『福祉住環境コーディネーター』ってどんな資格?

理学療法士や作業療法士の方に人気が出てきている資格「福祉住環境コーディネーター」についてまとめています。

2020.03.23

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
福祉住環境コーディネーターの資格について

近年、理学療法士や作業療法士に人気のある資格が「福祉住環境コーディネーター」です。
福祉住環境コーディネーターは、毎年約3万人の方が受験しています。
今回は、福祉住環境コーディネーターが「どんな資格なのか分からない」という方のために、仕事内容や資格取得の方法などをご紹介したいと思います。

『福祉住環境コーディネーター』とは?

福祉住環境コーディネーターとは?

福祉住環境コーディネーターとは、高齢者や障がい者が自宅で安全かつ快適に暮らせるように、より住みやすい環境を提案するアドバイザーです。
ケアマネジャーや建築士など各専門職と連携をとりながら、最適な住宅改修プランの提案や車いすや介護ベッドなど福祉用具・用品の使用についてアドバイスをします。
福祉住環境コーディネーターは、1999年に始まった東京商工会議所が認定する民間の検定資格です。階級は3級~1級まで設定されており、まだ歴史が新しい資格となります。

様々な業界で活躍できる資格

福祉住環境コーディネーターは、認知度は低めですがこれから需要が増えると予想されている資格です。活躍できる場は、介護福祉業界・建築業界・不動産業界・医療業界など幅広い業界にあります。
しかしながら、福祉住環境コーディネーターとして求人募集している企業はあまりありません。現状は、高齢者や障がい者の自立支援に関わる専門職の方が、福祉住環境コーディネーター資格を取得し仕事で活用していることがほとんどです。
今後、資格の認知度やニーズが高まれば「福祉住環境コーディネーターとして」活躍できる場はさらに広がるはずです。

福祉住環境コーディネーターの仕事内容について

福祉住環境コーディネーターが出来ること

福祉住環境コーディネーターの資格を取得すると、どんなことができるのか見ていきましょう。
主な仕事内容は、高齢者や障がい者が生活する自宅や生活用品を、より使いやすくするためのアドバイスです。
たとえば
・段差の解消を提案
・手すりの設置を提案
・車いすの使用方法を教える
・介護ベッドの使用法を教える など

住まいのコーディネートをおこなうのがメインの役割となります。
福祉住環境コーディネーターは、資格を活かして「より質の高いサービスを提供する」という働き方が一般的です。
なぜなら、この資格だけではアドバイスをすることは可能でも、状況に合った行動や専門的な対応ができないからです。
今後、さらに福祉住環境コーディネーターとして求められる仕事が増えれば、住環境コーディネートを専門とする各専門職の求人も出てくるかもしれません。

福祉住環境コーディネーターはだれでも受験可能?!資格試験について~

誰でも受験できる‼

福祉住環境コーディネーターになるには、東京商工会議所が実施している試験に合格しなければなりません。
受験資格については、学歴・年齢・性別・国籍による制限や条件はとくにないため、誰でも挑戦することが可能です。
受験へのハードルが低いためチャレンジしやすく、理学療法士や作業療法士の専門学生などの取得も増えてきています。

実際に、福祉住環境コーディネーターの資格を取得するのはどんな業種の方が多いのか調べてみました。
東京商工会議所の「2018年度 受験者の業種」によると以下となります。
2018年度受験者業種 3級 グラフ

2018年度受験者業種 2級 グラフ

福祉住環境コーディネーター3級は、初級編ということもあり学生の受験が多い傾向にあります。2級になると学生は減り、建設業、社会保険・社会福祉、医療業など働いている方の受験が増えています。
その理由として考えられるのは、学生時代に3級を受験し就職後に2級の受験をしているということ。
福祉住環境コーディネーターの資格を仕事で活用するのであれば、せめて2級の資格取得を考えた方がよいでしょう。

福祉住環境コーディネーター資格試験の「流れ」と「概要」

福祉住環境コーディネーター試験を受験する流れと概要についてご紹介します。
福祉住環境コーディネーターの資格は、3級から1級までありその階級に応じて試験内容・時間・受験料が異なります。
3級から順番に受けなくても2・3級の併願受験や、3級を飛ばして2級から受験することも可能です。
しかし、1級だけは2級を合格した人だけが受験可能で、申込登録時に2級の証書番号が必要となります。

【受験の流れ】

[申込登録をする]
まずは、インターネットもしくは電話で受験の申込登録をします。

[申込書(払込取扱票)が届く]
申込書(払込取扱票)は、登録日から通常営業日5日以内に普通郵便で発送されます。

[受験料を支払う]
指定された払込期間までに、郵便局またはコンビニエンスストアで受験料を支払います(払込締切日までの受領印有効)。

[受験票が届く]
受験票発送日に受験票(ハガキサイズ)が普通郵便で発送されます。

《試験を受ける》

[合格発表]
WEB成績票照会期間に、インターネットで自身の成績を確認します。

[合格証が届く]
合格者には、合格証発送日に合格証(カード)が普通郵便で発送されます。

【資格試験の概要】

福祉住環境コーディネーター資格試験の概要は以下です。
<各階級・試験時間・受験料>
1級前半:マークシート方式 2時間
後半:記述式 2時間
11,000円(税込)
2級マークシート方式2時間6,600円(税込)
3級マークシート方式2時間4,400円(税込)
試験はそれぞれ100点中70点以上正解すれば合格となります。
1級は年に一度の開催ですが、2級・3級に関しては年に二回の資格試験が開催されています。

<2020年度試験日程>
2020年度の検定試験日程は、東京オリンピック・パラリンピックの開催にともない、例年と異なるスケジュールとなっています。
【2・3級 試験日程】
試験日7月5日(日)
申込登録期間4月21日(火)~5月22日(金)
※初日10:00開始~最終日18:00締切り
WEB成績票照会期間
(郵送希望者受付期間)
7月27日(月)~8月21日(金)
(7月27日(月)~7月31日(金))
※初日11:00開始~最終日18:00終了
合格証等発送日8月7日(金)
【1級・2級・3級 試験日程】
試験日11月22日(日)
申込登録期間9月8日(火)~10月9日(金)
※初日10:00開始~最終日18:00締切り
WEB成績票照会期間
(郵送希望者受付期間)
1級:2021年3月3日(水)~3月26日(金)
(2021年3月3日(水)~3月9日(火))
2・3級:12月11日(金)~2021年1月22日(金)
(12月11日(金)~12月17日(木))
※初日11:00開始~最終日18:00終了
合格証等発送日1級:2021年3月12日(金)
2・3級:2021年1月4日(月)

気になる試験範囲について

福祉住環境コーディネーターの資格試験ではどんなことが出題されるのか気になるはず。
そこで、3級~1級までの試験範囲をご紹介したいと思います。

【3級の試験範囲】

3級公式テキストに該当する知識と、それを理解したうえでの応用力が問われます。
出題は、マークシート方式で制限時間は2時間です。

◆少子高齢社会と共生社会への道
◆福祉住環境整備の重要性・必要性
◆在宅生活の維持とケアサービス
◆高齢者の健康と自立
◆障害者が生活の不自由を克服する道
◆バリアフリーとユニバーサルデザインを考える
◆生活を支えるさまざまな用具
◆住まいの整備のための基本技術
◆生活行為別に見る安全・安心・快適な住まい
◆ライフスタイルの多様化と住まい
◆安心できる住生活
◆安心して暮らせるまちづくり

【2級の試験範囲】

3級の範囲および2級公式テキストに該当する知識と、それを理解したうえでの応用力が問われます。
出題は、マークシート方式で制限時間は2時間です。

◆高齢者・障害者を取り巻く社会状況と住環境
◆福祉住環境コーディネーターの役割と機能
◆障害のとらえ方
◆リハビリテーションと自立支援
◆高齢者・障害者の心身の特性
◆在宅介護での自立支援のあり方
◆高齢者に多い疾患別にみた福祉住環境整備
◆障害別にみた福祉住環境整備
◆福祉住環境整備とケアマネジメント
◆福祉住環境整備の進め方
◆福祉住環境整備関連職への理解と連携
◆相談援助の実践的な進め方
◆福祉住環境整備の共通基本技術
◆生活行為別福祉住環境整備の手法
◆福祉住環境整備の実践に必要な基礎知識
◆福祉用具の意味と適用
◆生活行為別にみた福祉用具の活用

【1級の試験範囲】

2級に合格していることが条件。
出題はマークシート方式(前半)・記述式(後半)でそれぞれ2時間です。

<前半>マークシート式試験
2級・3級の範囲および1級公式テキストに該当する知識と、それを理解したうえでの応用力が問われます。

◆これからの社会に求められる福祉住環境整備
◆福祉住環境コーディネーター1級の目標と役割
◆地域福祉の推進-福祉コミュニティづくり-
◆地域で支える高齢者ケア
◆地域で支える障害者ケア
◆ユニバーサルデザインの概念および沿革
◆ユニバーサルデザイン環境の整備手法
◆高齢者・要介護者向け住宅・施設の流れ
◆高齢者住宅・施設の種類と機能
◆障害者向け住宅および施設の種類と機能
◆福祉住環境のコーディネートの実際

<後半>記述式試験
実務能力における実践力、応用力、総合的判断力が問われます。
公式テキストが規範となるが、法令制度については最新情報の理解を前提に出題されます。

福祉住環境コーディネーターの「合格率」はどのくらい?

受験資格の条件がなく受けやすいといっても、どのくらいの確率で受かるのか気になりますよね。そこで福祉住環境コーディネーターの合格率を調べてみました。
【2018年度 試験結果(全国分)】
受験者(人)合格者(人)合格率(%)
1級3894611.8
2級21,8406,24928.6
3級9,8795,52956.0
【2019年度 試験結果(全国分)】
受験者(人)合格者(人)合格率(%)
1級363 5013.8
2級19,5357,36637.7
3級9,5255,52458.0
東京商工会議所によると、2019年に行われた第42回試験・第43回試験の合格率の年度合計は、1級が13.8%、2級が37.7%、3級が58.0%となっています。
前年度である2018年の合格率は1級11.8%、2級28.6%、3級56.0%と全ての階級において合格率が上がっていることが分かります。
しかし、初級である3級でも合格率は約60%を下回るため、甘くみていると不合格になる可能性も。
2級や1級の一発合格を狙うなら過去問題集で出てきたポイントだけでなく、予想模擬問題やテキストの欄外に書いてあるところまで、しっかりと頭に入れて試験に臨みましょう。

どんな資格を持ってる人が受験してる?

福祉住環境コーディネーターの資格は、何かしらの資格を持っている専門職の方が多く受験しています。
どのような資格を持っている方の受験が多いのか調べてみると、以下のような結果となりました。
受験者の保有資格

東京商工会議所のデータによると、受験者の保有資格でもっとも多いのは介護業界の資格でした。一位は介護福祉士、つぎに福祉用具専門相談員、介護職員初任者研修と続きます。
介護業界以外の資格では、リハビリ職である理学療法士が4位でした。

福祉住環境コーディネーターを取得するメリットとは?キャリアアップに繋がる?

取得するメリットは?キャリアアップに繋がる?

結論からいうと、理学療法士や作業療法士が福祉住環境コーディネーター資格を取得することは、給料アップやキャリアアップには繋がりません。
福祉住環境コーディネーターは、今持っている理学療法士、作業療法士の資格にプラスして知識を広げるための資格です。
そのため、資格手当などの優遇は残念ながらありません。自分を高める目的で福祉住環境コーディネーターを取得するため、キャリアアップとはなりませんが知識を付けることでスキルアップに繋げることは可能です。
この資格をリハビリ職の仕事で活かすのであれば、2級もしくは1級の取得を目指しましょう。
福祉住環境コーディネーターを取得するメリットは、身体機能や能力の改善だけでなく高齢者や障がい者とその家族が安心して暮らせる住宅環境をコーディネートできる人材になれることです。
また、取得者がまだ少ないためアドバイスを求められることも多くなり、職場で頼られる存在となるでしょう。

さいごに

福祉住環境コーディネーターの資格は、高齢化にともない今後さらに需要が高まると予測されます。高齢者や障がい者の自立支援に関わる仕事をしているのであれば、取得しておくべき資格といえます。
また取得者数が少ない今だからこそ、福祉住環境コーディネーターの資格を取得し知識とスキルを積んでおくことをおすすめします。
近い将来、福祉住環境コーディネーターとして採用する企業が出てきたとき、経験値やスキルの高さが評価され自分の強みとなり、キャリアアップに繋がるでしょう。
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

最新コラム記事