理学療法士と看護師はどちらが給料が良い?年収や仕事の違いを解説
理学療法士と看護師はどちらが給料が良い?年収や仕事の違いを解説
更新日:2024年05月30日
公開日:2024年05月30日
![並んで立つスタッフたち](http://d9ccqsdjkf7lu.cloudfront.net/image/column/ptotst_worker/17170321995941.jpg)
理学療法士や看護師を目指そうと考えているとき、給料面について気になる方も多いのではないでしょうか。理学療法士と看護師はどちらも医療職ですが、給料や仕事内容は異なります。給料面だけで考えると理学療法士よりも看護師のほうが高い傾向にあります。しかし、給料だけに注目せず、自分の性格にあった仕事ができる職種を選択することが大切です。
この記事では、理学療法士と看護師の給料や仕事内容についてご紹介します。給料を含めたさまざまな特徴を知ることで、自分にあった職種選びができるでしょう。
目次
理学療法士と看護師の給料はいくら?
理学療法士と看護師の給料はどのくらいなのでしょうか。ここでは、それぞれの給料やその推移について比較してみましょう。理学療法士と看護師の給料の比較
令和4年度の厚生労働省の調査によると、理学療法士の平均給料は「約30万円」で、年収は「約430万円」とされています。一方で、看護師の平均給料は「約35万円」で、年収は「約508万円」でした。このように、看護師は理学療法士よりも給料は5万円、年収は70万円ほどの差があります。賞与(ボーナス)を含めた特別給与額でも、理学療法士は約69万円なのに対して、看護師は約86万円とされています。
このように、看護師は理学療法士よりも給料や年収、賞与額が高いという結果になりました。
出典:令和4年賃金構造基本統計調査 職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)
理学療法士と看護師の給料の推移は?
理学療法士と看護師の平均給料と年収の推移について、以下の2つの表にまとめました。【平均給料の推移】
年齢 | 理学療法士の平均給料 | 看護師の平均給料 |
20〜24歳 | 約25.2万円 | 約29.5万円 |
25〜29歳 | 約27.2万円 | 約33.3万円 |
30〜34歳 | 約29.3万円 | 約33.4万円 |
35〜39歳 | 約31.7万円 | 約34.6万円 |
40〜44歳 | 約34.1万円 | 約36.1万円 |
45〜49歳 | 約35.4万円 | 約38.5万円 |
50〜54歳 | 約34.6万円 | 約38.4万円 |
55〜59歳 | 約38.8万円 | 約39.1万円 |
60〜64歳 | 約32.8万円 | 約34.4万円 |
65〜69歳 | 約31.6万円 | 約29.1万円 |
年齢 | 理学療法士の平均年収 | 看護師の平均年収 |
20〜24歳 | 約336万円 | 約400万円 |
25〜29歳 | 約392万円 | 約477万円 |
30〜34歳 | 約421万円 | 約479万円 |
35〜39歳 | 約455万円 | 約506万円 |
40〜44歳 | 約498万円 | 約530万円 |
45〜49歳 | 約518万円 | 約565万円 |
50〜54歳 | 約515万円 | 約566万円 |
55〜59歳 | 約570万円 | 約578万円 |
60〜64歳 | 約463万円 | 約483万円 |
65〜69歳 | 約467万円 | 約394万円 |
出典:令和4年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)
理学療法士や看護師を含めた医療職全体の給料はいくら?
理学療法士と看護師だけでなく、医療職全体の給料はどのくらいなのでしょうか。医療職全体の平均給料と年収について、以下の表にまとめました。
職種 | 平均給料 | 平均年収 |
医師 | 約110万円 | 約1,429万円 |
薬剤師 | 約41.5万円 | 約583万円 |
看護師 | 約35.2万円 | 約508万円 |
准看護師 | 約29.6万円 | 約418万円 |
放射線技師 | 約36.9万円 | 約544万円 |
臨床検査技師 | 約34.7万円 | 約509万円 |
理学療法士 | 約30.1万円 | 約430万円 |
出典:令和4年賃金構造基本統計調査 職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)
理学療法士は看護師よりも給料は上がりにくい?
結論からいうと、理学療法士は看護師よりも給料が上がりにくいと考えられます。看護師は日勤だけでなく、夜勤もあります。夜勤勤務では手当が支給されるため、給料を上げやすいといえるでしょう。一方で、理学療法士は基本的に夜勤はなく、日勤のみの仕事なので給料はほとんど固定です。また、理学療法士の給料が低い傾向にある背景には、以下が関わっています。
● 制度による問題
● 理学療法士の増加
理学療法士の仕事であるリハビリは、行える回数が定められているため、稼げる額には限界があるのです。そして、理学療法士の人数は年々増加し続けています。 理学療法士が増えれば、職場としては人材の確保が容易となるので、希少性の低下にともなって給料も上がりにくくなるでしょう。
出典:日本理学療法士協会|統計情報|協会の取り組み
理学療法士と看護師の給料を上げる方法
理学療法士と看護師の給料を上げるには、どのような方法があるのでしょうか。ここでは、それぞれの給料の上げ方について解説します。管理職を目指す【共通】
理学療法士と看護師の給料を上げる方法の1つとして、管理職を目指すことがあげられます。管理職になると、スタッフとしての業務に加えて、部下の管理や経営的な視点での仕事が求められます。そのため、給与も大幅にアップするでしょう。たとえば、理学療法士の場合は主任や科長などの役職があります。看護師の場合は、主任から看護師長、看護部長とステップアップしていきます。管理職になるためには、リーダーシップや問題解決能力、コミュニケーションスキルなどを身につけることが大切です。
転職する【共通】
転職は理学療法士と看護師のどちらにおいても、給料アップの有効な手段の1つです。職場によっては、長く勤めていても給料がなかなか伸びにくいこともあります。働いている職場よりも条件の良い場所に転職することで、大幅に給料が増えるケースもあります。ただし、転職にはリスクもあるため、慎重に検討することが大切です。自分のスキルや経験を客観的に評価し、適切な転職先を選ぶことが重要となります。転職は理学療法士や看護師を目指す段階ではあまり考えなくても良いですが、給料を伸ばす方法としておさえておきましょう。
資格を取得する【共通】
資格の取得も、理学療法士と看護師の給料アップに役立つでしょう。それぞれの職種には、専門性を高めるさまざまな資格があります。たとえば、理学療法士では「認定理学療法士」「専門理学療法士」という、特定分野のスペシャリストであることを証明する資格があります。看護師の場合は、「専門看護師」や「認定看護師」などの資格が代表的です。これらの資格を取得することで専門性の高い業務に携われるようになり、手当が追加されたり、転職時に有利になったりします。
資格取得には勉強や実務経験が必要ですが、キャリアアップの観点からもおすすめといえます。
夜勤の頻度を増やす【看護師】
看護師の場合、夜勤の頻度を増やすことも給料アップの方法の1つです。多くの医療機関では夜勤手当が支給されるため、夜勤シフトが多いほど給与が高くなります。手当の額は職場によって異なりますが、夜勤回数を増やすことで給料を数万円アップさせることも十分に可能です。ただし、夜勤は心身への負担が大きいため、自分の体調と相談しながら無理のない範囲で夜勤シフトを調整する必要があります。長く看護師として働くためにも、ワークライフバランスも意識することも重要です。
理学療法士と看護師の給料面以外の特徴
理学療法士と看護師はどちらも医療職ですが、仕事内容は大きく異なります。ここでは理学療法士と看護師の給料面以外の特徴について解説します。理学療法士はリハビリで身体機能の改善を目指す職業
理学療法士のおもな仕事は、ケガや病気で身体機能が低下した患者さんのリハビリテーションを行うことです。具体的には、「立つ・座る・歩く」などの基本的な動作の回復や維持を目指します。リハビリで行われる内容としては、「運動療法」や「物理療法」などがあげられます。運動療法は、ストレッチや筋トレなど、運動を中心とした治療法です。物理療法とは、電気や温熱などの物理的な刺激を活用した治療法のことです。
このように、理学療法士は患者さんの身体機能の改善に向けたリハビリを提供し、自立した生活を送れるようサポートしています。
出典:日本理学療法士協会|理学療法士とは
看護師は医療的なケアや医師の診療補助をする職業
看護師は、おもに患者さんの療養上の世話や医療的なケアを行う職種です。療養上の世話では、以下のようなサポートをします。
● 排泄の介助
● 食事の介助
● 入浴の介助
● 歩行介助
● 体位変換
具体的な医療的ケアの内容は、以下のとおりです。
● バイタルサインのチェック
● 点滴・注射の実施
● 服薬指導
● 採血
● 応急処置
また、医師の指示のもとで診療の補助も行います。看護師は、24時間365日患者さんのそばで寄り添い、心身両面でのサポートを行います。
このように、理学療法士と看護師の役割は大きく異なることがわかるでしょう。
理学療法士と看護師はどちらが良い?
これまでの情報をふまえて、就職するとしたら理学療法士と看護師はどちらが良いのでしょうか。ここでは給料面や仕事面でみたおすすめを解説します。給料面だけを考えたら看護師がおすすめ
給料面だけを考えると、理学療法士よりも看護師のほうがおすすめです。先ほど説明したように、看護師の平均給料は理学療法士よりも高い傾向にあります。そして看護師は夜勤がある分、理学療法士よりも柔軟に給料アップが望める職種です。その反面、看護師は夜勤によって生活リズムの乱れが生じる可能性があります。給料は高くなりますが、理学療法士よりも心身への負担はやや高いといえます。その点を考慮すると給料面では看護師ですが、夜勤を避けたいなら理学療法士がおすすめのケースもあるでしょう。
最終的なおすすめは人によって異なる
最終的なおすすめは、人によって異なります。その方にとっておすすめの仕事なのかは給料面だけでなく、業務内容や働き方など、さまざまな要素で決まります。たとえば、リハビリを通して患者さんの身体機能の改善を直接的にサポートしたい方は、理学療法士に向いているかもしれません。医療的な観点から患者さんの生活を支えたい方や、医師の診療補助に興味がある方は、看護師が適しているでしょう。
また、結婚や出産後も仕事を続けたいと考える方は、夜勤の少ない理学療法士のほうが負担が少なくなります。このように、自分の目指すキャリアや生活スタイルにあわせて、理学療法士と看護師のどちらを選ぶか考えてみましょう。
理学療法士・看護師に向いている方の特徴は?
自分が理学療法士・看護師に向いているか気になる方もいるのではないでしょうか。ここでは、理学療法士・看護師に向いている方の特徴について解説します。理学療法士に向いている方の特徴
理学療法士に向いている方の特徴は、人の身体の動きに興味があることです。理学療法士は、ケガや病気で身体機能が低下した方に対してリハビリを提供する職業です。そのため、人の身体の仕組みや動きに関心があり、身体機能の改善に喜びを感じられる方に向いています。また、理学療法士は患者さんと長期間関わることが多いため、コミュニケーション能力が高く、スムーズなやりとりができる方も向いているでしょう。
看護師に向いている方の特徴
看護師に向いている方の特徴は、以下のとおりです。● 人の健康や命に関心が高い
● 思いやりの気持ちを持っている
● 適切な判断ができる
看護師は医師の指示のもとで、患者さんの治療やケアを行う職業です。そのため、人の健康状態を細やかに観察し、適切な対応ができる方に向いています。看護師は患者さんやその家族と深く関わることが多いため、思いやりの心を持ち、寄り添える方も向いているでしょう。
さらに、医療現場では予測不能な事態が起こりうるため、冷静に状況判断しながら行動できる方も素質があります。
理学療法士と看護師の給料や仕事内容の違いをおさえよう
理学療法士の給料は、看護師よりも低い傾向にあります。しかし、専門性を高めたり管理職を目指したりすることで、給料アップが期待できます。給料面だけを考えると看護師がおすすめですが、どちらの職業を選ぶかは、自分の適性や興味関心にあわせて決めることが重要です。それぞれの職種の特徴を理解したうえで、自分の目指したいキャリアについてよく考え、進路を決めていきましょう。関連記事
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