理学療法士とスポーツトレーナーの違いは?それぞれの仕事や給料について解説
理学療法士とスポーツトレーナーの違いは?それぞれの仕事や給料について解説
更新日:2024年06月12日
公開日:2024年06月11日
![リハビリの様子1](http://d9ccqsdjkf7lu.cloudfront.net/image/column/ptotst_worker/17180734150739.jpg)
理学療法士とスポーツトレーナーには、どんな違いがあるのか気になる方も多いのではないでしょうか。どちらも運動に関わる仕事ですが、役割や求められるスキルが異なります。
この記事では、理学療法士とスポーツトレーナーの仕事内容や必要な資格、給与についてご紹介します。両者の違いを理解することで、自分にあった職業選択ができるようになるでしょう。
目次
理学療法士とは?
理学療法士とは、病気やケガで身体機能の障害を持った方に対して、リハビリを提供する職種です。具体的に行うリハビリ内容としては、おもに以下のとおりです。● 運動を中心とした運動療法
● 機器を活用して物理的な刺激を与える物理療法
このように理学療法士は、身体機能の回復に直接的にアプローチしていく役割を担っています。また、理学療法士は国家資格なので、取得するには養成校に入学した後、国家試験を受験して合格する必要があります。
スポーツトレーナーとは?
スポーツトレーナーとは、スポーツ選手や一般の方などに対して、運動パフォーマンスを高めるためのサポートをする専門職の総称です。スポーツトレーナーは、以下のような業務を担当しています。● スポーツにおけるケガや障害の予防
● ケガからの復帰支援
● 競技力向上のためのトレーニング指導
また、スポーツトレーナーはおもに以下の5種類に分類されています。
● アスレティックトレーナー
● コンディショニングトレーナー
● メディカルトレーナー
● ストレングストレーナー
● フィットネストレーナー
ここではそれぞれの種類のおもな役割について、詳しく解説します。
アスレティックトレーナー
アスレティックトレーナーは、スポーツ現場でのケガの対応や、再発防止策の提供を専門とするスポーツトレーナーです。健康管理やテーピングなどの応急措置もする場合があり、一定の専門知識が必要となります。アスレティックトレーナーはスポーツトレーナーのなかでも知名度が高く、専門の知識やスキルを証明するための資格も数多くあります。コンディショニングトレーナー
コンディショニングトレーナーは、コンディションを整えて、ケガをしない身体作りのサポートを専門とするスポーツトレーナーです。試合をはじめとした重要なイベントにあわせて筋トレやストレッチなど、選手のコンディショニングを整えるための指導が中心となります。理学療法士や柔道整復師などの国家資格を保有している方も多い傾向にあります。メディカルトレーナー
メディカルトレーナーは、医療の知識を活かして身体機能の回復をサポートするトレーナーです。スポーツ選手だけでなく、高齢者に対してリハビリや介護予防のプログラムを提供することもあります。また、ケガからの復帰に向けたメンタルケアなども、メディカルトレーナーの大切な役割といえるでしょう。医療機関で活躍している方も多く、その場合は医師や理学療法士などと連携しながらサポートしています。
ストレングストレーナー
ストレングストレーナーは、スポーツ選手の筋力や運動能力の強化を専門とするトレーナーです。運動パフォーマンスの向上を目的として、選手一人ひとりの目標にあわせたトレーニングメニューを作成・実施します。また、ケガをしにくい身体作りのためのトレーニング指導も行うこともあるでしょう。身体の強化を図るために、解剖学や運動生理学などの専門的な知識に加えて、各競技に必要な動作への理解が求められます。
フィットネストレーナー
フィットネストレーナーは、フィットネスクラブやジムを中心に活躍しているトレーナーです。ダイエットや筋力アップなど、利用者一人ひとりの目的にあわせてメニューを作成し、トレーニング指導を行います。マンツーマンで指導するパーソナルトレーナーも、フィットネストレーナーの一種といえるでしょう。利用者に的確にアドバイスするには、解剖学や運動学だけでなく栄養に関する知識も必要不可欠です。コミュニケーション能力も大切で、初心者にもわかりやすくトレーニングを伝えられるスキルが求められます。
理学療法士とスポーツトレーナーの違い
理学療法士とスポーツトレーナーの内容について解説しましたが、それぞれどのような違いがあるのでしょうか。ここでは、給料や職場などの違いについて詳しく解説します。資格の有無
まず、理学療法士とスポーツトレーナーの大きな違いは、資格の有無です。理学療法士の仕事をするには国家資格が必要なので、取得するには養成校に3〜4年通ったうえで、国家試験に合格しなければいけません。一方で、スポーツトレーナーにはさまざまな民間資格がありますが、それらを取得せずとも働くことは可能です。ただし、スポーツトレーナーも専門的な知識や技術が求められるので、民間資格や国家資格を取得している方が多いといえます。
給料
理学療法士とスポーツトレーナーでは、給料にも違いがみられます。令和5年度の厚生労働省の調査によると、理学療法士の平均年収は「約432万円」とされています。そして年齢によって給料水準が増える傾向にあり、年収600万円までの到達は現実的といえるでしょう。一方、スポーツトレーナーになったばかりの年収は、「約300万円」とされています。理学療法士と比べるとやや低めと思われますが、スポーツトレーナーは独立開業する方も多く、その場合は年収が大きく上昇する可能性もあります。場合によっては年収1,000万円以上になるケースもあるでしょう。
このように、理学療法士は着実に稼げる職種なのに対して、スポーツトレーナーは場合によっては大きな伸び幅が期待できる職種です。
出典:令和5年賃金構造基本統計調査 職種(小分類)、性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)
令和5年賃金構造基本統計調査 職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)
活躍できる職場
理学療法士は、おもに病院やクリニック、介護施設などの医療機関で勤務することが多い傾向にあります。それ以外にも、理学療法士としてスポーツ分野で活躍している方も少なくありません。一方、スポーツトレーナーは、おもにスポーツや運動に関係する職場で活躍しています。ジムやフィットネスクラブでの勤務、スポーツ選手の専属トレーナーなどがあげられます。このように、理学療法士は医療関係、スポーツトレーナーは運動関係で活躍することが多いといえるでしょう。
仕事で関わる方の層
理学療法士は医療関係の職場で働くことが多いため、おもに高齢者や障害を持っている方、ケガをした方と関わります。スポーツトレーナーはジムでの勤務をしたり、スポーツ選手の専属トレーナーになったりする関係上、比較的若い方と関わる機会が多いといえます。また、身体機能が高い方に対して指導をすることも多いでしょう。このように、それぞれの職種では、仕事で関わる層が大きく異なる場合があります。
スポーツトレーナーになるには理学療法士の資格取得がおすすめ
スポーツトレーナーを目指すのであれば、理学療法士の資格の取得がおすすめです。理学療法士の資格取得をおすすめする理由として、以下の3つがあげられます。1. 医学的な知識を身につけられる
2. 国家資格なので信頼性が高い
3. 就職先の選択肢が広がる
理学療法士の資格を取得するには、解剖学や運動学などの医学的な知識を学ぶ必要があります。これらの知識は、スポーツトレーナーとして相手に適切なアドバイスや指導をするうえで非常に重要です。
また、スポーツトレーナーとして活動する際は、選手やチームから信頼を得ることも大切です。理学療法士の資格を持っていれば、その信頼を得やすくなります。そして理学療法士の資格があれば、就職先の範囲がさらに広がります。スポーツトレーナーを目指す方は、ぜひ理学療法士の資格取得を検討してみてください。
理学療法士・スポーツトレーナーに向いている方の特徴
理学療法士とスポーツトレーナーに向いている方は、どのような特徴があるのでしょうか。ここでは、それぞれに向いている特徴について詳しく解説します。理学療法士に向いている方の特徴
理学療法士に向いている方の特徴は、以下のとおりです。● 人の身体機能の回復に深く関わりたい方
● 忍耐力のある方
● 勉強意欲が高い方
理学療法士は医療の現場で働くため、病気やケガで苦しむ人々と向き合います。そのような方々の心身のサポートを通して、社会貢献できることにやりがいを感じられる方が理学療法士に向いているでしょう。
また、理学療法士は国家資格であり、その取得には解剖学や生理学などの専門知識が必要です。じっくりと勉強を重ねられる忍耐力のある方も、理学療法士として活躍できる素質があるといえます。
スポーツトレーナーに向いている方の特徴
スポーツトレーナーに向いている方の特徴は、以下のとおりです。● スポーツが好きな方
● コミュニケーションをとるのが好きな方
スポーツトレーナーはアスリートのパフォーマンス向上やコンディショニングに関わります。スポーツ医学の知識を活かしてサポートし、アスリートの成長を間近で見守れる点が醍醐味でもあります。
スポーツトレーナーになるには、スポーツ医学の専門知識に加えて、選手とのコミュニケーション力も重要です。スポーツが好きで人との関わりを大切にできる方は、スポーツトレーナーとして活躍できる素質があるといえます。
理学療法士とスポーツトレーナーの違いをおさえておこう
理学療法士とスポーツトレーナーは、ともに身体機能の向上を目的とした職種ですが、役割や対象者などに違いがあります。理学療法士になるには国家資格の取得が求められますが、スポーツトレーナーには特別な資格は必要ありません。しかし、スポーツトレーナーを目指すのであれば、理学療法士の資格を取得することで、より専門的なアプローチが可能となります。理学療法士とスポーツトレーナーそれぞれの職業の特徴を理解することで、自分にあったキャリアを選択するきっかけとなるでしょう。関連ジャンル
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