日本糖尿病療養指導士とは?理学療法士が資格取得すべきメリットや試験概要を徹底解説!
糖尿病治療における生活指導のスペシャリストとして日本糖尿病療養指導士という資格があります。資格について、また資格取得のメリットや資格取得方法などについて詳しく解説しています。
更新日:2023年04月27日
公開日:2021年10月26日

理学療法士としてキャリアアップを考えている方におすすめしたいのが「日本糖尿病療養指導士」という資格。
日本は世界的にみても糖尿病患者が多い傾向にあり、6人に1人が糖尿病もしくは予備軍であるといわれています。 (※)
そんな糖尿病大国の日本で、日本糖尿病療養指導士はとても貴重な存在です。
今回は、日本糖尿病療養指導士について、資格取得のメリットや資格認定までの流れについて詳しくご紹介していきます。
(※)参考:平成 28 年国民健康・栄養調査結果の概要/厚生労働省
日本糖尿病療養指導士とはどんな資格?
日本糖尿病療養指導士は、「日本糖尿病療養指導士(CEDJ)認定機構」が認定する糖尿病療養指導士の資格です。日本糖尿病療養指導士認定機構は、2000年に「日本糖尿病学会」「日本糖尿病教育・看護学会」「日本病態栄養学会」が母体となり設立されました。
日本糖尿病療養指導士は、糖尿病治療に大切な自己管理を患者さんに指導し、高度かつ幅広い専門知識をもっている医療従事者です。
この資格は、受験資格に相当する糖尿病療養指導の経験があり、試験を通った看護師、管理栄養士、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士のみが取得することができます。
そのため、日本糖尿病療養指導士に認定されることは、糖尿病の臨床における生活指導のスペシャリストであることの証となります。
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日本糖尿病療養指導士(CDEJ)と地域糖尿病療養指導士(CDEL)の違いは?
糖尿病療養指導士(CDE)には、大きく分けて2種類の資格があります。その資格が「日本糖尿病療養指導士(CDEJ)」と「地域糖尿病療養指導士(CDEL)」です。
とても似た名称の資格であるため、それぞれどのような資格なのか区別がつかないという方も多いのではないでしょうか。
以下では、それぞれの資格について、また資格の違いについてご紹介していきます。
日本糖尿病療養指導士(CDEJ)
日本糖尿病療養指導士(CDEJ)は「一般社団法人 日本糖尿病療養指導士認定機構」が認定している資格です。CDEJ認定機構が定めた講習会の受講や書類審査、試験を通った方が認定を受けるため、認定者のレベルは一定化されています。
地域糖尿病療養指導士(CDEL)
地域糖尿病療養指導士(CDEL)は、各都道府県や各地区といった地域の認定組織によって独自に認定している資格です。そのため、各都道府県や地域などによって認定者のレベルには差があります。
地域糖尿病療養指導士は資格認定などに一定の基準が設けられているため、資格を取得することで一定の評価を得られキャリアアップに繋がります。
地域糖尿病療養指導士は日本糖尿病療養指導士と比べ、地域に密着した糖尿病治療や予防をしていきたい方に向いている資格といえます。
日本糖尿病療養指導士の認定機構について
一般社団法人 日本糖尿病療養指導士認定機構は、糖尿病と深く関わりのある一般社団法人として「「日本糖尿病学会」「日本糖尿病教育・看護学会」「日本病態栄養学会」の3つの親学会と協力し、設立された認定機構です。2000年の設立の翌年から日本糖尿病療養指導士の認定制度が開始して以降、全国で活躍する日本糖尿病療養指導士は約2万人にのぼります。
日本の高齢化に伴い、患者さんの健康を維持するためには糖尿病の予防として生活習慣の適性化はもちろんですが、多様化する病態に対し高度な知識と技術をもつ糖尿病の専門士の育成は設立当初よりもさらに必要とされています。
一般社団法人 日本糖尿病療養指導士認定機構はこれらのニーズに対し、看護師や理学療法士といった各職種の日本糖尿病療養指導士がキャリアアップを支援し、変わり続ける時代の変化に合わせて日本糖尿病療養指導士の育成に力を注いでいます。
職種別でみる日本糖尿病療養指導士の有資格者数
日本糖尿病療養指導士の資格は、2001年3月から認定試験が始まりました。一般社団法人 日本糖尿病療養指導士認定機構によると、2021年6月時点における全国の有資格者数は19,096名です。
では、理学療法士で日本糖尿病療養指導士を取得している方はどのくらいいるのでしょうか?
一般社団法人 日本糖尿病療養指導士認定機構のデータを参考に、都道府県別の資格者数を職種別に分けたデータをみてみましょう。
看護師 | 管理栄養士 | 薬剤師 | 臨床検査技師 | 理学療法士 | CDEJ数 | |
---|---|---|---|---|---|---|
北海道 | 477 | 233 | 117 | 63 | 39 | 929 |
青森県 | 78 | 39 | 21 | 8 | 4 | 150 |
岩手県 | 109 | 41 | 19 | 7 | 4 | 180 |
宮城県 | 185 | 119 | 41 | 17 | 10 | 372 |
秋田県 | 76 | 23 | 26 | 5 | 6 | 136 |
山形県 | 100 | 47 | 28 | 12 | 3 | 190 |
福島県 | 106 | 49 | 32 | 21 | 8 | 216 |
茨城県 | 204 | 92 | 51 | 35 | 29 | 411 |
栃木県 | 92 | 73 | 31 | 19 | 12 | 227 |
群馬県 | 137 | 84 | 45 | 31 | 30 | 327 |
埼玉県 | 350 | 229 | 172 | 71 | 84 | 906 |
千葉県 | 322 | 212 | 143 | 45 | 65 | 787 |
東京都 | 792 | 482 | 279 | 93 | 74 | 1720 |
神奈川県 | 449 | 352 | 185 | 93 | 59 | 1138 |
新潟県 | 136 | 54 | 37 | 13 | 13 | 253 |
山梨県 | 54 | 16 | 17 | 8 | 11 | 106 |
長野県 | 188 | 106 | 61 | 50 | 44 | 449 |
富山県 | 157 | 68 | 28 | 9 | 15 | 277 |
石川県 | 204 | 76 | 43 | 48 | 35 | 406 |
福井県 | 56 | 35 | 22 | 20 | 12 | 145 |
岐阜県 | 173 | 78 | 63 | 18 | 31 | 363 |
静岡県 | 163 | 136 | 59 | 41 | 15 | 414 |
愛知県 | 519 | 307 | 172 | 112 | 80 | 1190 |
三重県 | 97 | 53 | 45 | 29 | 12 | 236 |
滋賀県 | 111 | 75 | 42 | 8 | 23 | 259 |
京都府 | 175 | 135 | 88 | 22 | 28 | 448 |
大阪府 | 512 | 329 | 231 | 76 | 101 | 1249 |
兵庫県 | 413 | 232 | 161 | 76 | 61 | 943 |
奈良県 | 79 | 66 | 49 | 23 | 13 | 230 |
和歌山県 | 78 | 32 | 20 | 10 | 12 | 152 |
鳥取県 | 63 | 24 | 22 | 11 | 11 | 131 |
島根県 | 39 | 28 | 20 | 3 | 4 | 94 |
岡山県 | 202 | 118 | 72 | 32 | 38 | 462 |
広島県 | 173 | 103 | 88 | 37 | 31 | 432 |
山口県 | 59 | 48 | 27 | 12 | 15 | 161 |
徳島県 | 93 | 53 | 20 | 7 | 35 | 208 |
香川県 | 121 | 49 | 32 | 23 | 34 | 259 |
愛媛県 | 92 | 54 | 27 | 28 | 17 | 218 |
高知県 | 77 | 28 | 18 | 17 | 16 | 156 |
福岡県 | 269 | 159 | 89 | 22 | 46 | 585 |
佐賀県 | 39 | 13 | 12 | 3 | 1 | 68 |
長崎県 | 136 | 76 | 36 | 10 | 17 | 275 |
熊本県 | 205 | 125 | 51 | 44 | 33 | 458 |
大分県 | 62 | 40 | 17 | 14 | 16 | 149 |
宮崎県 | 76 | 28 | 17 | 4 | 8 | 133 |
鹿児島県 | 117 | 61 | 36 | 11 | 15 | 240 |
沖縄県 | 151 | 42 | 34 | 13 | 18 | 258 |
累計 | 8566 | 4922 | 2946 | 1374 | 1288 | 19096 |
(※)出典:一般社団法人 日本糖尿病療養指導士認定機構
2021年6月15日時点における全国の有資格者数は19,096名で、そのなかでも圧倒的な有資格者数を誇るのが看護師です。
日本糖尿病療養指導士として認定されている全国の看護師数は8,566名で、全体の累計者数に対し看護師が占める割合は約4割以上となっています。
一方で理学療法士の有資格者数はというと、資格が取得できる職種の中では最も少ない1,288名で、まだまだ認知が広がっていない印象というのは否めません。
なお、 都道府県別でみた日本糖尿病療養指導士数のTOP3は
1位:東京都 1,720名
2位:大阪府 1,249名
3位:愛知県 1,190名
という結果になっており、人口の多い都心部に有資格者が多いことが分かります。
日本糖尿病療養指導士の数は全国的にみてもまだまだ足りない状況です。
糖尿病大国の日本では、今後さらに必要とされるため需要のある資格といえます。
日本糖尿病療養指導士を理学療法士が取得するメリットとは?
理学療法士が日本糖尿病療養指導士を取得するメリットは、・糖尿病患者の運動療法指導においてスキルを発揮できる
・糖尿病センターなどにおける需要が高い
・資格取得により採用に有利
といったことが挙げられます。
日本糖尿病療養指導士のなかで運動療法が行えるのは理学療法士のみで、看護師や管理栄養士、薬剤師では行えません。
理学療法士のみが行える運動療法は、糖尿病に関する生活習慣病に対し食事制限などよりも高い効果を見い出すことができます。
そのため、その他の職種よりも糖尿病指導がよい結果に繋がりやすく、糖尿病センターなどを設置している医療施設では重要が高く、求められている人材として重宝されやすい傾向にあります。
また、糖尿病の臨床において運動療法ができる唯一の存在となり、生活指導のスペシャリストとして実績を作れることは理学療法士が資格を取得する大きなメリットといえます。
転職をする際には、資格を取得していることで有利に働き採用率も高くなる傾向も高いです。
今後、日本の高齢化社会にともなって日本糖尿病療養指導士の需要はさらに増えていくはずです。
現時点ではまだまだ理学療法士の有資格者はさほど多いとはいえない現状ではありますが、高齢化が進む日本の医療には確実に必要とされている資格であるため、需要の高まりにより今後理学療法士の資格取得はさらに進んでいくでしょう。
日本糖尿病療養指導士として働ける職場
日本糖尿病療養指導士として働ける場所は、日本糖尿病療養指導士の資格が取得できる職種(薬剤師、看護師(准看護師)、管理栄養士(栄養士)、理学療法士、臨床検査技師)の活躍フィールドによってさまざまです。一般社団法人 日本糖尿病療養指導士認定機構によるCDEJのいる施設一覧から確認できる勤務先としては、病院をはじめクリニックや医療福祉センター、厚生労働省所管の国立研究開発法人、治療就労両立支援センター、介護老人福祉施設、大学、企業などがあります。
とはいえ、日本糖尿病療養指導士のほとんどは医療機関に在籍し、それぞれの役割のなかで糖尿病患者の生活指導や管理を行っています。
日本糖尿病療養指導士がいる医療機関においては、市立病院や企業立病院、医学部の附属病院、病院救命救急センターを有する救急病院、総合医療センター、国立循環器病研究センターなどが勤務先の例として挙げられます。
リハビリ職である理学療法士だけでみると、仕事柄リハビリと関わりの深いリハビリテーション病院や整形外科クリニックなども日本糖尿病療養指導士として働ける場所として挙げられます。
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日本糖尿病療養指導士の仕事内容
日本糖尿病療養指導士の主な仕事内容は、糖尿病に関する専門知識を活かして糖尿病患者をはじめ糖尿病予防に関心のある方などを対象に、食事や運動、生活習慣の改善、健康維持のためのセルフケアの指導や相談対応です。そのほかにも、地域や病院内での糖尿病教室の講師を務めたり、学会で糖尿病に関するテーマで発表したりすることもあります。
日本糖尿病療養指導士の資格認定までの流れと受験資格
前述にもあったとおり、糖尿病療養指導士の資格には日本糖尿病療養指導士 (CDEJ)と地域糖尿病療養指導士(CDEL)の2種類の認定制度があります。地域糖尿病療養指導士(CDEL)は認定を行う地域によって受験資格や認定の流れが異なるため、こちらでは日本糖尿病療養指導士の資格認定と受験資格についてご紹介していきます。
地域糖尿病療養指導士の資格認定については、受験を希望される地域の認定先にて確認してみてください。
資格認定までの流れ
資格認定までのおおまかな流れは以下となります。日本糖尿病療養指導士の資格を取得するのには受講の申込みから認定証を受け取るまでに約1年かかります。
まずは、受験する前に必須となっている受験者用講習会(eラーニング講習会)の受講からスタートし、資格取得を目指しましょう。
日本糖尿病療養指導士の受験資格
認定試験を受験するには、次の4つの要件を満たしていることが条件となります。ひとつでも要件を満たしていなければ認定試験を受けることができないため、よく内容を確認しておきましょう。
<日本糖尿病療養指導士の受験資格>
【1】看護師、管理栄養士、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士のいずれかの資格を持っていること
【2】条件を満たしている医療施設(※)において、過去10年以内に2年以上継続して勤務し糖尿病患者の療養指導業務を通算1000時間以上行っていること
【3】【2】の期間に携わった糖尿病療養指導の自験例が10例以上あること
【4】日本糖尿病療養指導士認定機構が開催する講習(eラーニング)を受講し、受講修了証を取得していること
(※)医療施設の条件についてやその他、受験資格の詳細については日本糖尿病療養指導士認定機構の公式サイトをご覧ください。
<注意!>
受験資格要件には認定の基準日(例年12月5日)が設定されています。
この基準日までに上記4つの項目すべてを満たすことが必要です。
うっかり過ぎてしまうと、翌年度まで待つことになるので気を付けましょう。
また、受験資格は変更になる場合もあるため「日本糖尿病療養指導士認定機構」の公式サイトのチェックも忘れずに行うようにしましょう。
資格取得のために必要な「受験者用講習会」とは?
日本糖尿病療養指導士の資格を取得するための、受験者用講習会の受講が必要です。受験者用講習会は、2017年度まで全国をブロックごとに分け、各会場にて開催されていましたが、2018年度から「eラーニング」での開催に変更され、会場での開催は廃止となりました。
受験者講習会はeラーニング講習会としてインターネット経由で学習することができます。
eラーニング講習会(受験者用講習会)について
eラーニングとは、インターネットを利用した学習方法です。受験者用eラーニングは、事前に収録されている講義を好きな時間に受講できるビデオ・オン・デマンド方式となっています。
各講義は、10~15分単位で区切られているため、自分の都合のよい時間に学習を進めていくことが可能です。
また、一度受講した項目は何度も視聴でき遡って復習することができます。
開講期間内にすべての講義を視聴し、最後に提示されるアンケートに回答することで『受講終了』と認められます。
講習会の申し込み方法
eラーニング講習会は、日本糖尿病療養指導士認定機構の公式サイトから申し込みができます。申し込みを行う際には、認定試験の受験資格を確認し公式サイトの「講習仮登録WEB受付」より仮登録を行います。(※申し込みには個人のメールアドレスが必要となります。)
仮登録の完了後は、登録したメールアドレスに仮登録受付通知が届き、その後受講料の振込用紙が届きます。
振込期限までに支払いを済ませ、入金確認が終わると正式登録となり受講申し込みが完了となります。
なお、eラーニング講習会の申し込み完了後は、受講開始前日までに登録したメールアドレス宛にIDとパスワードが届きます。
受講時にはこのIDとパスワードが必要になるため、ログイン時まで忘れないようメモをしておくか、すぐに確認ができるようにメールを保存しておきましょう。
受講料・日程
受講料・日程については以下となります。
【受講料】
33,000円(税込) ※2020年度より改定
【申込受付期間】
例年7月1日 ~ 10月31日頃
【開講期間】
例年10月1日~11月25日頃
その他の詳細については、一般社団法人 日本糖尿病療養指導士認定機構の公式サイトより講習概要にてご確認下さい。
翌年度の詳細については、毎年5月頃に公式サイトにて掲載されます。
日本糖尿病療養指導士の資格認定試験の概要
受験者用講習会の受講を終えると、いよいよ資格認定試験となります。受験申し込みの方法や認定試験の概要についても詳しく確認していきましょう。
認定試験の申し込み方法
資格認定試験を受けるには、受験申請書類を提出し資格審査に合格しなければなりません。10月の上旬頃から受講修了した方に「認定試験実施要項」と「受験申請書類」一式が送付されます。
申請書類は提出期限があるため到着後すぐに提出準備にかかりましょう。
1)受験申請書類の準備
提出書類にある「糖尿病療養指導自験例の記録」は、自身が担当した糖尿病の療養指導について10例のレポート提出が必要です。
このレポートは、ただ提出すればよいというものではありません。
資格試験と同様、合否にかかわる書類なのでしっかりと準備をして提出しましょう。
2)受験料の支払い
【受験料支払い期間】
例年11月1日~12月7日頃
【受験料】
22,000円(受験資格審査料5,500円を含む、税込)
3)申請書類提出
・日本糖尿病療養指導士認定申請書および履歴書
・糖尿病療養指導業務に従事した証明書
・糖尿病療養指導自験例の記録
・受験地登録書 など
【申請書類提出期間】
例年11月15日~12月7日頃(約3週間前後)
※詳細は送付される「認定試験実施要項」でお確かめください。
4)受験申し込み後
受験料の支払いや申請書類の提出が終わると、受験資格審査が行われます。
この審査で「受験資格あり」と判定されると「受験票」が送付されます。
「受験資格なし」と判定された場合は「受験資格審査結果通知」が送付されます。
資格認定試験の詳細
日本糖尿病療養指導士認資格認定試験の詳細は以下となります。日時 | 年1回のみ(例年3月の第1または第2日曜日) |
---|---|
時間 | 午前(10時~12時) 午後(13時30分~15時30分)の計4時間 |
場所 | CBTS社共通テストセンターの任意の会場 |
試験内容 | (1)客観試験 CBT(Computer Based Testing)方式 120問 (2)「糖尿病療養指導自験例の記録」10症例 (受験申請時に提出) |
出題範囲 | 原則「糖尿病療養指導ガイドブック」に沿って出題 |
合格基準 | 客観試験・「糖尿病療養指導自験例の記録」が両者ともに合格水準に達していること |
認定試験申込方法など詳細については公式サイトでご確認ください。
結果通知について
試験結果は、5月初旬~中旬に受験者全員に郵送で送付されます。また、合格者には合格通知の送付から1ヵ月前後で「認定証」「認定バッジ」「CDEJカード」などが届きます。
日本糖尿病療養指導士認定試験の合格率と難易度
日本糖尿病療養指導士認定試験の合格率から、理学療法士にとって試験の難易度はどのくらいなのか検証してみました。まず、過去に実施された日本糖尿病療養指導士認定試験の合格率のまとめをみていきましょう。
2015年~2019年(※2020年度の第20回は中止)にかけて実施された認定試験の全職種の平均合格率は約88.2%で、多くの受験者が合格していることが分かります。
理学療法士の平均合格率はというと、こちらも約87.6%でした。全職種と比較してもさほど合格率に大きな差はありません。
この結果から、日本糖尿病療養指導士の認定試験の難易度はそれほど高くはないといえます。
とはいえ、認定試験を受けるには一定の条件が設けられており、受験者用受講会を受講するなど資格認定を受けるまでの道のりは決して楽ではありません。
時間をかけて試験を受けるからには、試験対策も万全を期して受験に挑んでいる方が多いのかもしれませんね。
(※)出典:一般社団法人 日本糖尿病療養指導士認定機構
日本糖尿病療養指導士の合格発表と名簿
日本糖尿病療養指導士の認定試験に合格すると、主催元となる一般社団法人 日本糖尿病療養指導士認定機構の公式サイトにて資格取得者として合格者の一覧に掲載されます。また、資格認定者は希望者のみ公式サイトのCDEJマイページにて名簿検索が可能となります。
名簿検索にて調べられるのは「氏名」「職種」「勤務先都道府県・名称(勤務先未登録の方は自宅都道府県のみ)」となっています。
合格後は5年ごとの更新が必要
日本糖尿病療養指導士の資格は、資格を取得して終わりではありません。日進月歩の医療医学において常に新しい知識や技能を身につける必要があるため、日本糖尿病療養指導士の認定制度は5年毎の更新性となっています。
認定更新については、5年間の間に規定の条件を満たすことで更新することができます。
更新条件は、規定の研修単位の取得や糖尿病患者への療養指導士などです。
認定更新年度(5年目)になると、更新手続きについての案内が4月頃にあるので忘れないように注意してください。
更新についての流れや詳細については一般社団法人 日本糖尿病療養指導士認定機構の「CDEJの方」をご確認下さい。
試験対策には公式ガイドブックと問題集がおすすめ
日本糖尿病療養指導士の試験認定試験の概要でもお伝えしましたが、試験問題は原則として公式テキストとなる「糖尿病療養指導ガイドブック」から出題されます。また、試験前に受ける受験者用eラーニング講習会でもこちらの公式テキストを使用します。
そのため、試験対策には「糖尿病療養指導ガイドブック」に沿って学ぶことが必須となります。
「糖尿病療養指導ガイドブック」は1年ごとに刊行されており、販売元であるメディカルレビュー社あるいはインターネット通販サイトなどを通して購入することができます。
公式テキストとあわせ、より実践的な試験対策を行うのであれば、公式のものではありませんが問題集を別途購入して勉強に使用するのもおすすめです。
問題集の多くは、過去に出題されたとされている問題に沿って勉強できる内容が中心となっており、苦手分野の復習や試験直前の学力チェックなどに活用することができます。
日本糖尿病療養指導士の試験対策にぜひ活かしてみてはいかがでしょうか。
さいごに
日本における糖尿病患者は年々増加の一途をたどっており、平成28年には厚生労働省より1,000万人もの方が糖尿病の疑いが強くあると発表されています。このような状況において、糖尿病への深い知識と技術を持ち専門的な観点から糖尿病患者へ指導、管理ができる日本糖尿病療養指導士の存在は、日本の医療にとって必要不可欠となっています。
しかし、現状理学療法士の資格取得者は看護師などと比べるとまだまだ少なく、糖尿病患者への運動療法指導が適切に行える専門職の増加は大きな課題であるといえます。
日本糖尿病療養指導士の資格を取得することは、自身にとって大きな強みとなるだけでなく、転職や就職にも有利に働くなど多くのメリットがあり、スキルアップを視野に入れている方には積極的に取得をおすすめしたい資格のひとつです。
1年がかりで取得を目指す資格であるため決して簡単な資格とはいえませんが、医療業界の需要にマッチする資格であり、理学療法士のなかではまだまだ希少価値の高い資格として注目度は抜群です。
糖尿病治療への知識を身につけて医療に貢献したいと考える方や、なにか身につく資格を取得してみたいと考えている方は、ぜひこの機会に日本糖尿病療養指導士の資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。
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