リハビリ特化型デイサービスとは?実施内容や他のサービスとの違いについて解説
リハビリ特化型デイサービスとは?実施内容や他のサービスとの違いについて解説
更新日:2023年06月05日
公開日:2023年06月05日

通常のデイサービスとは異なる「リハビリ特化型デイサービス」は、どのようなサービスなのかよくわからない方もいるのではないでしょうか。リハビリ特化型デイサービスはその名前の通り、リハビリに特化したサービスです。通常のデイサービスと比べると、利用時間やサービス内容が大きく異なるのが特徴です。この記事では、リハビリ特化型デイサービスの概要や他サービスとの違いなどについてご紹介します。サービスの仕組みをおさえておくことで、退院後にリハビリの手段として利用できるでしょう。
目次
リハビリ特化型デイサービスとは?
リハビリ特化型デイサービスとはどのようなサービスなのでしょうか。ここではリハビリ特化型デイサービスの概要についてご紹介します。リハビリを中心としたデイサービス
利用者の身体機能の維持・改善を目的としたリハビリに特化したデイサービスを、リハビリ特化型デイサービスと呼びます。通常のデイサービスとの棲み分けのために「機能訓練型デイサービス」と呼ぶ場合もあります。リハビリ特化型デイサービスでは介護負担の軽減のための機能訓練、自宅で安全に過ごすための動作訓練などを中心に行うのが特徴です。また、通常のデイサービスよりもサービス時間や在籍スタッフの人数などが異なります。具体的なリハビリ内容
リハビリ特化型デイサービスで行われる内容は、おもに以下の通りです。● 筋力トレーニング
● 歩行訓練
● 関節可動域訓練
● 日常生活動作訓練
● 応用動作訓練
これらのリハビリによって、利用者の身体機能の改善や動作の獲得を目指します。その他にも、マシントレーニングをはじめとした器具を活用することもあるでしょう。
リハビリ特化型デイサービスの特徴
ここではリハビリ特化型デイサービスの特徴について詳しくご紹介します。リハビリ専門のスタッフが多く在籍している
リハビリ特化型デイサービスでは「機能訓練指導員」と呼ばれる以下のスタッフが在籍しています。● 看護師(准看護師)
● 理学療法士
● 作業療法士
● 言語聴覚士
● 柔道整復師
● あん摩マッサージ指圧師
上記のスタッフが、利用者の悩みにあわせて機能訓練を提供してくれます。とくに「理学療法士・作業療法士・言語聴覚士」はリハビリ専門職なので、質の高い内容の実施が期待できるでしょう。
理学療法士とは立つ、歩くなどの基本的な動きの改善を中心に行うリハビリ職です。作業療法士は基本的な動きに加えて、趣味や家事などの応用的な動作をスムーズに行うためのサポートをします。言語聴覚士は、飲み込みの機能が低下してむせやすい方や、病気の後遺症で脳に障害を負った方のリハビリを提供します。
通常のデイサービスよりも時間が短い
リハビリ特化型デイサービスは、通常のデイサービスよりも利用時間が短いのも特徴の1つです。リハビリを中心に行うサービスなので、1回の利用時間は3〜4時間程度です。 入浴や食事の提供がない施設も多く、イメージとしては「フィットネスクラブやジムに寄せたデイサービス」のような形態といえるでしょう。1回あたりの利用時間が短時間なので、午前と午後の2部で実施している施設もあります。送迎やバイタルチェックなどは通常通り行われ、利用者は午前・午後のどちらかの時間を利用することになります。
介護度の低い利用者が多い傾向にある
リハビリ特化なのもあり、通常のデイサービスと違って介護度が低い利用者が多い傾向にあります。リハビリ特化型デイサービスを利用する方は、以下のような目的を持っています。● 介護を受けずに自分で生活をしたい
● 運動を行う機会を作りたい
● 病院を退院した後も専門的なリハビリを受けたい
ある程度生活が自立しているのに加えて、リハビリに前向きな方が多いので、施設内の活気もいいといえるでしょう。リハビリにポジティブな方が多ければ運動のモチベーションも高まりやすく、楽しみながらサービスを受けられます。
リハビリ特化型デイサービスと他のサービスとの違い
リハビリ特化型デイサービスと他のサービスには、どのような違いがあるのでしょうか。ここでは「通常のデイサービス」と「通所リハビリ(デイケア)」について解説します。通常のデイサービスとの違い
デイサービスは「通所介護」ともいい、利用者が自宅で安全に過ごせるような支援をすることがおもな目的です。さらに自宅にこもりがちな方の孤独感を解消したり、家族の介護負担の軽減につなげたりする効果もあります。リハビリ特化型デイサービスとは異なり、入浴や食事などのサービスが行われており、1日の利用ができる施設がほとんどです。一方で、リハビリ特化型デイサービスよりもリハビリ専門職の割合が少ない傾向にあります。そのため、積極的なリハビリをする機会は少なく、運動は体操やレクリエーションなどが中心です。
通所リハビリ(デイケア)との違い
デイケアとは「通所リハビリ」ともいい、自宅で安全に過ごすために身体的な機能の改善をサポートするのがおもな目的です。理学療法士や作業療法士などの専門職が在籍しているので、デイサービスよりも質の高いリハビリの提供が期待できます。リハビリ以外にも、食事や入浴のサービスも利用可能です。医師が常駐しているのも大きな特徴で、何かあった際に医療的な処置をしてくれます。積極的にリハビリを行いつつ、入浴や食事のサポートもしてほしい方におすすめのサービスといえるでしょう。
リハビリ特化型デイサービスの1日の流れ
実際にリハビリ特化型デイサービスの1日の流れの具体例をみていきましょう。【1日の流れ(半日の場合)】
8:30 | 自宅まで送迎車で送迎 |
9:00 | 利用者が施設に到着 |
9:10 | 体温や血圧などのバイタルを測定 |
9:15 | 準備運動をした後にリハビリを開始 |
〜 | スタッフによる個別のリハビリやマシントレーニング、集団体操などを実施 適宜休憩をしながらリハビリを行う |
11:45 | リハビリが終了 |
12:00 | 再びバイタルを測定 |
12:10 | 送迎 |
リハビリ特化型デイサービスを利用するメリット
リハビリ特化型デイサービスの利用には、以下のようなメリットがあります。1. リハビリを効率的に行える
2. 施設の活気がいい
ここではそれぞれのメリットについて具体的に解説します。
1.リハビリを効率的に行える環境が整っている
1つ目のメリットとして、リハビリを効率的に行える点です。理学療法士や作業療法士などの専門職が在籍しているので、質の高いリハビリと評価を提供してくれます。一人ひとりの身体機能にあわせたリハビリを行うだけでなく、定期的な評価による効果判定まで実施。リハビリを受けるたびにどのくらい身体機能が改善したのかが明確になるため、モチベーションの維持・向上につながるでしょう。さらにリハビリ特化型デイサービスを行う施設では、マシンをはじめとした運動に必要な設備が整っています。このように、リハビリ特化型デイサービスでは自宅で行うよりも効率的なリハビリが期待できます。
2.リハビリ目的の方が多いから施設の活気がいい
2つ目のメリットは、施設の活気がいい傾向にある点です。リハビリ特化型デイサービスの利用者は、リハビリのモチベーションが高い方が多いといえるでしょう。そのため、施設内の活気が出やすく明るい雰囲気でリハビリを行えます。施設内の活気がいいと新しく利用する方にとっても好印象であり、モチベーションアップにつながります。他の利用者との交流も生まれやすく、コミュニケーションの機会が増える点も大きな利点です。リハビリ特化型デイサービスを利用する際の注意点
リハビリ特化型デイサービスはメリットがある一方で、以下のような注意点もあります。1. 入浴や食事のサービスが利用できない
2. 短時間の滞在になる
ここではそれぞれの注意点について詳しくご紹介します。
1.入浴や食事のサービスが利用できない
1つ目の注意点としては、リハビリ特化型デイサービスには基本的に入浴や食事のサービスがありません。食事・入浴を利用したい方は、別のサービスを併用して利用する必要がありますが、その分金銭的な負担がかかりやすくなります。他サービスを利用しない場合は家族が介護する必要があり、負担が高まります。入浴や食事のサービスを利用したい場合は、別の方法を検討する必要があるでしょう。2.短時間の滞在なので利用条件が限定される
2つ目の注意点は、リハビリ特化型デイサービスの利用時間が短い点です。1日あたり3〜4時間の滞在がほとんどなので、家族にとっては介護負担の軽減につながりにくいこともあるでしょう。日中に介助が必要な方であれば、他のサービスを利用したり、家族の仕事形態を見直したりしなければいけません。そのため、家族の仕事の都合によってはサービスの利用が難しいケースもあります。介護度が高い方はリハビリ特化型デイサービスの適応になりにくいため、利用できないことも。その場合は、通常のデイサービスをはじめとした別の方法も考えてみましょう。
リハビリ特化型デイサービスの料金
ここではリハビリ特化型デイサービスの目安となる料金について、以下の表にまとめました。介護度 | 1回あたりの料金(負担額1割) |
要介護1 | 480円 |
要介護2 | 536円 |
要介護3 | 595円 |
要介護4 | 651円 |
要介護5 | 710円 |
リハビリ特化型デイサービスの利用条件と手順
ここではリハビリ特化型デイサービスを利用する際の条件と手順について解説します。まずサービスを利用するためには「要支援・要介護」の介護保険の認定が必要です。介護保険の申請をしていない方は、お住まいの地域のホームページや福祉事業所へ問い合わせてみましょう。申請から介護保険の認定には数か月かかることもあるので、余裕を持った準備が大切です。介護保険の認定を受けたら、以下の流れでサービスを利用します。
1. ケアマネに相談
2. 気になるデイサービスの施設を見学
3. 利用する本人の感触を確認
4. 利用したい施設が決まったらケアマネに連絡
5. 利用頻度を相談してケアプランを作成
6. 契約完了後、サービスの利用を開始
リハビリ特化型デイサービスを利用する際は本人の意思を優先しつつ、何かわからない点があればケアマネジャーに相談しましょう。
リハビリ特化型デイサービスの選び方
リハビリ特化型デイサービスといっても、環境は施設によってさまざまです。ここではリハビリ特化型デイサービスを選ぶときのポイントについてご紹介します。施設や雰囲気やスタッフの対応をチェックする
施設の雰囲気やスタッフの対応は、サービスを利用するにあたって重要なポイントといえるでしょう。雰囲気が明るくスタッフの対応が丁寧であれば利用者のモチベーションが高まり、機能の改善にもつながります。一方で、雰囲気や対応が悪いとリハビリのやる気が低下して、施設に行くのをやめてしまうことも。本人の意思だけでなく、施設の環境によってもモチベーションが大きく変わるので、見学に行ったときはよくチェックしておきましょう。
リハビリ環境をチェックする
リハビリ環境が整っているかをよくチェックしておくことも大切です。リハビリ特化型デイサービスといっても、施設によって環境は大きく異なります。トレーニングマシンをはじめとした設備が充実している施設であれば、リハビリの効果も高まるでしょう。また、在籍している専門職が多ければリハビリを見てくれる機会も多くなります。設備が整っているか、リハビリ専門職の数が十分かをよく確認しておきましょう。
利用者の介護度の割合をチェックする
施設の利用者の介護度の割合をチェックすることもポイントの1つです。介護度の割合をチェックすることで、その施設が利用に適しているかどうかの判断基準となります。また、他の利用者と介護度が大きく異なると、うまく施設に馴染めずにリハビリのモチベーションが下がってしまう恐れもあるでしょう。介護度の割合をチェックして、今回利用する方の身体状況や目的とマッチしているかを確認することをおすすめします。リハビリ特化型デイサービスの特徴をおさえたうえで利用しよう(まとめ)
リハビリ特化型デイサービスは通常のデイサービスよりも質の高いリハビリを提供してくれます。リハビリに対して前向きで、積極的に運動をしたい方にとっておすすめのサービスといえるでしょう。一方で、滞在時間が短かったり入浴・食事のサービスがなかったりする点もあるため、家族の状況もよく考えたうえで利用する必要があります。今回の記事を参考に、ぜひ退院後に行うリハビリの選択肢として検討してみましょう。関連ジャンル
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