言語聴覚士を辞めたい!その理由は?辞めた人と続けた人の違いとは?
言語聴覚士の仕事を辞めたいと思う理由と、言語聴覚士を辞めた人と続けた人の違いについてご紹介しています。また、言語聴覚士の仕事を辞めたいと考えたその後の行動についてもご紹介しています。
更新日:2023年04月06日
公開日:2021年10月28日

「話す」「聞く」というコミュニケーションと「食べる」ことへのリハビリを行う言語聴覚士の資格を取得する人は、毎年1,500名程度。
2021年現在、言語聴覚士として活躍する人は36,255名(※)にものぼります。
言語聴覚士が活動できる領域は医療機関をはじめ、福祉機関や保健機関、教育機関など幅広く、言語障害、音声障害、嚥下障害に対するリハビリの需要増により言語聴覚士の役割は以前にも増して高まっています。
ですが、言語聴覚士として働いている方のなかには「仕事を辞めたい」と考える方も少なくなく、
「職場の人間関係がうまくいかない」
「仕事にやりがいを見出せない」
「残業が多く休日も少なくてつらい」
といったさまざまな悩みを抱え、実際に辞めてしまう方もいます。
ですが、一時的な感情に流され言語聴覚士の仕事を辞めてしまうことが、必ずしもよい結果を生み出すわけではありません。
現在、言語聴覚士を辞めたいと考えている方は、まずは代表的な言語聴覚士を辞めたいと考える理由と、辞めたいと考えたときに辞めた場合と仕事を続けた場合のメリットとデメリットを理解し、その後の行動をじっくり見極めることが大切です。
(※)出典:一般社団法人日本言語聴覚士協会
目次
言語聴覚士はやめたほうがいい?知りたい仕事の本音!
言語聴覚士の仕事に限らず、就職をして働き始めると一度や二度は「辞めたい」という感情を持つ人はたくさんいます。現に、言語聴覚士として働いている方のなかにも辞めたいと考える人は少なくなく、実際に辞めた経験のある方から「言語聴覚士の仕事はやめとけ」と言われることもあるそうです。
その理由には、言語聴覚士ならではといえる仕事の特徴が大きく関係しています。
言語聴覚士の仕事は、障がいを抱える患者さんと向き合い個々が抱える悩みに寄り添い問題改善を目指すことが中心で、リハビリを行っていくうえでは患者さんとのコミュニケーションをはじめ相手の立場に立って考えることや根気強く向き合う姿勢が求められます。
そのため、対人と接することで知らない間にストレスを抱えることが多く、「言語聴覚士の仕事を選ばなければよかった」などといったマイナスな感情をもつことも珍しくありません。
ですから、現在言語聴覚士を辞めたいと考えている方も、自分はほかの言語聴覚士と違うとひどく落ち込む必要はないのです。
「言語聴覚士を辞めたい」と思う理由ベスト5
言語聴覚士を辞めたいと考えてしまう背景には、必ずなにかしらの理由があります。仕事を辞めたいと思う理由は人それぞれですが、言語聴覚士にありがちな辞めたい理由として多いものをランキング形式でまとめました。
さっそくみていきましょう。
辞めたい理由1:職場の人間関係
最も多くの方が言語聴覚士を辞めたいと思う理由が、「職場の人間関係」です。職場の人間関係による悩みは人それぞれですが、
・相談ができる言語聴覚士がおらず他の職種とうまく関われない
・言語聴覚士の専門性を理解してもらえず他の職種から見下されている
・リハビリ職内や特定の職員から仲間外れや無視などの嫌がらせ行為がある
・職場の同僚や先輩などと性格の不一致により意見が衝突する
などといった悩みを抱える人は多くいます。
言語聴覚士は医師や看護師、介護士や理学療法士、作業療法士などと連携をとりながら仕事をする必要があるため、職場の人間関係に問題があれば精神的なストレスは大きくなります。
また、言語聴覚士として働く方は増加しているものの、まだまだ勤務先での配置人数自体は少ない傾向にあるため、専門性を他の職種に理解してもらえず「提案や発言が通りにくい」「理不尽な扱いや見下した態度をされる」といった環境にさられる方も少なくありません。
辞めたい理由2:給料が低い
言語聴覚士の平均給与は約25万円前後といわれており、平均年収でみると350~400万円程度。国民全体の平均年収(約436万円※)とほぼ同等の給与が支払われており、安定した職業と感じる方も多いはずです。
しかし、養成校の乱立により言語聴覚士人口が増えていることで、就職先によっては平均給与を下回るところも多く、「仕事量に対して割に合わない」と不満を抱える方は少なくありません。
これは言語聴覚士だけでなくほかのリハビリ職にもいえることですが、安定した職業というイメージで入職した場合特にそのギャップは大きくなりがちで、「忙しいわりに給与が低く生活にゆとりがない」「同じ医療職なのに看護師の給与と比べて少なすぎる」といった悩みから「辞めたい」と考える人も多いようです。
(※)出典:国税庁/ 民間給与実態統計調査
辞めたい理由3:労働環境
労働環境の良し悪しは実際に就職してみないと分からないことが多くありますが、就職した先が過酷な労働環境であった場合、やはり辞めたいと考えてしまう言語聴覚士は多くいます。そのなかでも、
・残業が多く一日の拘束時間が長い
・土日も含めたシフト制で予定が立てられない
・休日が少ない
・有給休暇や長期休暇が取りづらい
など、残業の多さや休日の少なさや取得のしづらさを理由に挙げる方が多い傾向にあります。
「プライベートが充実してこそ仕事も頑張れる」と考える方にとっては、ワークライフバランスが充実していない環境はつらいものがありますよね。
辞めたい理由4:やりがいを感じられない
高齢化などによりリハビリのニーズが高まっているなか、言語聴覚士が担う役割に魅力を感じて資格を取得したという方も多いはずですが、実際に働きはじめていくなかで「仕事にやりがいを感じられない」と思ってしまう人も一定数いるのが現状です。リハビリ職のなかでも比較的新しい資格である言語聴覚士は、まだまだその専門性や業務内容に理解がない職場も多くあります。
そのため、しっかり勉強をして知識やスキルを身につけたものの専門性を活かして働くことが困難な環境であった場合、言語聴覚士としてのやりがいを見出せにくくなってしまうケースがあるようです。
また、言語聴覚士の仕事に理解がある職場でも患者さんとのやり取りや訓練、治療を行っていくなかで、言語聴覚士の仕事自体にやりがいを感じられないという人も少なからずいます。
やりがいを感じられない理由には、
・患者さんとのコミュニケーションが苦手
・思いやりをもって仕事に取り組めない
・訓練の成果がすぐに出ないことがつらい
・自己研鑽のための勉強が苦手
などが挙げられ、言語聴覚士の仕事を続ける意義が見いだせなくなってしまうことで辞めたいという考えに至ってしまうようです。
辞めたい理由5:ほかに仕事に興味がある
言語聴覚士として働きはじめたものの、言語聴覚士の仕事以上に興味のある仕事ができてしまった場合もやはり「辞めたい」と考えてしまう方は多いです。興味をもつ仕事や職業は人それぞれで、言語聴覚士の仕事を通して得た知識やスキルを活かせる別の職種もあれば、言語聴覚士とは全く別の業種という場合もありますが、いずれも「このまま続けるか、それとも新しい道に進むべきか」という葛藤で悩むことは間違いありません。
働きながら隙間時間でできる仕事であればそのまま続けるという選択も可能かもしれませんが、多くは転職を伴うものが大半なため、「どうしてもやりたい仕事」が捨てきれない場合はやはり辞めたいという気持ちが勝ってしまうようです。
言語聴覚士を「辞めた人」「続けた人」の違いは?
言語聴覚士の仕事を辞めたいと考え、実際に辞める決断をした人と続けることを選んだ人がいます。そこにはどのような違いと理由があるのでしょうか?
言語聴覚士を辞める人と続ける人の傾向をまとめたので、どちらに多く当てはまっているかチェックをしてみてください。
◆辞める決断をした人の理由
□ 休日に勉強したくない
□ 仕事でやりがいを感じられない
□ 言語聴覚士という仕事への熱量が少ない(なんとなく言語聴覚士になった)
□ 言語聴覚士の仕事が楽しくない
□ 他にやりたい仕事がある
◆続けることを選んだ人の理由
□ 言語聴覚士の仕事は嫌いじゃない
□ やりがいを感じることが少なからずある
□ 勉強し続けることを嫌だとは思わない
□ 他にやりたい仕事が思いつかない
□ 言語聴覚士という仕事への熱量は多い方(なりたくて言語聴覚士になった)
いかがでしたか? 皆さんはどちら側のチェックボックスに多く当てはまったでしょうか。
言語聴覚士を辞める決断をした人と続けることを選んだ人の違い、それは言語聴覚士という仕事への熱量の大きさです。
言語聴覚士は、資格を取得し働きはじめてからも日々勉強することが必要となる職業です。
ですから、仕事に対する熱量が大きくなければ、休日にも勉強をするという生活は大きなストレスになります。
一方で、言語聴覚士の仕事への熱量が大きい方は、たとえ日々の勉強や仕事が大変だと感じていても、言語聴覚士としてやりがいを感じながら働いています。
そのため、職場に不満はあっても言語聴覚士自体を辞めるという選択はせず、仕事を続けることを選ぶ傾向にあります。
言語聴覚士を辞めた後、仕事はどうする?
「言語聴覚士の仕事を辞めたい」と思っていても、「辞めた後の仕事は?」「辞めた後の生活は?」といった不安がついてまわり、なかなかすぐに行動にうつせないという方は多いはずでしょう。以下では、言語聴覚士の仕事を辞めた後どのような選択肢があるのかをご紹介しています。
次の仕事をどうしようと悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
転職し言語聴覚士として働く
辞めたいと考える言語聴覚士の大半は、別の職場で再び言語聴覚士として働くことを選んでいます。言語聴覚士が活躍できる領域は幅広く、医療機関だけでなく介護、保健、福祉、教育とさまざまです。
どの領域においても言語聴覚士の仕事の本質は変わりませんが、働く職場によってどのような役割に重きを置くのかは多少変わってきますから、希望する働き方にマッチした職場を選ぶことでやりがいを再び見出すことができます。
また、言語聴覚士によくある辞めたい理由にあった「人間関係」や「労働環境」、「給料などの待遇面」も別の職場を選ぶことで改善させることが可能となります。
「言語聴覚士の仕事自体は好き」という方であれば、働く場所を変えてみることが最も有効な手段といえるでしょう。
別の職の道に進む
言語聴覚士の仕事自体を辞めて、まったく異なる業種あるいは近しい職種を選び新たな道に進むという選択肢もひとつです。リハビリの知識やスキルをすべて失うのはもったいないと考えるなら、これまでの経験を活かせる職種の道へ進むのもよいでしょう。
言語聴覚士から別の職種へと転職した例では、同じリハビリ職である理学療法士や作業療法士、介護職や心理カウンセラーなどが挙げられます。
上記で挙げた職種は、どれも言語聴覚士の活躍フィールドと同じところで働くことができる職種であるため、言語聴覚士として得たものを活かすことができる場面も少なからずあるはずです。
一方、「言語聴覚士の仕事自体にやりがいを感じないため一度業界から離れたい」と考えるなら、思いきって別の職種を選びいちからチャレンジしてみるのもよいでしょう。
人と接する仕事は続けていきたいという考えなら接客業や受付などの仕事もおすすめですし、淡々とした作業を行いたいと考えるなら事務職やライン工場の作業員などとして働くこともおすすめです。
もともとほかの仕事に興味があったという方であれば、気になっていた職業に挑戦するチャンスです。
新たな道へ進むことでこれまでは感じられなかった仕事の楽しさややりがいを見つけることができるなら、それもひとつの前向きな選択肢となることでしょう。
言語聴覚士として続ける決意をした方へ!
言語聴覚士として長く働き続けるためには、職場環境がカギです。現在、働いている職場に不満があり、今後も改善が見込めないのであれば思いきって転職し、職場環境を変えることをおすすめします。
なぜなら、在籍スタッフの声が届かず改善の見込みもない状況の中で、何年も働き続けることは精神的に良いとは言えないからです。
また、モチベーションが低くなる環境で仕事をしていても、言語聴覚士として成長は望めないでしょう。
ですので、自分自身がモチベーションを向上させることができ、言語聴覚士として成長に繋がる職場を選ぶことが大切です。 では、どのような職場を選んだらいいのでしょうか。
ここでは、今抱えている悩み別に職場選びのポイントをご紹介していきます。
<悩み>職場内で言語聴覚士の仕事を理解してもらえない・・・
<ポイント> 介護老人保健施設で働く言語聴覚士に多い悩みの一つ。 言語聴覚士の仕事を理解してもらうには、言語訓練室を備えてリハビリに力を入れている施設への転職が良いでしょう。
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※求人内に表記がない場合でも、実際には言語訓練室を完備している施設もあります。
お住いの地域で言語訓練室完備の施設求人をお探しの方はPTOTSTワーカーまでお気軽にご相談ください。
<悩み>言語聴覚士としてもっと学びたいけれど今の教育環境が不安・・・
<ポイント> 将来的にスキルアップを目指したい方には、スキルアップに繋がる支援体制が整っている大きい病院や施設への転職がよいでしょう。大きい病院や施設なら、様々な症例にも携わることができ言語聴覚士として多くの経験を積むことができます。
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<悩み>仕事量は多いのに給料が上がらない・・・
<ポイント> 給料を上げたいなら、昇給制度が整っている病院や施設への転職がおすすめです。きちんと頑張りを評価してくれる職場は、言語聴覚士としてもやりがいをもてるでしょう。
★昇給制度のある求人はこちら
しかしながら、求人募集の内容だけでは給料などの条件はクリアしていても、どんな病院や施設なのかあまり分からないですよね。
そこで、重要になってくるのが面接です。
面接へ行った際に職場やスタッフの雰囲気などをチェックすることで、どのような病院や施設なのかがある程度分かるでしょう。
ですが、できれば面接に行く前に雰囲気などを知りたいと思いますよね。
そのような方におすすめなのが、転職支援を専門とする人材紹介会社を利用するという方法です。
なかでも、PTOTSTワーカーなら担当アドバイザーに病院や施設の雰囲気などを事前に聞くことができ、安心して面接を受けることができます。
入職後に思っていた雰囲気と違ったと後悔しないためにも、職場の雰囲気は必ずチェックしておくことが大切です。
◆人材紹介会社を利用して、職場見学を依頼する◆
「やっぱり言語聴覚士を辞めたい」と思うなら
言語聴覚士の仕事は好きでなければ続けるのが難しい仕事です。 いま、言語聴覚士を辞めるべきか続けるべきかと悩んでいる方は、言語聴覚士という仕事への熱量がどのぐらいあるかを改めて考えてみましょう。また、「なぜ仕事を辞めたいのか」という理由について書き出してみるのもよいかもしれません。
辞めたいと思う理由のなかには、自身の行動の見直しや周りへの働きかけや相談によって状況を変えたり、悩みそのものを改善できたりするケースも少なからずあります。
ほんの小さな勇気や行動によって、辞めたいと思っていた気持ちが前向きになれば自身にとってもプラスになるはずです。
ですが、言語聴覚士という仕事への熱量が少なく今すぐにでも辞めたいと考える方は、いま一度辞めた後の進路についてよく考えてみてください。
勢いや感情に流されず、辞めた後はどのような職場で働けば自身が前向きにやりがいをもって働けるのかをポイントに、次に働きたい職場へ求める条件を洗い出したうえで行動することが大切です。
もしも自己分析や転職活動が思うように進まないと心配なようなら、自身で就職先を探すことが難しいという場合は、言語聴覚士の転職エージェントに相談するのもひとつの手です。
言語聴覚士の転職エージェントであるPTOTSTワーカーでは、長年の信頼と実績から数多くの言語聴覚士の求人を取り扱っています。
経験が浅い方におすすめな長期的なキャリア形成を見据えた求人から、ある程度経験を積まれた方向けのキャリア求人までさまざまな転職先をご紹介いたしますので、転職に不安な方は完全無料の転職支援利用をおすすめします。
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まとめ
皆さんは、言語聴覚士を『辞める』か『続ける』どちらかに思いが傾きましたか?言語聴覚士の仕事は専門性が高い仕事であるため、好きでなければ長く続けることが難しい職種といえます。
しかし、辞めたいと思う原因の多くは改善できる場合がほとんどで、仕事自体が嫌になったという人は少数派です。
せっかく国家資格である言語聴覚士になるために積み上げてきた努力と時間を無駄にしないためにも、なぜ辞めたいと思うのかという理由について考え、いま自身が置かれている環境や悩みを改善するためにはどのような行動をするべきか、一度じっくり考えてみるべきです。
それでもどうするか迷うという方は、現在の職場を離れて転職により職場環境を変えてみてはいかがでしょうか。
自分に合う職場が見つかれば、言語聴覚士の仕事にやりがいや楽しさをまた感じることができるかもしれません。
ですが、どうしても言語聴覚士の仕事への熱量が少なく、ほかにやりたい仕事などがある場合は、思いきって言語聴覚士の仕事から離れてみてもよいかもしれません。
一度言語聴覚士の仕事から離れてみて、やっぱりリハビリに携わる仕事が好きだと再認識するのであれば、また言語聴覚士として働ける新しい職場を探せばよいのです。
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