環境コーディネーター1級の目標と役割
◆地域福祉の推進-福祉コミュニティづくり-
◆地域で支える高齢者ケア
◆地域で支える障害者ケア
◆ユニバーサルデザインの概念および沿革
◆ユニバーサルデザイン環境の整備手法
◆高齢者・要介護者向け住宅・施設の流れ
◆高齢者住宅・施設の種類と機能
◆障害者向け住宅および施設の種類と機能
◆福祉住環境のコーディネートの実際

<後半>記述式試験
実務能力における実践力、応用力、総合的判断力が問われます。
公式テキストが規範となるが、法令制度については最新情報の理解を前提に出題されます。

福祉住環境コーディネーターの「合格率」と「難易度」はどのくらい?

受験資格の条件がないため検定試験が受けやすい福祉住環境コーディネーターですが、階級別における合格率と難易度はどのくらいなのでしょう。 
以下では、2019年度と2020年度における福祉住環境コーディネーター資格の試験結果をご紹介しています。

【2019年度 年度合計・試験結果(全国分)】 
受験者(人)合格者(人)合格率(%)
1級3635013.8
2級19,535 7,366 37.7
3級9,525 5,52458.0
【2020年度 第45回・試験結果(全国分)】 
受験者(人)合格者(人)合格率(%)
2級11,729 5,043 46.8
3級7,002 4,335 66.8
東京商工会議所によると、2020年に行われた第45回福祉住環境コーディネーター試験の合格率は、2級が46.8%、3級が66.8%で、前年度の試験結果と比べて2級は9.1ポイント増、3級は8.8ポイント増という結果になっています。(1級の試験結果については未発表。※2021年2月末現在) 
一方、2019年の試験・年度合計における1級の合格率は13.8%。 
受験者のおよそ1割しか合格できないことをふまえると、2級や3級と比べてかなりの難易度であることが分かります。 
また、2020年度では2級3級ともに前年度の合格率を上回ったものの、いずれも決して高い合格率とあるとはいえません。 
福祉住環境コーディネーターは誰でも受験が可能という気軽さから間口が広い資格となりますが、初級である3級でも合格率は約60%を下回る開催年もあるため、十分な試験対策を行い挑むことが大切です。 
2級や1級の一発合格を狙うなら、過去問題集で出てきたポイントだけでなく予想模擬問題やテキストの欄外に書いてあるところまでしっかりと頭に入れて試験に臨みましょう。 

福祉住環境コーディネーター2級をいきなり受けても受かる?

福祉住環境コーディネーター3級と2級は検定試験を受けるための条件がないため、初級となる3級を受けずにその上の階級である2級をいきなり受験するという方もなかにはいます。 
仕事で実践的に使うためには2級以上の資格を保有していることが望ましいとされているため、「3級を飛ばして2級から受験をするほうが効率がよい」、「受験にかかる費用が少なくて済む」といった理由が多いようです。 
ですが、いきなり2級から受験をする場合、3級よりも確実に試験の難易度は上がるため合格するには相応の試験対策が必要となります。 
特に対策をしないまま2級から受験をして落ちてしまったという方も一定数いるので、医療系の専門知識だけでなく対策テキストや過去問を解くなどといった勉強をして試験に挑むようにしましょう。 

福祉住環境コーディネーターの試験対策はテキストと過去問で!

福祉住環境コーディネーターの検定試験を受けてみたいけれど、どのような試験対策をしたらよいか分からないという方もいるのではないでしょうか。 
一般的に、福祉住環境コーディネーターの試験対策として多くの方が取り入れている方法が、東京商工会議所が販売する公式テキストや一般販売されている対策テキストによる勉強のほか、過去問による対策です。 
テキストでは、福祉住環境コーディネーターとして必要な基礎知識をはじめ、専門用語や重点的に覚えておきたいポイントを学ぶことができ、また過去問では学習した内容の復習や理解度を深めることに役立ちます。 
福祉住環境コーディネーター検定試験の過去問については東京商工会議所の公式サイトで一部確認することができますが、多くは掲載されていないため個別で対策問題集を購入するのが無難です。 
最近では、福祉住環境コーディネーターの検定試験対策として問題集を見ることができるスマホアプリも登場しているため、移動中や隙間時間に勉強するために活用する人もいるようです。 
ぜひ、今後検定試験を受けようと考えている方は参考にしてみてはいかがでしょうか。 

さいごに

福祉住環境コーディネーターの資格は、高齢化にともない今後さらに需要が高まると予測されます。
高齢者や障がい者の自立支援に関わる仕事をしているのであれば、取得しておくべき資格といえます。 
また取得者数が少ない今だからこそ、福祉住環境コーディネーターの資格を取得し知識とスキルを積んでおくことをおすすめします。 
近い将来、福祉住環境コーディネーターとして採用する企業が出てきたとき、経験値やスキルの高さが評価され自分の強みとなり、キャリアアップに繋がるでしょう。 

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