
平成28年度診療報酬改定が始まって数ヶ月。
開始時は慌ただしくなっていましたが、現在は落ち着いて来たのではないでしょうか。
今回はPOS特に理学療法士や作業療法士にとって改正で変更のあったリハビリの中身についてまとめました。
以前は可能であったことが改定で不可能になったり、点数が増えた事柄などPOSに関わっている方は見直してみてくださいね。
初期加算、早期加算の算定要件等の見直しについて
今までは一部のリハビリで初期加算や早期加算を算定できる期間が曖昧な部分がありました。今回の見直しで、その部分が是正されています。
・初期加算、早期加算の対象
改正前:疾患名による区別は無い。
改正後:慢性疾患については、手術や急性憎悪を伴う場合のみ加算対象。
・初期加算、早期加算を算定できる期間
改正前:心大血管疾患リハビリテーション料、呼吸器リハビリテーション料の場合、 発症等から時間が経過しても治療開始日から起算することも可能とする。
改正後:心大血管疾患リハビリテーション料、呼吸器リハビリテーション料の場合、発症等から7日目又は治療開始日のいずれか早いものから起算すること。
*心大血管疾患リハビリテーション料:急性心筋梗塞、安定狭心症、慢性心不全、心臓手術後、末梢動脈疾患などの患者さんに対するリハビリテーション。
スペース要件、医師要件、人員要件、機器要件などの要件を満たしている時に申請可能。
*呼吸器リハビリテーション料:急性発症の肺炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺炎、閉塞性細気管支炎、慢性呼吸不全、肺癌摘出術後、睡眠時無呼吸症候群、肺結核後遺症、気管支喘息、肺線維症などの患者さんに対するリハビリテーション。
上記と同様にスペース要件、医師要件、人員要件、機器要件などの要件を満たしている時に申請が出来る。
・ADL維持向上等体制加算について
ADL維持向上等体制加算の評価が見直され、質の良いリハビリを行っている施設は今までよりも評価が高くなるようになります。
改正前:ADL維持向上等体制加算(25点)
施設基準:常勤の理学療法士などが専従で1名以上在籍していること
改正後:ADL維持向上等体制加算(80点)
活動条件:予め登録した従事者が、病棟で6時間以上勤務した日に限り算定する。
施設条件:常勤理学療法士等が専従2名以上又は専従1名+専任1名以上で勤務していること
*ADL=日常生活動作。一般的な日常生活が出来るようにするリハビリでは、条件が厳しくなりましたが、点数も大幅に増えており質が良い医療施設は評価で返ってくるようになりました。
回復期リハビリテーション病棟におけるアウトカムの評価見直し
回復期リハビリテーション病棟において、アウトカムの評価を行い、一定の水準に達しない医療機関については、疾患別リハビリテーション料の評価を見直すことになりました。
これは残念ながら一部の医療施設で、真っ当なリハビリを行わず診療報酬だけを得ていたものに対しての処置と言われています。
改正前:患者1人1日当たり、疾患別リハビリは9単位まで出来高算定
改正後:リハビリの効果に係る実績が一定の水準に達しない場合、疾患別リハビリは6単位まで出来高算定。6単位を超えるリハビリは入院料に包括する。
この改正では、出来高算定が大きく変更されることから経過処置が作られています。
経過処置:平成28年4月1日以降の入院患者を実績評価の対象とし、平成29年1月1日から実施する。
医療施設はこの9ヶ月の間に改正に合うようにアウトカムで評価を得られる様にする必要があります。
*アウトカムとは:アウトカムは結果、成果、目標を意味します。医療の世界では、患者が各プロセスで達成すべき目標の意味で使われています。
リハビリでならリハビリの達成率で多く使われますし、臨床でなら回復率や死亡率で使われてもいます。
今回は診療報酬改定の中でもリハビリの早期に関わる部分(初期加算、ADL維持向上の見直し)と、質の高いリハビリ(リハビリテーション病棟でのアウトカム評価)、状況に合わせたリハビリ(心大血管リハビリの見直し)の部分でまとめました。
アウトカム評価の部分では厳しいとの声もありますが、キチンとやっている理学療法士さん達にとっては評価が高くなる要素でもあります。
特に回復期は、急性期とは違い自然治癒力に頼れないリハビリが必要になります。
この部分でキチンとリハビリが出来るのかどうかでプロの理学療法士なのかどうかが分かるとも言われていますのでココが腕の見せ所でしょう。
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