「認知症ケア専門士」とはどんな資格?取得方法や試験内容が知りたい!

認知症ケア専門士とは?認知症ケア専門士の資格取得方法は?資格を取得することでどのようなメリットがある?など、認知症ケア専門士について詳しく解説します!

2020.03.19

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認知症ケア専門士の解説

高齢化が進む日本において、認知症を患う方は年々増えています。
厚生労働省によると、2025年には高齢者の5人に1人が認知症予備軍になると予想されており(※1)、ますます認知症に対する知識や理解、そして医療や介護現場における適切なサポート体制は欠かせないものとなっています。
そこで、認知症患者に対して活躍する資格となるのが「認知症ケア専門士」です。
今回は、セラピストの業務にも密接に関わりを持つ「認知症ケア専門士」という資格についてご紹介していきます。
どのようなシーンで活かせる資格なのか、また資格の取得方法や試験内容、資格取得後に注意しておきたいことなどを詳しく解説していきます。

(※1)出典:厚生労働省/認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)の概要

認知症ケア専門士とは?

「認知症ケア専門士」とは、『日本で年々増加している認知症患者さんに対し、優れた知識と高度の技術、倫理観を備えた専門技術士』という定義のもと、 一般社団法人日本認知症ケア学会によって設立された民間資格です。
日本における認知症ケア技術の向上や保健・福祉に貢献することを目的として2005年から始まった資格であり、常に最新の認知症ケアに対応できるプロを育成することに貢献しています。
認知症ケア専門士は国家資格ではなく民間資格となりますが、国家資格でこれに該当する資格はないため、現在の日本では認知症ケアのプロを認定する唯一の資格となります。

高齢化社会で需要が高まる認知症ケア専門士

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認知症の有病率は2012年の推計で15%、有病者数は462万人とされており、2025年には有病者数が700万人にものぼるという調査結果(※2)が出ています。
また、高齢化が進む日本では総人口に対する65歳以上の高齢者の割合(高齢化率)は28.1%となっており、令和47(2065)年には約2.6人に1人が65歳以上、約3.9人に1人が75歳以上(※3)となっていくことが推計されています。
これらのことから、日々医療が進歩していることで高齢化は今後ますます加速の一途をたどり、それと同時に認知症患者も増加していく傾向にあるということが分かります。
このような時代背景をふまえ、介護関連施設をはじめ医療機関などでは、認知症ケアに対して専門的な知見を持つことの重要性はますます高まっており、全国のさまざまな病院にて複数職種が連携して行う認知症ケアチームの活動が盛んに行われるなど、質の高い認知症ケアが各所で求められています。
そのため、認知症ケアに特化した専門の資格である認知症ケア専門士は、今後さらに需要が高まっていくといえるでしょう。

(※2)出典:厚生労働省/認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)の概要
(※3)出典:内閣府/令和元年版高齢社会白書(概要版)  

認知症ケア専門士の強みとは?

認知症ケア専門士の有資格者は、2019年10月時点で32,095人(※4)となっており、年々この資格の認知が高まっていることで有資格者は増加傾向にあります。
認知症ケア専門士として活躍している方の多くは、看護師や介護福祉士、理学療法士といった介護や医療業界における専門職の方で、国家資格やその他民間資格といった複数の資格を保有している傾向にあります。
介護関連施設や医療機関において認知症患者に接する機会が増えるなか、このような方々が認知症ケア専門士の資格を保有することで、より専門性の高い知識と技能を発揮することができ、有病者及びそのご家族に対して安心できるケアの実施に繋げることができます。
資格を保有することで昇進が待っているというようなメリットはありませんが、自身のスキルアップはもちろんのこと、より質の高い認知症ケアが実施できるということは大きな強みとなることでしょう。

(※4)出典:日本認知症ケア学会認定 認知症ケア専門士公式サイト

認知症ケア専門士の資格が活かせる場所

認知症ケア専門士の資格はさまざまな場所で活かすことができ、その多くは認知症患者との関わりが大きい病院やクリニックといった医療機関や介護関連施設が中心となります。
介護関連施設では、グループホームや介護老人保健施設、有料老人ホーム、居宅介護支援事業所、訪問看護事業所といったさまざまな施設で活用できるほか、直接的な認知症ケアを行うわけではなくとも、各地域における高齢者の生活支援に関連する施設などでも資格を活かすことができます。

認知症ケア専門士になるには

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ここまで、認知症ケア専門士が担う役割や、医療・介護業界における需要の高さについて解説してきました。
次にご紹介するのは、認知症ケア専門士になるために必要となるステップについてです。
資格取得のための試験内容はもとより、受験にかかる費用や資格取得後に注意しておきたいことなどもご紹介しています。
認知症ケア専門士を目指したい、また資格取得について把握しておきたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。


認知症ケア専門士になるには受験資格が必要

認知症ケア専門士になるには、最初のステップとして受験資格を満たすことからはじめていく必要があります。
受験資格は、認知症ケアの関連機関、団体などにおいて受験年の3月31日より10年以内に3年間の実務経験があることと定められており、ボランティアや研修期間は含まれないとしています。
この認知症ケアの関連機関や団体などについては、主に医療機関や介護関連施設のことを指しており、認知症ケアを専門としている施設などではなくても問題はありません。
また職種や職務内容についても、認知症ケアに関わりを持って実務経験を積んでいれば、受験資格を得ることができます。
上記の条件を満たしていることを前提に、勤務先となる施設や団体に実務経験歴を証明してもらうことで受験が可能となります。
ちなみに、複数の医療機関や関連団体、介護関連施設などにおいて認知症ケアに携わってきた場合は、それぞれの勤務先ごとに申請書が必要となりますが、あわせて提出することで受験資格を得ることができます。
なお、受験を希望する際は願書として一般社団法人日本認知症ケア学会が用意している受験の手引き(税込1,000円)を購入し、必要書類を揃えて提出する必要があります。
受験の手引きは受験者1人につき1部が必要となり、前年度のものは使用不可となっているため、繰り返し受験をする場合は注意しなければなりません。

認知症ケア専門士の試験内容

認知症ケア専門士の試験内容は、第一次試験で筆記、そして第二次試験で論述・面接の流れで構成されています。

<第一次試験>

第1次試験では、
  • 認知症ケアの基礎
  • 認知症ケアの実際1
  • 認知症ケアの実際2
  • 認知症ケアにおける社会資源
の4分野、各50問・計200問(マーク式・五者択一)からなる筆記試験となっています。

筆記試験の合格点は各問7割以上となりますが、もし落ちた場合でも5年間はデータが保持されるので、落ちた分野だけ再度試験を受けることが可能です。

<第二次試験>

第二次試験では、
  • 論述試験(事例問題に対する論述)
  • 面接試験(6人・1グループでのディスカッションと1分間スピーチ)
の2種類からなる試験内容となっています。

まず論述試験ですが、第一次試験合格後に第二次試験受験申込書類とあわせて所定の様式にて記載した論述を、一般社団法人日本認知症ケア学会へ提出期限内に提出します。
そしてその後、面接試験を受ける流れとなっています。
面接試験では、限られた時間内で与えられたテーマに則したディスカッションと1分間スピーチを行わなければいけないため、的確な判断力や洞察力などを活かしながら、これまでの実務経験などで得た知識をしっかり反映させることが必要となります。

以上の試験を全て合格すれば、晴れて認知症ケア専門士の資格を取得することができます。

認知症ケア専門士になるためにかかる受験料

認知症ケア専門士の試験を受けるためにかかる受験料については以下となります。
  • 第一次試験…3,000円×受験分野数(4教科で12,000円)
  • 第二次試験…8,000円
一度の試験で全て合格した場合は、合計でかかる費用は試験だけで20,000円となっていますが、試験の結果内容に応じて再度試験を受ける場合は、都度必要な試験の数だけ追加で費用がかかるため、注意が必要です。

認知症ケア専門士の合格率は高め

催年ごとによって多少受験者数にばらつきはありますが、2005年~2018年にかけて実施された認知症ケア専門士試験の平均合格率は52.1%(※5)と高めです。
これまでの認知症ケアに対する実務経験に加え、テキストまたは対策講座を受講するなどきちんと試験対策をして挑めば、合格を目指すことはさほど難しくないといえるでしょう。

■認知症ケア専門士の試験合格状況(※5)
認知症ケア専門士の試験合格状況.jpg

(※5)出典:日本認知症ケア学会認定 認知症ケア専門士公式サイト

資格取得後に注意しておきたいこと

認知症ケア専門士の資格取得において注意しておきたいことがあります。
それは、認知症ケア専門士が更新性のある資格であるということです。
認知症ケアは看護医療と密接に関わっており、常に新しい知識や技能を学ぶ必要があるため、5年毎の更新が義務づけられています。
更新の条件は、学会で行っているセミナー・講義に出席することと定義されており、一般社団法人日本認知症ケア学会が認定している各セミナー・講義に参加した合計単位が30単位以上で更新が可能となります。
なお、資格の更新には更新料として10,000円がかかるため、こちらも注意が必要です。
例年、更新の申請期間は1/10ごろから3/31までとなっていますが、詳しくは資格認定時に渡される『認知症ケア専門士 更新の手引』で確認ができますので、資格取得後は忘れずにチェックをしておきましょう。

認知症ケア専門士になって活躍の幅を広げよう!

日本の医療や介護業界における認知症ケアの重要性はますます高くなっており、質の高い認知症ケアを行うこと、すなわち認知症ケア専門士の存在はこれからの社会を支えていくうえで必要不可欠となっています。
資格取得を推奨する施設が増えるなど、認知症ケア専門士が担う活躍の場はますます広がりをみせており、さまざまな職種の人にとって活かせる資格となっています。
それは、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士といったセラピストにも同様にいえることで、認知症ケアに特化した知識や技能を備えていることで、リハビリにおける症状の悪化や不必要な怪我の予防などにも大きく繋がってくるはずです。
もちろん、自身のスキルアップや仕事に対するやりがいにも繋がる資格となっていますので、取得しておいて損はない資格といえます。
自身の得意とする分野だけでなく、今後の日本の動向を見据え、できる仕事の幅を広げたいと考えている方は、ぜひこの機会に認知症ケア専門士の資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。
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