『栄養サポートチーム(NST)専門療法士』の資格取得を考えている方必見!
栄養サポートチーム専門療法士の資格はキャリアアップに繋がる!?取得のメリットや方法についてまとめています。
更新日:2021年10月12日
公開日:2021年10月12日

栄養サポートチーム専門療法士の資格に興味を持ったリハビリ職の方のために、どのような資格なのかや取得方法についてまとめました。
取得を考えている言語聴覚士や理学療法士、作業療法士の方は、ぜひ参考にご覧ください。
目次
栄養サポートチーム専門療法士とは?
栄養サポートチーム(NST(Nutrition Support Team))とは、多職種の医療スタッフが協力し栄養状態の低い患者さんの栄養サポートをおこなう栄養ケアのためのチームです。患者さんの適切な栄養管理を実施することで、疾病の合併症予防や治癒を目指します。
栄養サポートチーム(NST)は、1968年に中心静脈栄養(TNP)が開発され、発展・普及にともない医師をサポートする栄養管理専門のコメディカルスタッフが必要となったことが起源とされています。そして、1973年にアメリアで初の「栄養サポートチーム(NST)」が誕生しました。
日本では、2001年に日本経腸静脈栄養学会でNSTプロジェクトを立ち上げ、本格的な活動がスタートとなりました。
「栄養サポートチーム専門療法士」とは、栄養サポートチーム(NST)に関わる下記9つの専門職が取得できる資格です。
<取得できる専門職>
・管理栄養士
・看護師
・薬剤師
・臨床検査技師
・言語聴覚士
・理学療法士
・作業療法士
・歯科衛生士
・診療放射線技師
日本臨床栄養代謝学会(旧 日本静脈経腸栄養学会)が認定する資格制度で、栄養サポートチーム(NST)のメンバーとなる優秀な人材を育てるために始まりました。
資格の取得者は、それぞれの専門性を活かしつつ他分野の専門家や医師と連携をとり、患者さんに最良な方法で栄養ケアをおこいます。
栄養サポートチーム専門療法士を取得するメリットとは?
言語聴覚士や理学療法士、作業療法士が栄養サポートチーム専門療法士を取得するメリットにはどんなことがあるのでしょうか?さっそく見ていきましょう。
栄養サポートチーム専門療法士を取得するメリットは、資格を持っていることで栄養サポートチームでの意見や提案に対する信用度が増すということです。
栄養サポートチーム専門療法士は「優秀な人材を育てるため」に始まった資格制度なので、学術集会やセミナー、実地修練などの参加が必須とされています。そのため、資格を持っているということは、豊富な知識を得ているという証明になることは間違いありません。
また、チームの一員として今まで以上に活躍が期待されるため、キャリアアップや給料アップを望めることは資格取得の最大のメリットです。
栄養サポートチーム専門療法士を取得する方法とは?
栄養サポートチーム専門療法士になるには、いくつかの条件を満たし学会などに参加しなければなりません。取得までの流れや方法についてまとめたので見ていきましょう。取得に必要な5つの条件とは?
栄養サポートチーム専門療法士の資格を取得するには、以下の取得条件を全て満たすことが必要です。【取得条件】
(1)下記の国家資格を持っていること。
認定対象国家資格:管理栄養士、看護師、薬剤師、臨床検査技師、言語聴覚士、理学療法士、作業療法士、歯科衛生士、診療放射線技師
(2)上記国家資格により5年以上、医療・福祉施設に勤務し栄養サポートに関する業務を経験したことがある
(3)日本臨床栄養代謝学会主催の学術集会に1回(10単位)以上、NST専門療法士受験必須セミナーに1回以上の参加を必須とし30単位以上を取得している。
または、必須単位数に加え学会が認める栄養に関する全国学会、地方会、研究会への参加単位数の合計が30単位以上あること。
(4)認定教育施設において、計40時間の実地修練をおこない修了していること。
(5)上記1~4までの条件を満たしたうえで、認定試験に合格すること。
資格取得までの流れ
チーム専門療法士の資格を取得するまでの流れについて見ていきましょう。【取得までの流れ】
(1)国家資格で5年以上、医療・福祉施設に勤務し栄養サポート業務に携わる
(2)日本臨床栄養代謝学会主催のセミナーや学会に参加し、30単位以上を取得する
(3)認定教育施設において、計40時間の実地修練をおこなう
(4)症例報告書の作成
(5)認定試験の受験申請書と必要書類を専門療法士認定制度委員会へ提出する
(6)認定試験を受験する
(7)認定試験に合格後、認定申請書の送付と認定料の納入する。
《「栄養サポートチーム専門療法士」と認定》
1)5年以上医療・福祉施設に勤務し栄養サポート業務に携わる
言語聴覚士や作業療法士、理学療法士など国家資格で5年以上医療施設や福祉施設で勤務していることが必要です。また、その間に栄養サポート業務に携わっていなければなりません。
2)学術集会やセミナー、学会に参加し、30単位以上を取得する
学術集会・セミナー・学会での30単位を取得する方法は2つ。(1)必須単位数となる学術集会・セミナーへの参加のみで30単位以上を取得する。
(2)必須単位数に加えて、単位数として認められる学会・研究会に参加し合計で30単位以上を取得する。
上記のいずれかで規定単位数を取得します。
<必須単位数となる学会・セミナー>
◆日本臨床栄養代謝学会の学術集会(1回参加で10単位)
◆本学会主催のNST専門療法士受験必須セミナー(旧 JSPEN臨床栄養セミナー、コ・メディカル教育セミナー(1回参加で10単位))
上記の学会・セミナーは、それぞれ1回以上参加することが必須条件です。
<単位数として認められる学会・研究会など>
◆学会が認める栄養に関する全国学会、地方会、研究会(2単位または5単位)
◆「バーチャル臨床栄養カレッジ」修了証(10単位)
3)40時間の実地修練の修了
実地修練の受け入れを実施している病院を探し、研修に参加します。研修を受け入れている期間は病院によって異なり、年に1回程度の病院や定期的に実施している病院など様々です。
また、受け入れている人数も病院によって1名~10名ほどと幅があり、それほど多くありません。希望している病院で研修に参加するには、受け入れのタイミングや選考に通ることが必要です。
【実施場所】
日本臨床栄養代謝学会より「NST稼働施設」および「学会認定教育施設」の認定を受けている病院
【日程・期間・実習時間】
日程:各病院により異なる
期間:5日間~10日間程度
実習時間:合計40時間
【費用】
10,000円~35,000円ほど
【申し込み方法】
各病院へ直接の申し込み
4)症例報告書の作成
受験申込の際には、自分が認定教育施設で携わった静脈経腸栄養管理中の患者に関する症例報告書を添付しなければなりません。【症例報告書の規定】
添付数:1通
文字数:1,600字以内
認定試験について
認定試験を受けるために必要な受験申請の提出書類や認定試験の詳細について見ていきましょう。〜提出書類について〜
栄養サポートチーム専門療法士の受験申請書の提出に必要なものを以下にまとめました。
<受験申請書と一緒に提出するもの>
・最終学歴から申請時までの履歴書
・国家資格の免許証(写)
・指定の学術集会、学会、セミナーなどの参加証、修了証
・指導医が自署捺印した認定教育施設実地修練修了証
・症例報告書(1通)
〜認定試験について〜
認定試験は、例年以下の日程にて試験が行われています。
【認定試験】
毎年1回のみの開催
【試験日程】
日時:例年11月上旬 13:00~15:00
場所:国立京都国際会館
申請期間:6月上旬~7月末
【受験料】
10,000円
~合格後の流れ~
合格発表は同年の12月中旬頃インターネットにて受験番号が発表されます。
合格者には、翌年1月下旬頃に認定の手続きに関しての通知が郵送にて届きます。
郵送された認定申請書によって認定・資格制度委員会が認定料の納入を確認したあと、認定証が交付されます。
【認定料】
20,000円
更新について
栄養サポートチーム専門療法士の資格は、取得して終わりではなく定期的な更新が必要です。資格を更新するには、下記の条件を満たしたうえで必要書類の提出が必須となります。【更新日】
認定証の交付日から5年毎
※認定証有効期間終了の1年前より資格更新業務をおこなうこと。
【更新手数料】
10,000円
【更新条件】
(1)認定されてから更新時期まで引き続いて本学会会員であり、かつ会費を完納している
(2)認定期間中に以下に示す必須20単位を含む合計30単位以上を取得していること。
(3)認定期間中に2年以上、医療または福祉施設において臨床栄養管理業務に従事していること。
(4)休会期間は認定期間に含めない。休会中に取得した単位や資格更新申請は認めない。
(5)休会により認定期間を延長するものは、認定証有効期間終了の1年前に認定期間延長申請をおこなう。
(6)認定期間延長申請は最長3年までとし、1年毎に延長申請の手続きをおこなう。
さいごに
栄養サポートチーム専門療法士を取得することは簡単ではありません。また、取得後もセミナーや研究会などに出席し勉強を続けることが必要となりますが、キャリアアップを目指しているリハビリ職にとって、取得しておくべき資格だといえます。
2024年には上部資格に位置づけられる「臨床栄養代謝専門療法士」の認定が開始されるため(申請開始は2023年)、よりキャリアを積みたいという方はこの上位資格まで目指すとよいでしょう。
認定試験だけでなく、学術集会やセミナー、実地修練は年に何回もおこなっていないため、まずは試験に向けてスケジュールを組み進めていきましょう。
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