臨床心理士について

資格取得の流れと今後

2018.09.08

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聴診器と針金

臨床心理士をご存知でしょうか。昨今のココロのケアに対する社会情勢から、年々需要が増えている心理学のエキスパートです。エキスパートと表現はしましたが、現在の日本では国家資格ではなく民間資格になっています。医療従事者ではない臨床心理士ですが、作業療法士や言語聴覚士と一緒にチーム医療を行うこともあります。今回はこの臨床心理士の特徴をまとめました。

臨床心理士とは

臨床心理士とは、公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が認定をしている資格で民間資格です。 後援に文部科学省が就いていることや他に臨床心理系の資格が無いためか、日本の幅広い職業で認知されており、各種学校のスクールカウンセラーや国境なき医師団スタッフの資格要件に入っていたり、医師や看護師の臨床専門資格として選ばれていたり、と公的な資格と同等に扱われています。 臨床心理士は、臨床心理学に基づいた専門知識と技術を使って、ココロに問題がある方をサポートするココロのエキスパートです。 似たような職業に心理カウンセラーやサイコセラピストがいますが、心理カウンセラーやサイコセラピストは自称で名乗れるものであり資格も必要ありません。 しかし、臨床心理士は高いハードルを越え、年1回しか無い試験に合格しないと得られない資格であり、専門性と信頼性が高いものであると認識されています。 日本には2015年時点で約3万人の臨床心理士がいます。

臨床心理士になるには

心理士になるには、一次の筆記試験と二次の口述試験がありますが、その受験資格を得るには高いハードルがあります。
  • 第1種指定大学院を修了した者
  • 第2種指定大学院を修了し、修了後1年以上の心理臨床経験を有する者
  • 臨床心理学またはそれに準ずる心理臨床に関する分野を専攻する専門職大学院を修了した者
  • 医師免許取得者で、取得後2年以上の心理臨床経験を有する者
最初のハードルはこの指定大学院に入学することです。昨今の人気もあり、10倍以上の競争率になることもあり、狭き門となっています。 第二のハードルは、第2種指定大学院を修了した方や医師免許を持っている方が必要となる心理臨床経験です。 この実務経験は給与を得る業務である必要がありますが、有資格者ではないため勤務先を見つけることがハードルになるそうです。最後のハードルは試験になります。 試験会場が東京のみなのもありますが、一次試験を突破して二次試験で落ちた場合、他の資格では一次試験免除が多いのですが、臨床心理士では一次試験からの受験となります。 なお、臨床心理士の合格率は6割程度ですので他の資格よりも高いことも低いこともありません。

臨床心理士の業務

臨床心理士の業務の基本は、ケアする方の話を否定したり、指示したりしないことです。 患者さんの話を理解し、臨床心理士は患者さん自身で解決できるようにサポートすることが業務になります。 そのケアをする中で、臨床心理士には4つの専門行為が求められています。
  • 心理テストなどを使用し、ケアする方の心理査定や面接査定に精通していること。
  • 臨床心理学を用いた面接を一定の水準で行い、的確な対応、処置ができること。
  • 所在地域でのココロのケア活動に参加していること。
  • 自分で臨床心理学を研究し、その発表を行うこと。
また、臨床心理士は上記4つを行っているかチェックするために、5年ごとの更新が必要となっています。 更新の際には研修などに参加し、発表などを行うことで15ポイント以上取得することが求められています。

臨床心理士とPT・OT・ST

コミュニケーションからサポートを行う臨床心理士は、同様に言葉を使う作業療法士や言語聴覚士と似た領域で業務を行います。違いとしては、より言葉(会話)を重視して行うのが臨床心理士であり、作業を重視してリハビリを行っていくのが作業療法士や言語聴覚士になります。 作業療法士や言語聴覚士の中には、臨床心理士の資格も取ってダブルライセンスとして活動されている方もおられます。両方持つことで、患者さんの心理状況を確認しながら、よりよいリハビリに繋げることができるのです。

ココロのケアということでは、臨床心理士の働きの場はこれからも広がっていくでしょう。今までは学校などの教育現場が主な勤務先として挙げられてきましたが、福祉の現場や、企業内でのカウンセリングとしての産業カウンセラー、作業療法士や言語聴覚士とも関わる医療現場などにも広がっています。 そして、2017年には公認心理師法が施行され、公認心理士という心理職の国家資格ができます。公認心理師は、チーム医療としてこれまで以上に作業療法士、言語聴覚士とも関わっていくことでしょう。 国家資格になることで今まで民間資格なので取得をためらっていた人も新たに取得を目指すでしょうし、当面は現場での混乱も起きることでしょう。 それでも、今までの受験資格が高いハードルは低くなることが明言されていますし、PT・OT・ST資格とのダブルライセンスも現実味を帯びてきます。 少しでも興味がでましたら勉強してみてくださいね。
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