作業療法士の仕事内容は?活躍できる職場や理学療法士との違いも解説
作業療法士の仕事内容は?活躍できる職場や理学療法士との違いも解説
更新日:2024年05月29日
公開日:2024年05月29日
作業療法士に興味があり、どのような仕事内容なのかを詳しく知りたい方もいるのではないでしょうか。作業療法士は、病気やケガで身体機能が低下した方に対してリハビリを提供する職業です。おもに「作業」を通じて、その方に必要な動作の獲得を目指します。
この記事では、作業療法士の仕事内容や活躍できる職場についてご紹介します。どのような仕事内容なのかを知ることで、より作業療法士に対する興味が出てくるでしょう。
目次
作業療法士の仕事内容は?
作業療法士は国家資格で、リハビリ専門職の1つです。ここでは、作業療法士の仕事内容について詳しく解説します。作業療法士は「作業」を中心とした支援をする職業
作業療法士は、「作業」を中心としたリハビリ支援をする職業です。作業とは、日常生活で誰もが行っている以下のような活動のことを指します。
● 家事
● 仕事
● 余暇活動
● 着替え
● トイレ
● 地域活動
病気やケガを発症すると、身体機能が低下してこのような作業が満足に行えなくなります。作業療法士はリハビリの提供によって、うまく行えなくなった作業の獲得を目指すのがおもな仕事です。さらに作業を通じて、すべての方が社会とのつながりを作れるように支援します。
作業療法士の仕事内容と対象
作業療法士の具体的な仕事内容として、おもに以下の3つの維持・改善です。● 基本動作能力
● 応用的動作能力
● 社会的適応能力
基本動作能力とは、運動や感覚などの身体機能を指します。応用的動作能力とは、基本的動作能力をもとにして、食事やトイレなどの日常動作を行うための能力です。社会的適応能力とは、地域活動への参加や就学・就労などの「社会参加」のための能力です。このように、作業を通じてそれぞれの能力の獲得を目指します。
作業療法士は病気やケガを発症した方だけでなく、生まれつき障害がある方など、そのリハビリの対象は広範囲にわたります。年齢にも指定はなく、小児から高齢者まで幅広くリハビリを提供するのも特徴です。
出典:日本作業療法士協会|作業療法士ってどんな仕事?
リハビリ以外の作業療法士の仕事
作業療法士の仕事はリハビリだけではありません。その他にも、以下のような仕事もあります。
● カルテの記載
● カンファレンス書類の作成
● 科内の勉強会の参加・実施
● 定期書類の作成
作業療法士はカルテや書類などの記載・作成業務も多いといえるでしょう。患者さん・利用者さんへのリハビリ後は、カルテに記載して情報を記録する必要があります。定期的な書類業務も多いため、パソコンに向かって長時間仕事をすることも珍しくありません。作業療法士を目指す際は、リハビリ以外の業務についてもよく把握しておくことが大切です。
患者さんの発症時期による作業療法士の仕事内容
作業療法士は、患者さんが病気やケガを発症した時期によってリハビリ内容が変化します。おもな発症時期は、以下の3つです。
● 急性期
● 回復期
● 生活期
ここでは、それぞれの時期で行うリハビリ内容について詳しく解説します。
急性期の作業療法
急性期とは、病気やケガを発症した直後の時期です。発症直後は状態が安定していないため、そのときの症状にあわせたリハビリを提供して、身体機能の低下を予防します。この時期では、すべての患者さんに積極的なリハビリを行うわけではありません。患者さんの調子をよくみながら、以下のようなリハビリをします。
● 自分で食事するためのリハビリ
● 自分で移動するためのリハビリ
● 自分でトイレや乗り移りをするためのリハビリ
なかには「病気やケガを発症した直後は安静にする」というイメージがある方もいるでしょう。しかし、実際は身体機能の改善を目指すためには、早期からのリハビリが重要とされています。
出典:「急性期リハビリテーション医療の安全性と効果」中村 健、佐伯 拓也 Jpn J Rehabil Med Vol. 56 No. 3 2019
回復期の作業療法
回復期とは、急性期を経て病気やケガの状態が安定してくる時期です。この時期から積極的なリハビリを開始し、退院後の状態をイメージしながら身体機能の改善を図ります。回復期では患者さんごとの目的にあわせて、さまざまなバリエーションのリハビリを提供します。具体的なリハビリ内容の例は、以下のとおりです。
● 調理や掃除などのリハビリ
● 実際に外出するリハビリ
● 趣味活動するためのリハビリ
場合によっては作業療法士の付き添いのもとで自宅に戻り、動作の確認をすることもあります。
生活期の作業療法
生活期は、病院を退院して自宅での生活が中心となる時期です。生活期では身体機能の改善を目指すことよりも、残った機能で安全に生活を送るための支援が中心です。また、身体機能が衰えないようにリハビリを提供するのも、生活期の目的の1つといえます。生活期で行われるリハビリの例は、以下のとおりです。
● 社会復帰の支援
● 地域のコミュニティー参加の支援
● 生活にあった福祉用具の選定
● 生活を楽にするための動作指導
このように、患者さんの時期によってリハビリ内容は大きく変化します。
出典:日本作業療法士協会|作業療法士ってどんな仕事?
作業療法士が活躍できる職場
作業療法士が活躍できる職場は、以下のとおりです。● 医療分野:病院、クリニックなど
● 介護分野:通所リハ、介護老人保健施設など
● 福祉分野:障害者施設、児童発達支援センターなど
● 教育分野:養成校、特別支援学校など
● 労働分野:ハローワーク、就業支援センターなど
● 保険分野:保健所、地域包括支援センターなど
このように、作業療法士はさまざまな職場で活躍できます。作業療法士は病院やクリニックで働くようなイメージが強いですが、決してそうではありません。作業療法士になった際は、ぜひ自分の興味のある分野で働いてみましょう。
出典:日本作業療法士協会|作業療法士になるには
作業療法士と理学療法士の仕事内容の違いは?
作業療法士と同じリハビリ職には「理学療法士」があります。理学療法士は、「歩く・立つ・座る」などの基本的な動作の獲得を中心にリハビリを提供する職業です。おもに歩行訓練や筋トレをする「運動療法」と、電気や温熱などの物理的な刺激を活用した「物理療法」による治療を行います。このように、作業療法士と理学療法士には以下のような違いがあります。
● 理学療法士:基本的な動作のリハビリが中心
● 作業療法士:応用的な動作のリハビリが中心
ただし、理学療法士も応用的な動作のリハビリを行う場合もあり、作業療法士も同様のことがいえます。それぞれの役割に明確な境界線がない点はおさえておきましょう。
作業療法士になるには?
作業療法士になるには、どのような手順を経る必要があるのでしょうか。ここでは作業療法士になるための流れについて解説します。大学や専門学校などの養成校に3〜4年通う
高校を卒業したら、作業療法士になれる大学や専門学校などの養成校に3〜4年間通う必要があります。養成校では、作業療法士になるために必要な知識や技術を学びます。おもなカリキュラムは、以下の表のとおりです。
| 分野 | 概要 | おもな内容 |
| 基礎分野 | 医学的な基礎知識について学ぶ分野 | ・科学的思考 ・人について ・人の生活について |
| 専門基礎分野 | 専門的な作業療法士の基礎知識を学ぶ分野 | ・人体の構造や機能 ・人体の発達 ・疾患や障害など ・リハビリテーション |
| 専門分野 | より専門的な作業療法士の知識を学ぶ分野 | ・作業療法の評価法 ・作業療法について ・臨床実習 |
出典:日本作業療法士協会|作業療法士になるには
国家試験を受験して合格する
養成校のカリキュラムを修了したら、国家試験を受験します。参考として、令和5年度に行われた国家試験の詳細は以下の表のとおりです。
| 試験の期日 | 2月中旬の日曜日 |
| 試験内容 | マークシートの筆記試験 (一般問題・実地問題) |
| 合格基準 | ・総得点:168点以上/279点 ・実地問題:43点以上/120点 (年度によって若干の変動あり) |
出典:厚生労働省|第58回理学療法士国家試験及び第58回作業療法士国家試験の合格発表について
作業療法士の仕事に向いている方の特徴
作業療法士はどのような性格かによって向き・不向きがあります。作業療法士の仕事に向いている方の特徴は、以下のとおりです。
● 患者さんに寄り添ったコミュニケーションができる
● 小さな変化も気づける観察力がある
● 根気強い
● 創造性が豊か
このように、患者さんに対して思いやりがあり、状態の変化にすぐに気づけるような方は作業療法士に向いています。また、リハビリには根気強さも必要で、状態にあわせてさまざま内容を提供できることも素質の1つです。反対に、コミュニケーションが苦手な方や、自己研鑽ができない方は作業療法士に向いていない可能性があります。
作業療法士の仕事内容をおさえたうえで資格の取得を目指そう
作業療法士は「作業」を通してリハビリを提供し、患者さんの動作の獲得を目指す職業です。作業療法士は、患者さんの発症時期によってリハビリ内容が異なります。また作業療法士は幅広い分野で活躍でき、病院やクリニック以外でも働ける職場は数多くあります。作業療法士になるには、まずは養成校に入学し、その後国家試験に合格する必要がある点をおさえておきましょう。作業療法士の仕事内容に興味が出た方は、ぜひ資格の取得を目指してみてください。関連ジャンル
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