理学療法士と作業療法士の違いとは?リハビリ職の知識を深めよう!

理学療法士と作業療法士の違いとは?基本的な資格の違いをはじめ、仕事内容の違いや給料の違い、またそれぞれの将来性や今後のキャリプランについて解説しています。

2020.07.29

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理学療法士と作業療法士の違いについて解説MV


医療・介護に関わる仕事に就きたいと考える方のなかには、理学療法士または作業療法士のいずれかを目指したいという方も多いのではないでしょうか。
どちらの職種も少子高齢化が進む日本にとって必要不可欠となるリハビリ専門職となりますが、実は意外とそれぞれの職種の違いが分からないという方も少なくありません。
そこで当コラムでは、理学療法士と作業療法士の違いについて徹底的に解説していきます!
これから理学療法士あるいは作業療法士を目指そうと考えている方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

まずは基本的なことから!資格の違いについて

PTとOTの資格の違いについて.jpg


理学療法士と作業療法士はいずれも国家資格で、リハビリに従事するうえで必要な知識や技術を習得することが求められる職種です。
どちらもリハビリの専門職として知られていますが、理学療法士と作業療法士が担当する領域には違いがあり、よく理学療法士は「足のリハビリ」、作業療法士は「手のリハビリ」などと区別されています。
ですが、具体的にはどのような違いがあるのでしょう。
まずは、基本的な資格の違いについて解説していきます。

理学療法士とは

理学療法士とは、ケガや病気などで身体に障害のある人や障害の発生が予測される人に対し、基本動作能力(座る、立つ、歩くなど)の回復や維持、および障害の悪化の予防を目的に、運動療法や物理療法、日常生活活動 (ADL)を用いてリハビリ治療を行う専門職です。
理学療法士が行う治療や支援内容では、リハビリの対象者となる個々に合わせて医学的・社会的視点から身体能力などを評価し、適切なリハビリプログラムを作成し実践することが中心となります。
年々加速する高齢化によって、寝たきりとなった人への健康維持や障害の悪化予防はもちろんのこと、身体機能の回復について筋肉について学んでいることからスポーツの分野においても活躍の場を広げています。
なお、理学療法士は英語で「Physical Therapist」といい、その頭文字をとってPTと呼ばれることもあります。

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作業療法士とは

作業療法士とは、生まれながらに障害をもった人や病気やケガにより日常生活の支援が必要な人に対し、応用動作能力と社会的適応能力を回復や改善を目的に、食事や着替え、入浴、洗顔といった日常生活をおくる上で必要な作業(動作)を通してリハビリを行う専門職です。
作業療法士が行う治療や支援内容では、手工芸、粘土細工及び楽器演奏などの動作を通して基本的動作能力の向上を図るほか、日常生活で必要となる動作を通して応用的動作能力の維持や改善、また地域活動や就労を目的にした社会的適応能力の改善などが挙げられます。
障害やケガ・病気を抱える人がその人らしい社会生活を送るうえで必要不可欠な作業療法士は、医療や福祉、介護といった業界だけでなく、教育機関や就労支援といった社会活動の場においても活躍しています。
なお、作業療法士は英語で「Occupational Therapist」といい、その頭文字をとってOTと呼ばれることもあります。

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仕事内容はどう違う?

リハビリ室の背景に仕事内容の違いはとの記載.jpg


理学療法士と作業療法士は、リハビリにおいて担当する領域が異ることから、仕事内容についても大きな違いがみられます。
どちらの職種もリハビリの対象となる人は子どもから高齢者までさまざまですが、それぞれが抱える障害やケガなどによってリハビリのアプローチ方法は変わってきます。
では、具体的にはどのような違いがあるのか、詳しく解説していきます。

理学療法士の仕事内容

理学療法士の主な仕事内容は、通院や入院している患者さんをはじめ介護施設を利用している人に対し、理学療法を通して基本的動作能力の維持や改善を図ることです。
リハビリの対象となる人は子どもから高齢者までさまざまで、事故によるケガや後遺症をもった方や、障害によりリハビリが必要な方など、幅広い症例に合わせてリハビリが行われています。
理学療法では運動療法物理療法の2つのパターンがあり、運動療法では関節可動域訓練やストレッチ、筋力増強運動などを通して関節や筋肉の回復を目指すのに対し、物理療法では温熱療法や電気療法といった温熱・寒冷・電気・光線・水などの物理エネルギーを利用して、痛みの鎮静効果や組織伸張性の向上、創傷治癒などを目的に治療が行われます。
これらの治療は、いずれも治療対象となる個々にあわせたリハビリ計画を元にして行われています。
治療による効果を最大限発揮するために、入院生活や日常生活で気をつけることを指導したり、個々でできるトレーニングを指導することも理学療法士の大事な仕事となります。

作業療法士の仕事内容

作業療法士の主な仕事内容は、心と身体の基本的な機能の改善が必要な人に対し、急性期から回復期、生活期へと段階を追いながら、日常生活に必要な動作を身につける訓練を行ったり、社会復帰を視野に入れた支援を行ったりすることです。
リハビリの対象者は子どもから高齢者までさまざまで、生まれながらに障害をもった方に対するリハビリや、脳の病気により後遺症が残った方へのリハビリなど、幅広い症例に合わせてリハビリが行われています。
リハビリの内容は身体的な分野精神的な分野の2つに分かれていて、それぞれの症状に合わせてリハビリ計画を作成し、それを元に実施していきます。
身体的な分野におけるリハビリでは、自助具を使用して食事の練習やトイレでの乗り移りの練習などを行ったり、関節を動かして筋肉の発達を促す訓練を行ったりして身体機能の向上を目指します
また、精神的な分野におけるリハビリでは、生活リズムの改善や作業を通してコミュニケーション能力や社会復帰への自信や意欲を身につけることを目指します
身体的なリハビリも精神的なリハビリも、どちらも根気よく続けることが大事ですが、それにはリハビリ対象者との積極的な関わりや寄り添いが大切です。
そのため、作業療法士にはリハビリの知識や技術だけでなく、患者一人一人に対する声掛けであったり心のケアを行うことも大事な仕事内容のひとつとなります。

理学療法士と作業療法士の勤務先について

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理学療法士と作業療法士の活躍の場は多岐にわたり、あらゆる分野で必要とされています。
そのため、勤務できる場所は年々拡大傾向にあり、さまざまな場所で働くことができます。
その勤務先の例として、以下のような場所があります。

理学療法士が勤務できる場所

理学療法士の多くは、医療関連施設や福祉・介護関連施設などで活躍していますが、勤務できる場所はそれだけにとどまらず、あらゆる施設で働くことができます。
ケガの早期回復や予防に努めることができるという特徴から、スポーツトレーナーとしてスポーツチームに所属しているケースなどもあります。

<理学療法士が勤務できる場所一覧>
理学療法士の勤務先一覧.jpg

作業療法士が勤務できる場所

作業療法士が勤務できる場所の代表として、医療関連施設や介護・福祉関連施設などが挙げられますが、教育・職業関連施設や保険関連施設といった場所においても、地域活動や就労支援を行う機会は増えています。

<作業療法士が勤務できる場所一覧>
作業療法士の勤務先一覧.jpg

理学療法士と作業療法士で給料はどれくらい違いがある?

理学療法士と作業療法士が担う役割や仕事内容には違いがありますが、給料においても違いがあるのか気になるところですよね。
結論から先にいいますと、理学療法士と作業療法士は基本的に給料はほぼ同じとされていることが大半のようです。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査(※)によると、2019年度の理学療法士と作業療法士の平均給料は同額で、約28.7万円(決まって支給される現金給与額)
また、平均賞与も同額で約64.6万円という調査結果が出ており、仕事内容は異なれどリハビリ専門職として一括りになっていることが分かります。
しかし、新卒から入職した場合と転職した場合においては少し話が変わってきます。
新卒から入職した場合、スタートからほぼ給料は同率で上がっていくことが多く、給料にそれほどの差は生じませんが、転職した場合はこれまで経験してきたことや持っている資格などに応じて個人ごとに給与加算があります。
そのため、経験ごとに加算される内容によって給料に差が生じることはあります。ですので、理学療法士と作業療法士で給料の差をつけるには、転職活動がカギを握っているといえるでしょう。

(※)出典:厚生労働省/賃金構造基本統計調査・統計表・グラフ表示


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それぞれの将来性は?キャリアプランについて

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理学療法士と作業療法士の今後

加速する高齢化社会に伴い、身体機能の衰えなどにより長期リハビリを要する患者は今後さらに増えることが予想されています。
そのため、健康を維持するため、また個々がその人らしく生きていくうえで、リハビリに特化した知識と技術をもつ理学療法士や作業療法士の存在は必要不可欠であり、ますますあらゆる分野において需要は高まっていくことでしょう。
医療・介護・福祉の3大領域においては多くの理学療法士や作業療法士の活躍がみられ、就業先の約8割を占めているともいわれていますが、近年はリハビリ専門職といっても活躍の場は多方面に広がりを見せています。
仕事の幅が広がっていることで働ける場所も拡大しており、理学療法士や作業療法士を目指す人は年々増加しています。
その結果、2020年3月時点における全国の理学療法士数は1万人を超える大台に突入しており、医療・介護・福祉領域において充足しつつある地域もみられるようになってきました。
しかしながら、都道府県別でみると理学療法士の分布にはばらつきがあり、人口に対してまだまだ充足とは言い難いようなエリアがあるのも現状です。
そのため、今後理学療法士や作業療法士を目指す方は、将来どのようなキャリアプランをもって働くかによって、将来性は大きく変わってくるといえます。

【都道府県別における理学療法士の分布(※)】
都道府県別における理学療法士の分布.png

※参照:公益社団法人 日本理学療法士協会・統計情報

理学療法士と作業療法士のキャリアプランについて

前述したとおり、理学療法士と作業療法士は人気の職業のひとつで、年々資格を取得して活躍している人は増加傾向にあります。
そのため、今後ますますリハビリ専門職の人気が続けば、当然ながら基本的なリハビリの知識や技術を身につけている人はごまんといるということになります。
そこで重要となってくるのが、将来どのような理学療法士あるいは作業療法士を目指していきたいかというキャリアプランです。
活躍できる場所が拡大しているからこそ、それぞれが「自身の強み」といえる分野や知識、資格などを有するためにキャリアプランをえがくことは、仕事に対するやりがいはもちろん、キャリアアップを考えるうえでも大事なことのひとつです。
最近では、理学療法士や作業療法士の資格だけでなく、特定の分野に活かせる民間資格とのダブルライセンスを持つ人や、キャリアを形成するうえで研修や学会へ積極的に参加している人も多く見受けらえるようになっています。
臨床経験だけでなく、自身が目指していきたい姿に近づくための学習や努力は、今後どんどん有資格者が増えていくと予想される現状において必要なこととなってくるのではないでしょうか。

まとめ

リハビリの専門職として人気が高まりつつある理学療法士と作業療法士の違いについてご紹介してきました。
どちらの職種もリハビリを必要とする人にとっては欠かせない存在であり、これからの医療・介護・福祉の現場をはじめ、多方面において活躍が期待されていることが分かりました。
理学療法士と作業療法士が担当する分野やアプローチ方法などは違いますが、それぞれにやりがいのある職業であるということには変わりありません。
これから、理学療法士または作業療法士を目指そうと考えている方は、今回こちらの記事でご紹介した違いをふまえたうえで、どのようなリハビリに従事していきたいかを検討してみてはいかがでしょうか。


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